【独女通信】独女世代だからこそ「和」で勝負!?深く静かに「和-ism」が浸透中。
2007年01月18日10時41分 / 提供:独女通信
ヴェルサーチ風ゴージャスコーディネイト(スタイリング/山龍) 写真一覧(2件)
真美さんがファビエンヌさんの家を訪れてみると、玄関を入ってすぐのところに生け花や流木のオブジェが飾られ、窓には障子、かけはしの上には神棚があった。プレハブ住宅に住み、ベッドやダイニングテーブルでの生活に慣れた真美さんにとって、ファビエンヌさんのライフスタイルはとてもおしゃれに見え、また新鮮だった。インテリアのセンスを真美さんが絶賛すると、「だったら、あなたもこうすればいいのに!」と、ファビエンヌさんに叱られた。
ファビエンヌさんは日本の文化を愛するがゆえに、それをぞんざいに扱っている日本の人達が許せないという。「日本の人は皆、私の部屋を見ると、素晴らしい!と言って褒めてくれます。でも褒めるだけで、自分ではやろうとしない。本当にいいと思うなら、なぜ皆さん、日本風の家に住まないのでしょう?」。ファビエンヌさんに問われた真美さんは、しばらく考えてから、「だって日本風にすると、いろいろ不便なんですもの」と、そのときは答えた。
以降、真美さんも「和のライフスタイル」にこだわるようになった。同僚のファビエンヌさんに日本文化の素晴らしさをレクチャーされたのがキッカケではあるが、実際に「和」の物をよく観察してみると、不便どころか、とても合理的なものがたくさんあることがわかった。ベッドにダイニングテーブル、カーテンに囲まれた今の生活が便利ではないことも知った。「単に使い慣れている、というだけだったんですね。私の生まれ育った環境に『和』の文化はなかった。中途半端に洋風で、チープなライフスタイルしか知らなかったんです」。
真美さんが「和」にこだわるようになると同時に、世の中にも「和」のテイストのものが増えてきた。生活小物やインテリア用品、衣装やアクセサリー。現代風にアレンジされてはいるが、「おしゃれ!」と思えるものが製品として目につくようになった。「20代の頃は、どんなテイストの服でもチャレンジできたんですが、30代になってからは、ファッションにもライフスタイルにも“自分の個性”が欲しい、と思うようになりましたね。そんな精神状態にピタリとはまるのが、『和』のテイストだったんです」と、真美さん。彼女が今もっとも気に入っているのは、畳の部屋だ。
「私が『和』にハマったのは、あるパーティに着物を着ていってからですね」と語るのは、沙織さん(37歳)。「合コンに近いパーティで、義理で仕方なく参加したんです。私より若い女の子ばかりで、ちょっと嫌だなーと。ブランドで固めるのも見え透いてるし、だったら着物で差をつけてやろうと思いました」。その頃、沙織さんは着付け教室に通っていた。さしあたって結婚の予定もないし、何かやらなくちゃ……って思って始めたんです」。この着付け教室がきっかけで、急に着物に目覚めてしまった。またコーディネート次第で、着物はドレスにも勝る威力を発揮することを知った。
狙い通り、合コンパーティでの沙織さんは、スターだった。「若さで勝負はできないけれど、女の価値を見せつけた感じがしました。男性達も、また参加していた女の子たちも、皆、私に一目置いているのがわかるんです」。以来、沙織さんの勝負服は着物となった。仕事での重要な会談やパーティには必ず着物を着るようになり、それがトレードマークとなった。「着物は、小物まですべて揃えると、最初に出費はかさむけれど、ブランドの服を買うことを考えれば、決して高くはありません。また、着物は一生もので、帯とのコーディネートで着回しがきくことを考えると、むしろ安いかもしれません」。
そんな沙織さんが最近、師と仰いでいるのが、歯に衣着せぬ語りで話題の染織家、山石康裕氏だ。「山龍師匠」の別名を持つ山石氏は、東京・西麻布のサロンで「和」の勉強会を主宰し、美智子皇后がお召しになる着物も制作する。そんな山石氏に、最近の「和-ism」についてたずねてみた。「確かに着物を着る人は増えてきているけど、レベルはまだまだやね。今は、99%の呉服屋がアマチュアやし、ちゃんと着物の説明ができる販売員もろくにおらんよ。誰もちゃんと学ぼうという意識がない。だから、この業界はアカンの」と、京都弁でばっさり。
着物……というと、初めての人間にはとっつきにくいメージがある。だが山石氏は、着物選びはぜんぜん難しくない、という。「かっこよく着こなす」のに、着物と洋服の感覚の違いは全くない。色の組み合わせ、コーディネートもしかり。失敗しない着物選びをするなら、洋服と同じ感覚の色を選ぶに限るそうだ。山石氏によると、「着物は何にも勝る、パワードレス」とのこと。だからこそ学ぶ価値があり、個性が際立ってくる。独女世代だからこそ、ぜひともマスターすべき……なのだそうだ。(船橋たま子)
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