「消えた納豆」に見えた日本のお寒い食糧事情。
2007年01月19日07時00分 / 提供:PJ
世間を騒がしている「納豆騒動」で忘れてならない大切なことがある。原材料の「大豆」である。そもそも、今回の騒動を防止するためには、メーカーが納豆の大増産をして、放映日に合わせて商品を供給しておけば、売り場での欠品で消費者に迷惑を掛けることもなかったのだ。しかし、それが出来ない事情があったのだろう。
日本の食糧自給率が低くなっていることは良く知られた事実だ。枝豆や豆もやし、そして製品としての豆腐・豆乳・味噌・醤油・納豆の原材料の「大豆」もその例に漏れない。ほとんどが輸入なのである。その輸入先は、アメリカ・ブラジル・カナダ・中国となっている。満州大豆で有名な中国からの輸入量は、商慣行上の問題から日本の流通業者がシフトしたことにより減っている。
ここで問題となるのが、「遺伝子組み換え大豆」である。他の生物の遺伝子を入れることによって病気に強い作物を作る技術として発達したバイオテクノロジーが遺伝子組み換え技術だ。大豆はその方法が成功した例である。アメリカ産の大豆のそのほとんどが遺伝子組み換え大豆であったが、日本の消費者が敬遠したことにより、非遺伝子組み換え大豆にその多くは変わったとされている。
国産大豆使用のこだわり商品とした「納豆」はこのような事情のもとに生産され、需要と供給のバランスが崩れると今回のような状態になるのは、見えていたのだ。現実には、国産大豆の多くが「豆腐」に使用され、「納豆」への使用は多くはない。結局は、納豆の原料も、アメリカからの輸入大豆が多いようだ。
大豆は、蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミン等を豊富に含むとともに、サポニン、レシチン、イソフラボンなどの機能的成分が注目され、近年の世界的健康志向のなかで日本の大豆製品(豆腐・味噌・醤油・納豆)は、その料理や調味料の中心なのだ。
遺伝子組み換え大豆については、2001年に実施されたJAS法により、その表示方法が決められたが、不十分なもので、大豆の輸入量の約90%が表示義務対象外となるザル法でしかないのだ。大豆は、アメリカの食糧戦略の武器である。この供給がなくなれば、納豆の非ではない混乱が生まれる。BSE牛の対策に見られるように、アメリカと日本では、その食品に対する考え方が大きく異なる部分がある。
現在、遺伝子組み換え大豆がどの位使用されているかは不明であるが、加工品としての油や、家畜の飼料、アルコール飲料の原料などにはその可能性は高い。また、食品でも不可抗力で混入したものについては、問題化しないということなので、「遺伝子組み換え大豆を使用していません」の表示が、ほんとうに正しいのかを、疑えばきりがない。
売り場から納豆が消えた。人の噂も時間が経てば落ち着くと、思っていてはならない。実は、このように単純ではない問題が、多くあるのが現代社会である。風が吹けば桶屋が儲かる、この経済連鎖が当然のように行われている。「ない」「ない」とメーカーを急かせて商品供給をさせるのも大切かも知れない。しかし、そこに原料を偽った商品が出たとすると誰がそのことをチェックするのだろう。
加えて今回の「不二家事件」は日本の食品メーカーの真実の姿と行政の対応を見せた好例ではないだろうか。保健所に被害者の人数で食中毒を公表する、しないの内規があったとは、あきれ果てたことである。もう、何も信じることが出来ない世の中になってしまったのだ。【了】
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日本の食糧自給率が低くなっていることは良く知られた事実だ。枝豆や豆もやし、そして製品としての豆腐・豆乳・味噌・醤油・納豆の原材料の「大豆」もその例に漏れない。ほとんどが輸入なのである。その輸入先は、アメリカ・ブラジル・カナダ・中国となっている。満州大豆で有名な中国からの輸入量は、商慣行上の問題から日本の流通業者がシフトしたことにより減っている。
ここで問題となるのが、「遺伝子組み換え大豆」である。他の生物の遺伝子を入れることによって病気に強い作物を作る技術として発達したバイオテクノロジーが遺伝子組み換え技術だ。大豆はその方法が成功した例である。アメリカ産の大豆のそのほとんどが遺伝子組み換え大豆であったが、日本の消費者が敬遠したことにより、非遺伝子組み換え大豆にその多くは変わったとされている。
国産大豆使用のこだわり商品とした「納豆」はこのような事情のもとに生産され、需要と供給のバランスが崩れると今回のような状態になるのは、見えていたのだ。現実には、国産大豆の多くが「豆腐」に使用され、「納豆」への使用は多くはない。結局は、納豆の原料も、アメリカからの輸入大豆が多いようだ。
大豆は、蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミン等を豊富に含むとともに、サポニン、レシチン、イソフラボンなどの機能的成分が注目され、近年の世界的健康志向のなかで日本の大豆製品(豆腐・味噌・醤油・納豆)は、その料理や調味料の中心なのだ。
遺伝子組み換え大豆については、2001年に実施されたJAS法により、その表示方法が決められたが、不十分なもので、大豆の輸入量の約90%が表示義務対象外となるザル法でしかないのだ。大豆は、アメリカの食糧戦略の武器である。この供給がなくなれば、納豆の非ではない混乱が生まれる。BSE牛の対策に見られるように、アメリカと日本では、その食品に対する考え方が大きく異なる部分がある。
現在、遺伝子組み換え大豆がどの位使用されているかは不明であるが、加工品としての油や、家畜の飼料、アルコール飲料の原料などにはその可能性は高い。また、食品でも不可抗力で混入したものについては、問題化しないということなので、「遺伝子組み換え大豆を使用していません」の表示が、ほんとうに正しいのかを、疑えばきりがない。
売り場から納豆が消えた。人の噂も時間が経てば落ち着くと、思っていてはならない。実は、このように単純ではない問題が、多くあるのが現代社会である。風が吹けば桶屋が儲かる、この経済連鎖が当然のように行われている。「ない」「ない」とメーカーを急かせて商品供給をさせるのも大切かも知れない。しかし、そこに原料を偽った商品が出たとすると誰がそのことをチェックするのだろう。
加えて今回の「不二家事件」は日本の食品メーカーの真実の姿と行政の対応を見せた好例ではないだろうか。保健所に被害者の人数で食中毒を公表する、しないの内規があったとは、あきれ果てたことである。もう、何も信じることが出来ない世の中になってしまったのだ。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 鈴木 修司
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