A3プロモーション担当の上村健太郎氏
 海外では多くのプロゲーマーが活躍しているというのに、日本はプロゲーマー不在。しかし、ガンホー・エンターテイメントは日本で初めて、ゲーム運営会社公認のプロゲーマー制度を発足させた。プロゲーマーを誕生させるタイトルはMMORPGの「A3」だ。

 A3というゲームのプロモーションをしたいなら、プロゲーマー制度というややこしい仕組みを作らずとも、賞金付きゲーム大会を定期的に開催すればいいのではないか。なぜプロゲーマーなのか。その疑問を、素直にガンホーの担当者にぶつけてみた。お話をしてくださった方はA3のプロモーションを担当する上村健太郎氏だ。

 上村氏によると、賞金付き大会ではなくプロゲーマー制度とした理由は、法律的な問題をクリアするためだという。MMORPGのように、会員に対して賞金を提供するイベントはクローズド懸賞となり、賞金額や抽選方法に制約を受ける。筆者が調べたところ、誰もがハガキに答えを書いて応募できるオープン懸賞の場合は金額に上限はない(2006年4月に上限1000万円は廃止された)。しかし、クローズド懸賞の賞金は10万円までに制限される。また、キャラクターレベルによる参加資格を設け、闘いに勝利した人が対象となると、抽選ではないため公正な懸賞とは言えなくなるらしい。つまり日本では、ゲームに勝って10万円を超える賞金品を得るイベントは成立しないのだ。

 この制限を受けなくするためには、懸賞にしなければいい。つまり、プロゲーマーとして会社とゲーマーが契約し、ゲーマーが「ゲームで戦う」役務を提供し、会社が「成績によって報酬を支払う」というシステムにする必要がある。そのためのプロゲーマー制度なのだ。第一回の大会では賞金がなく、上位者へのプロ契約の権利のみ提供される理由は、プロゲーマーの採用選考会という意味だからである。

 では、そこまで手間をかけて賞金トーナメントを開催する理由は何だろうか。うがった見方だがプレイヤー離れを食い止めるためではないだろうか。MMORPGにおいて、あまりにも高レベルになったプレイヤーが「すべてのクエストを終え、これ以上成長しても意味がない」という状況になったとき、ゲームを続ける必要がなくなる。しかし、賞金トーナメントという新しい目標があれば、賞金を獲得するためにゲームを続けてもらえると期待しているのであろう。

 これに対して上村氏は、そういう気持ちがないわけではない、としながらも、A3を愛してくれている高レベルなユーザに、新しいゲームの楽しみ方を提供したかったからだ、と語った。

 実はA3ではプロゲーマー制度の導入と同時に、新しい世界を加えた大規模なアップデートを実施している。新しい世界「ウェデート」は、かなり高いレベルのプレイヤーが、複数のパーティを組んで行かないと生還できないというハイレベルな世界だ。つまり、高レベルプレイヤーの楽しみはMMORPGのストーリーとして追加されている。妙な話だが、プロゲーマーなど必要ないくらいに魅力的なゲームだし、その魅力を維持するためのアップデートもきちんと行われている。そして、やっばり「なぜプロゲーマー?」という問いに戻る。

 そこには「ガンホーの新しい試みとして、韓国で行われているようなプロゲーマー制度を日本でも実現したい、という気持ちがある」と明かしてくれた。A3は世界各地で提供されているが、プロゲーマーという仕組みを元々内包しているわけではない。ガンホーがプロゲーマー制度を創設しようと考えたときに、それが相応しいタイトルがA3だった。A3をプロモートするためにプロゲーマー制度を作ったのではなく、プロゲーマー制度を実現するためにA3を選んだという。