今週のお役立ち情報
なぜ今、市民ジャーナリズムなのか
2007年01月12日04時17分 / 提供:PJ
【PJ 2007年01月12日】−
安倍晋三内閣の発足から4カ月が過ぎようとしている。案の定とでも言うべきか、各種世論調査によれば、内閣支持率の低落傾向には歯止めがかからず、何よりも安倍首相自身の求心力が失われつつあることが市民の目にもはっきりとし始めている。一方で、その安倍内閣が発足以来のわずかな期間に成し遂げてしまった「教育基本法の改正」「防衛庁の防衛省昇格」などの重要案件が、これからの日本社会に及ぼす影響、国民に投げかける課題はきわめて深刻である。
いずれの政治課題も、本来、2年でも3年でも時間をかけて、じっくり検討し、広範な国民の議論を経て取り組むべき性格のもので、災害復旧や雇用対策のように短兵急にでも実施すべき政策ではなかった。いずれの法案も国策の根幹にかかわる政策であり、各法案への賛成・反対を問わず、いずれの立場からもその是非を慎重に吟味することの有益性を否定することはできないはずである。安倍内閣の復古的保守主義に対する警戒感もさることながら、重要法案の見切り発車的な採決を繰り返すこと自体への危機感を強めていかなければ、民主主義の形骸化に拍車をかけることを黙認してしまうおそれがある。
ところが、この間の商業マスコミの動向を見ると、安倍内閣の政治手法に対する強い批判は皆無で、各社が実施する月に1度の世論調査における内閣支持率低落のデータのみを唯一のよりどころに「政治姿勢に課題あり」というトーンの総括を掲載するのが精一杯という状況である。市民感覚から離れた「政府の景気回復見解」や「従軍慰安婦問題の見直し」の動きに違和感を覚えるとき、客観報道を口実に積極的な論争を避け、きわめて遠慮がちに疑問を投げかけることしかできない大手マスコミの編集方針に、国内の既存のジャーナリズムの限界を見て取ることができる。
なぜ今、市民ジャーナリズムなのか。それは、商業マスコミがあらかじめ用意した選択肢に答える形での世論ではなく、右から左まで広範な市民が生活に根ざした生の声を自発的に表明し、議論し、思索を深めることによって、市民社会の世論形成の場を提供するという意味を持つ。ライブドアのホームページを借りて展開するPJ(パブリックジャーナリスト)の仕組みは、けして商業マスコミの伝えなかったニュースの補完の為に存在するのではなく、むしろ商業マスコミが果たし得ない市民による、市民のための世論形成の可能性を秘めているところにこそ大きな意味があると考える。
ただし、インターネットを利用した市民ジャーナリズムの歴史は浅く、記者の質や記事の内容はまだまだ向上を図らなければなるまい。言い方を変えれば、PJニュース自体が生成期にあり、いまだその方向性や質的向上のあり方について模索を続けているというのが現状であると私は思う。同時に、市民ジャーナリストの組織のありようについても、その存立についての理論的な精査とシステムの再構築の必要があろう。
もっとわかりやすく言えば、PJがどのような立場からどのような質を目指す出稿を行うのか、その方向性を対外的に明示することと、ライブドアという企業のホームページに依拠して取材活動を存続することと掲載記事に関する責任の所在の関係を明確にすることが必要であると思うのである。
市民ジャーナリズムの必要性についての私の認識は前述のとおりであるが、結局、PJシステムがライブドアという企業の存亡に大きく左右される存在でしかないとすれば、目指すべき市民ジャーナリズムがたちまち画餅に終わる危険性を帯びることを意味する。予算的にも、編集権的にも、ライブドアから自立したPJ組織の運営を実現する仕組みが将来にわたって担保されなければなるまい。
また、あってはならないことだが、PJニュースに誤報や虚報が掲載された場合、第一義的に執筆したPJ個人の責任が問われることは当然として、その編集責任や掲載責任を誰がどのように負うのか、この点を曖昧にしてはなるまい。PJは独立した記者ではあるが、個々のPJをつなぐ緩やかな連帯が集合体の形で存在する以上、必ず組織としての意思形成はあるわけで、PJ個人に対する組織としての権利と義務を対外的に明瞭にしておくことが大切である。
さらに、PJシステムの継続を考えれば、編集責任部門に複数の有能な人材を起用し、投稿された原稿の取捨選択と内容チェックを充実させ、編集部機能を厚くすることも求められよう。編集部の充実は、PJの研修内容を高めることにもつながり、やがて寄せられる記事の向上にも寄与するものと考える。これらについて、今後のPJシステムの前進に期待したい。
ネット社会の「通」から見れば、まだまだひ弱で頼りなく思えるPJニュースも、一面的に評価し揶揄の対象にするのではない。むしろ、その試みが継続することが民主主義の維持にプラスの影響をもたらすことを公正に理解したい。【了】
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PJ募集中
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 成越 秀峰【 神奈川県 】
この記事に関するお問い合わせ / PJ募集
いずれの政治課題も、本来、2年でも3年でも時間をかけて、じっくり検討し、広範な国民の議論を経て取り組むべき性格のもので、災害復旧や雇用対策のように短兵急にでも実施すべき政策ではなかった。いずれの法案も国策の根幹にかかわる政策であり、各法案への賛成・反対を問わず、いずれの立場からもその是非を慎重に吟味することの有益性を否定することはできないはずである。安倍内閣の復古的保守主義に対する警戒感もさることながら、重要法案の見切り発車的な採決を繰り返すこと自体への危機感を強めていかなければ、民主主義の形骸化に拍車をかけることを黙認してしまうおそれがある。
ところが、この間の商業マスコミの動向を見ると、安倍内閣の政治手法に対する強い批判は皆無で、各社が実施する月に1度の世論調査における内閣支持率低落のデータのみを唯一のよりどころに「政治姿勢に課題あり」というトーンの総括を掲載するのが精一杯という状況である。市民感覚から離れた「政府の景気回復見解」や「従軍慰安婦問題の見直し」の動きに違和感を覚えるとき、客観報道を口実に積極的な論争を避け、きわめて遠慮がちに疑問を投げかけることしかできない大手マスコミの編集方針に、国内の既存のジャーナリズムの限界を見て取ることができる。
なぜ今、市民ジャーナリズムなのか。それは、商業マスコミがあらかじめ用意した選択肢に答える形での世論ではなく、右から左まで広範な市民が生活に根ざした生の声を自発的に表明し、議論し、思索を深めることによって、市民社会の世論形成の場を提供するという意味を持つ。ライブドアのホームページを借りて展開するPJ(パブリックジャーナリスト)の仕組みは、けして商業マスコミの伝えなかったニュースの補完の為に存在するのではなく、むしろ商業マスコミが果たし得ない市民による、市民のための世論形成の可能性を秘めているところにこそ大きな意味があると考える。
ただし、インターネットを利用した市民ジャーナリズムの歴史は浅く、記者の質や記事の内容はまだまだ向上を図らなければなるまい。言い方を変えれば、PJニュース自体が生成期にあり、いまだその方向性や質的向上のあり方について模索を続けているというのが現状であると私は思う。同時に、市民ジャーナリストの組織のありようについても、その存立についての理論的な精査とシステムの再構築の必要があろう。
もっとわかりやすく言えば、PJがどのような立場からどのような質を目指す出稿を行うのか、その方向性を対外的に明示することと、ライブドアという企業のホームページに依拠して取材活動を存続することと掲載記事に関する責任の所在の関係を明確にすることが必要であると思うのである。
市民ジャーナリズムの必要性についての私の認識は前述のとおりであるが、結局、PJシステムがライブドアという企業の存亡に大きく左右される存在でしかないとすれば、目指すべき市民ジャーナリズムがたちまち画餅に終わる危険性を帯びることを意味する。予算的にも、編集権的にも、ライブドアから自立したPJ組織の運営を実現する仕組みが将来にわたって担保されなければなるまい。
また、あってはならないことだが、PJニュースに誤報や虚報が掲載された場合、第一義的に執筆したPJ個人の責任が問われることは当然として、その編集責任や掲載責任を誰がどのように負うのか、この点を曖昧にしてはなるまい。PJは独立した記者ではあるが、個々のPJをつなぐ緩やかな連帯が集合体の形で存在する以上、必ず組織としての意思形成はあるわけで、PJ個人に対する組織としての権利と義務を対外的に明瞭にしておくことが大切である。
さらに、PJシステムの継続を考えれば、編集責任部門に複数の有能な人材を起用し、投稿された原稿の取捨選択と内容チェックを充実させ、編集部機能を厚くすることも求められよう。編集部の充実は、PJの研修内容を高めることにもつながり、やがて寄せられる記事の向上にも寄与するものと考える。これらについて、今後のPJシステムの前進に期待したい。
ネット社会の「通」から見れば、まだまだひ弱で頼りなく思えるPJニュースも、一面的に評価し揶揄の対象にするのではない。むしろ、その試みが継続することが民主主義の維持にプラスの影響をもたらすことを公正に理解したい。【了】
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