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寿町に立つ社会起業家

寿町に立つ社会起業家
宿泊施設内を案内する谷津倉さん。10日、神奈川県横浜市の寿町で。(撮影:佐藤学) 写真一覧(5件)

先輩たちの「自立自援」を手本にして

【ライブドア・ニュース 2007年01月11日】− 横浜市・寿町。ここは東京の山谷、大阪の釜ケ崎と並んで日本の「3大簡易宿泊所街」として知られている町だ。生活保護受給者やホームレスらが暮らしているこの寿町に魅せられて、街の再生化に参加している女性がいる。谷津倉智子さん(35)。周囲の人は彼女を「社会起業家」と呼ぶ。 

 谷津倉さんは、老朽化した簡易宿泊所の空室を利用して、国内外の旅行者を中心に、1泊3000円で宿泊できる「ヨコハマ・ホステル・ビレッジ」を経営する。2005年6月から、世界40カ国から700人以上の若者を含め約3000人が同宿泊施設に滞在した。旅行者が寿町に来ることで、街と住民が息を吹き返したように変わり始めていると谷津倉さんは言う。

 1950年代半ばから70年代初頭にかけた高度成長期には、1万人近くの日雇い作業員で溢れた寿町は、約300メートル四方の小さな町で、中華街からも程近い。住民は約6500人で、そのうち5割以上が60歳以上の高齢者で、住民の約8割が生活保護を受けている。通りに出ると、昼間から酒を飲んだり、路上で寝ていたりする人の姿が見受けられる。

 女子大生だった谷津倉さんは15年前、社会勉強として初めてこの地域を訪れた。当時の寿町には、山積みされた粗大ゴミや不法投棄車両が道路脇に放置されていたという。「まるでアジアの発展途上国。経済大国の日本にどうしてこんな場所があるのだろうか」と当時を振り返って谷津倉さんは語る。その答えを見つけるために、ここでボランティア活動に参加した。

 炊き出しなどの手伝いを始めた谷津倉さんだが、「こうした活動によって、この町の人たちの生活を変えることができるのだろうか」と疑問を感じていたという。それでも、大学院を卒業後、ある大学のボランティアセンターに勤務しながらも、週末には寿町に通っていた。そんなある日、横浜市内の少年らによるホームレス襲撃事件(83年)をきっかけに、同地区で「木曜パトロール」を実施する桜井武麿さん(現在NPO「さなぎ達」理事・事務局長)とそのパートナーでホームレスと名乗るYさんに出会った。

 櫻井さんとYさんの2人は、寿町の住民が誰でも自由に出入りできるサロンを開いていた。「社会の落ちこぼれ」と呼ばれていた人たちが、自分たちのために料理を作り、利用するサロンの玄関先を掃除する。それは、Yさんが言う「支援ではなく『自立自援』でなければ、彼らを救えない」という言葉の実践だった。そして、谷津倉さんは、2人の協力を得て格安な宿泊場所を提供する「ファニービー」という会社を設立し、社会起業家としての一歩を踏み出した。ライブドア・ニュース 佐藤学
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