マル秘。悪質な万引きたち、その手口(中)
2007年01月11日07時38分 / 提供:PJ
(上)からのつづき。 万引きには貧富の差、老若男女、職業の垣根などはまったくないようだ。共通の特徴は財布に入っているお金の範囲内で、商品を盗むことらしい。捕まれば、お金を払って許してもらう。盗むまえにそういう心理が働くのだろう。
「金持ちほど1万円、2万円単位の高額の万引きをする。例外があるとすれば、1円も持っていないホームレスかな」と保安士のひとりが話す。ホームレスの場合は、酒を一つ、弁当を一つふたつ、そんな小額の盗り方だという。
もう一つ例外があるとすれば、悪質な外国人の窃盗グループだという。手持ちの金にはまったく関係ない。かれらはプロ集団だ。下調べで防犯カメラの盲点をしっかり見つけ出している。「売り場で、外国人が携帯電話を母国語で使っていたら、まず要注意。仲間を呼ぶか、見張り役と連絡を取り合っている可能性が高い」とベテラン保安士が話す。
中近東のグループは大胆で、売り場のワゴンから、女性の下着やスカーフなどごっそり持っていく。一度の被害額は十数万円になる。「イスラム教徒の女性は、外出先で肌を見せない。その分、女性は下着に凝るらしい」。万引きした下着類はそれら国々で高く売りさばかれているようだ。
東南アジア系の万引きはわりにドラッグコーナーを狙う。闇の換金ルートがあるらしい。「噂だと市価の10分の1が相場だと聞きました」と保安士が話す。アジアからの留学生が個人的に万引きした場合、日本人の扱いの基準とは別にすぐさま警察に渡す。時おり入管法に引っかかるケースがあるからだと教えてくれた。
主婦の常習犯で、手を焼く万引きがいると教えてくれた。「うちの店で8回も捕捉されているんです。60代の女性。それも元中学校教員ですからね。多少は認知症の気があるらしいけど、品物を盗られたら店として被害は被害ですからね」。警察では刑法の罪を問える判断能力があるといい、逮捕状を取る。
元中学校教員には持病があり、大学病院に通院している。警察が医師に拘置の有無を問えば、むずかしいと応える。留置しない逮捕となる。それでは本人は痛みも知らず、懲りないから、また万引きをやるのだ。
「元教師の主婦はお金を払う気がない。従業員の目がなければ、商品に手が伸びて私物の袋に入れてしまう。完全に病気です。保安士に捕まえてこられても、またあんたか、とウンザリです。警察に渡して逮捕となれば、被害届の手続きだけでも4、5時間はかかる」と、責任者はやり場のない口調で話す。
派遣員の女性保安士から、どのように尾行し、捕捉するのかと実際を語ってもらった。「いつも客の目を見ています。スーパーは物を買いにくる場所ですから、本来ならば品選びの目で、商品とか広告とか値段とか、そればかりを気にしているもの。逆に周囲ばかりを気にしている目があると、『これはやるな』とピンとくるのです」と経験と勘を重視していた。
「いちおう買い物カゴをのぞいて見ます。野菜、肉、豆腐、白滝という品物が入っていれば、これはすき焼きだとわかる。目に落ち着かなくても、人探しとか、別の理由かなと思い、その客には関心を持たなくなります」と話す。買い物カゴのなかにカニ缶、本マグロ、車海老、霜降りの和牛となると、「何の料理を作る気?」と疑ってみる。料理のレシピーというか、買い物のコンセプトがない。これは高額品の万引きだと見抜ける。
売り場の死角で、私物の袋に一つふたつと品物を入れる。売り場を一周してきて、まわりの様子を見ながら、ふたたび死角に入り、品物を袋に詰める。「見るたびに、袋が大きくなる。買い物カゴの品数が減っていく」。この手の万引きは、天井の防犯ミラーが一番役立つ。ミラーは凸レンズで、遠くの死角と思われる場所が鮮明にうつるのだという。実際に見てみると、思いのほか遠くまで見えた。書籍売り場などは有効らしい。
「防犯カメラは補助的なものだ」と男性保安士が語る。カメラが犯行現場を捉えていても、万引きが品物を店外に持ち出さず、他の売り場においていくケースがある。一概に万引きだと断定できない。「悪質な者はわざとカメラの前で盗んだふりをする。そして、店内の他の場所に投げ棄てる。誤認の捕捉を誘い、金を脅し取ろうとする」と教えてくれた。
これらを警戒する保安士は、防犯ビデオの映像は参考程度。次回は捕まえてやる、とカメラにうつる万引きの顔をしっかり覚えるのだという。【つづく】
■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
PJニュース.net
「金持ちほど1万円、2万円単位の高額の万引きをする。例外があるとすれば、1円も持っていないホームレスかな」と保安士のひとりが話す。ホームレスの場合は、酒を一つ、弁当を一つふたつ、そんな小額の盗り方だという。
もう一つ例外があるとすれば、悪質な外国人の窃盗グループだという。手持ちの金にはまったく関係ない。かれらはプロ集団だ。下調べで防犯カメラの盲点をしっかり見つけ出している。「売り場で、外国人が携帯電話を母国語で使っていたら、まず要注意。仲間を呼ぶか、見張り役と連絡を取り合っている可能性が高い」とベテラン保安士が話す。
中近東のグループは大胆で、売り場のワゴンから、女性の下着やスカーフなどごっそり持っていく。一度の被害額は十数万円になる。「イスラム教徒の女性は、外出先で肌を見せない。その分、女性は下着に凝るらしい」。万引きした下着類はそれら国々で高く売りさばかれているようだ。
東南アジア系の万引きはわりにドラッグコーナーを狙う。闇の換金ルートがあるらしい。「噂だと市価の10分の1が相場だと聞きました」と保安士が話す。アジアからの留学生が個人的に万引きした場合、日本人の扱いの基準とは別にすぐさま警察に渡す。時おり入管法に引っかかるケースがあるからだと教えてくれた。
主婦の常習犯で、手を焼く万引きがいると教えてくれた。「うちの店で8回も捕捉されているんです。60代の女性。それも元中学校教員ですからね。多少は認知症の気があるらしいけど、品物を盗られたら店として被害は被害ですからね」。警察では刑法の罪を問える判断能力があるといい、逮捕状を取る。
元中学校教員には持病があり、大学病院に通院している。警察が医師に拘置の有無を問えば、むずかしいと応える。留置しない逮捕となる。それでは本人は痛みも知らず、懲りないから、また万引きをやるのだ。
「元教師の主婦はお金を払う気がない。従業員の目がなければ、商品に手が伸びて私物の袋に入れてしまう。完全に病気です。保安士に捕まえてこられても、またあんたか、とウンザリです。警察に渡して逮捕となれば、被害届の手続きだけでも4、5時間はかかる」と、責任者はやり場のない口調で話す。
派遣員の女性保安士から、どのように尾行し、捕捉するのかと実際を語ってもらった。「いつも客の目を見ています。スーパーは物を買いにくる場所ですから、本来ならば品選びの目で、商品とか広告とか値段とか、そればかりを気にしているもの。逆に周囲ばかりを気にしている目があると、『これはやるな』とピンとくるのです」と経験と勘を重視していた。
「いちおう買い物カゴをのぞいて見ます。野菜、肉、豆腐、白滝という品物が入っていれば、これはすき焼きだとわかる。目に落ち着かなくても、人探しとか、別の理由かなと思い、その客には関心を持たなくなります」と話す。買い物カゴのなかにカニ缶、本マグロ、車海老、霜降りの和牛となると、「何の料理を作る気?」と疑ってみる。料理のレシピーというか、買い物のコンセプトがない。これは高額品の万引きだと見抜ける。
売り場の死角で、私物の袋に一つふたつと品物を入れる。売り場を一周してきて、まわりの様子を見ながら、ふたたび死角に入り、品物を袋に詰める。「見るたびに、袋が大きくなる。買い物カゴの品数が減っていく」。この手の万引きは、天井の防犯ミラーが一番役立つ。ミラーは凸レンズで、遠くの死角と思われる場所が鮮明にうつるのだという。実際に見てみると、思いのほか遠くまで見えた。書籍売り場などは有効らしい。
「防犯カメラは補助的なものだ」と男性保安士が語る。カメラが犯行現場を捉えていても、万引きが品物を店外に持ち出さず、他の売り場においていくケースがある。一概に万引きだと断定できない。「悪質な者はわざとカメラの前で盗んだふりをする。そして、店内の他の場所に投げ棄てる。誤認の捕捉を誘い、金を脅し取ろうとする」と教えてくれた。
これらを警戒する保安士は、防犯ビデオの映像は参考程度。次回は捕まえてやる、とカメラにうつる万引きの顔をしっかり覚えるのだという。【つづく】
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パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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