タブーへの挑戦、美人女優たちの道(下)
2007年01月05日03時05分 / 提供:PJ
(中)からのつづき。『女劇TOKYO23KU』は、女性として将来を見定めたとき、放射能に被爆した母体で子孫をつくっていきたくない、という真摯な叫びから、国内における原発の危険性の問題にも果敢に挑む。女優たちの精神は高く評価したい。
北海道・泊原発の隣町での講演会が、女優ユニットたちによるテーマ劇として紹介された。中学二年生の女子が泣きながら手を上げて、こういったという。
練馬くん「私は泊原発のすぐ近くの町に住んで、24時間被爆している。原発の周辺で白血病の子どもが生まれる確率が高いというのは、本を読んで知っている。私も女の子です。年ごろになったら結婚もするでしょう。私、子ども産んでも大丈夫なんですか?」
豊島くん「女の子どうしでは、いつもその話をしている。結婚もできない、子どもも産めないって」
板橋くん「(中二の女子は)そう泣きながら訴えました。でも、だれも何も答えてあげられない」(原作:平井憲夫さんの作品より)
少女の深刻な叫びには、胸が痛むものがある。経済発展の名の下に、原発が建設されてきた。だれもがもう後戻りできないと諦めている。批判があっても、さらなる原発の建設が進む。他方で、原発事故は旧ソ連でも、アメリカでも起きているのだ。誰かがつねに問題を提議しなければ、取り返しのつかないところまで流されてしまう。
女優ユニットは放射能問題から目を逸らしていない。腰も引けていない。デビュー講演が終了したとき、テーマ劇で賛否はあろうと思うが、観客は大きな拍手を送っていた。東京女子学院・中学校高等学校の酒井学校長から、メンバー一人ひとりに花束が贈呈された。そこにも、おしみない拍手があった。
舞台終了後、感想を聞いてみた。板橋くんは本番前を振り返ってくれた。「台本が(悲惨な状況に対して)ストレート過ぎて、読むだけでも怖じ気たち、胸が押しつぶされてしまいました。最初はとても演技まで行きませんでした」。それを乗り越える辛さを語ってくれた。他方で、「俳優志願に反対だった父親が、観に来てくれました。きちんと演じられたし、父からいい感想が聞けた」と話す。
文京くんからも感想を聞けた。「本番中、私自身が語る人物のなかに入っていけました。私よりも年下の子が、(被爆して)皮膚がぺろりとむける。目を逸らしたいけれど、目を向けてきました。とくに北海道の中二の女子が、大人は『大うそつきのええ格好し』という叫びは心に響きました」と一体感を語っていた。
七十代の男性は「北朝鮮が核実験をしたとき、日本も核兵器を持つべきだと真剣に思いました。それでないと、北朝鮮が日本で使うだろう、と。今回の劇を観て、自分の考えは違うかもしれないと、迷ってしまった。日本は被爆国として簡単に核兵器を持ってはいけないのだ、と思いなおしはじめた」。日本が核武装すれば、もはや歯止めがなくなり、地球上どこにでも核兵器が存在し、分散化することになる。それは間違いないだろう。
劇中で台本を書く役を演じた、台東くんは「私は死ぬまで、このテーマを追い続けるでしょう。書き直しては演じる。どこまで行っても納得できるものは生まれないと思います。それでも続けます。『女劇TOKYO23KU』とともに、成長・進化していきます」と語ってくれた。そこには女優魂を感じた。
女優は顔立ちの良さだけで売り出せば、マスコミなどに上手に使われて消耗品としてやがて消えていく。芸の技法だけでは観客の心をつかめない。磨かれた精神がなければ、息の長い女優になれない。9人の女優はみずから心身の厳しさをもとめている。だからこそ、タブーに挑戦できるのだ。
20歳前後の彼女たちがこれらテーマ演劇をつづけていくかぎり、日本にはまだ被爆国としての良心が残っていると思った。
女優ユニットは活動が幅広いので、紹介しておきたい。映画『ヘレンケラーを知っていますか』のPR大使になっている。『東京大マラソン2007』のイベント(有明会場)の出演が決まっている。路上パフォーマンスとして、歌とダンスが予定されている。【了】
■関連情報
連絡場所:オフィスリングシステム株式会社内「女劇TOKYO23KU事務局」
電話:03-5304-7670 FAX:03-5304-7671 メール:ors@idea.co.jp
女劇TOKYO23KU
記者HP:穂高健一ワールド
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北海道・泊原発の隣町での講演会が、女優ユニットたちによるテーマ劇として紹介された。中学二年生の女子が泣きながら手を上げて、こういったという。
練馬くん「私は泊原発のすぐ近くの町に住んで、24時間被爆している。原発の周辺で白血病の子どもが生まれる確率が高いというのは、本を読んで知っている。私も女の子です。年ごろになったら結婚もするでしょう。私、子ども産んでも大丈夫なんですか?」
豊島くん「女の子どうしでは、いつもその話をしている。結婚もできない、子どもも産めないって」
板橋くん「(中二の女子は)そう泣きながら訴えました。でも、だれも何も答えてあげられない」(原作:平井憲夫さんの作品より)
少女の深刻な叫びには、胸が痛むものがある。経済発展の名の下に、原発が建設されてきた。だれもがもう後戻りできないと諦めている。批判があっても、さらなる原発の建設が進む。他方で、原発事故は旧ソ連でも、アメリカでも起きているのだ。誰かがつねに問題を提議しなければ、取り返しのつかないところまで流されてしまう。
女優ユニットは放射能問題から目を逸らしていない。腰も引けていない。デビュー講演が終了したとき、テーマ劇で賛否はあろうと思うが、観客は大きな拍手を送っていた。東京女子学院・中学校高等学校の酒井学校長から、メンバー一人ひとりに花束が贈呈された。そこにも、おしみない拍手があった。
舞台終了後、感想を聞いてみた。板橋くんは本番前を振り返ってくれた。「台本が(悲惨な状況に対して)ストレート過ぎて、読むだけでも怖じ気たち、胸が押しつぶされてしまいました。最初はとても演技まで行きませんでした」。それを乗り越える辛さを語ってくれた。他方で、「俳優志願に反対だった父親が、観に来てくれました。きちんと演じられたし、父からいい感想が聞けた」と話す。
文京くんからも感想を聞けた。「本番中、私自身が語る人物のなかに入っていけました。私よりも年下の子が、(被爆して)皮膚がぺろりとむける。目を逸らしたいけれど、目を向けてきました。とくに北海道の中二の女子が、大人は『大うそつきのええ格好し』という叫びは心に響きました」と一体感を語っていた。
七十代の男性は「北朝鮮が核実験をしたとき、日本も核兵器を持つべきだと真剣に思いました。それでないと、北朝鮮が日本で使うだろう、と。今回の劇を観て、自分の考えは違うかもしれないと、迷ってしまった。日本は被爆国として簡単に核兵器を持ってはいけないのだ、と思いなおしはじめた」。日本が核武装すれば、もはや歯止めがなくなり、地球上どこにでも核兵器が存在し、分散化することになる。それは間違いないだろう。
劇中で台本を書く役を演じた、台東くんは「私は死ぬまで、このテーマを追い続けるでしょう。書き直しては演じる。どこまで行っても納得できるものは生まれないと思います。それでも続けます。『女劇TOKYO23KU』とともに、成長・進化していきます」と語ってくれた。そこには女優魂を感じた。
女優は顔立ちの良さだけで売り出せば、マスコミなどに上手に使われて消耗品としてやがて消えていく。芸の技法だけでは観客の心をつかめない。磨かれた精神がなければ、息の長い女優になれない。9人の女優はみずから心身の厳しさをもとめている。だからこそ、タブーに挑戦できるのだ。
20歳前後の彼女たちがこれらテーマ演劇をつづけていくかぎり、日本にはまだ被爆国としての良心が残っていると思った。
女優ユニットは活動が幅広いので、紹介しておきたい。映画『ヘレンケラーを知っていますか』のPR大使になっている。『東京大マラソン2007』のイベント(有明会場)の出演が決まっている。路上パフォーマンスとして、歌とダンスが予定されている。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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