鳥越俊太郎に聞く(2) ネットでも実名文化がいい
2007年01月02日16時00分 / 提供:J-CASTニュース
「市民記者」中心の「オーマイニュース」というインターネットニュースの編集長になった鳥越俊太郎さんに前回に続いてネットのあり方などについて聞いた。
(聞き手: J-CASTニュース編集長 大森千明)
大森: うちもコメント欄があるのでいっぱい書かれていますよ。色んなこと。ネットでは、鳥越さんは「毎日新聞の別働隊」、うちなんか「朝日新聞の別働隊」ですよ。いったいどこが別働隊なのかわからないけれど(笑い)。「そうじゃない顔をしているかもしれないけれど、本当はそうなんだろう」とか。癪にさわりますが、実は、良いカキコミもあるんですよ。J-CASTの記事へのイチャモンも含め、記事と一緒にコメント欄も提示することが意味があるのではないか。併せて一つのメディアと考えてもいいんではないかと。もちろん若干の管理が必要で、「バカ」とか「死ね」だけ書いているというのは出しませんけどね(笑い)。双方向性というけれどその辺がけっこう難しいですね。
鳥越: 僕らはスタート時点から明確な方針を持っていて、「責任ある参加」ということをきっちり打ち出していたんです。日本のネットは匿名文化が非常に育っていて、匿名文化を100%否定するわけではないけれど、これは僕の直感なんですが、その世界では盛り上がるものの、世の中を突き動かすもの、何かを生み出していく力にはなり得ない。やっぱりちゃんと顔の見える形で発言する社会。つまり実名文化というものがネットの中でも、既存のメディアの中でも作りたい、という思いが僕は強い。
オーマイニュースにもコメント欄があって、最初はおっしゃるように匿名でのいろんなカキコミがぶら下がっていて。同一人物と思われる人が同じ事を繰り返し書いていたり、「ウジ虫」とか書かれたりね(笑い)。それでこの前からオピニオン会員として登録した記者だけがコメント欄に書き込めるようにしたんです。そうなればもちろんコメントの数は減ります。
でもね、僕は日本人の知的レベルというものを信用しているんですよ。ネットで一時期はこういうこともあるだろうけれど、最終的には顔を出して実名でものを発言する文化が日本でも育ってほしいと。テレビの中でも僕は生きていて、いつも言っているんだけど、テレビの取材のインタビューなんかで「どうしてここでモザイクかけるの?」と。モザイクかけなくてもいいところで顔をぼかすんですよ。これはね、ディレクターが顔出しでインタビューを撮りたい。だからそこを粘って粘って、それでもダメだからモザイクというのならわかる。だけど「最初からそういうもんだ」というね、自分達の取材のお粗末さをね、視聴者に見せているようなもんなんですよ。
中央官庁の役人が、実名で内部の腐敗を書いてもらえると
アメリカのテレビは基本的にどんな深刻な問題も顔を出していますよね。顔を出せばでっち上げや捏造がしにくくなるということ。アメリカと日本の文化というか、日本ではちょっと批判的な事を言えば居ずらくなる、という日本の社会があるじゃないですか。そういうことが判っているから撮るほうも撮られるほうもモザイクに行ってしまう。でも、見てるとモザイクが多すぎなんですよ。
大森: 新聞も記事に署名を入れるようにだんだんなってきていますね。
鳥越: 名前を入れることによって客観性、公平性を担保するということなんです。だから欧米ではどんな小さな記事でも署名が入っている。ネットでもそうなればいいんですけどね。とは言っても、匿名がなくなるとは思わないから、全部無くなってほしいと言ってるわけじゃないけど、ネットの中にも実名にこだわるメディアがあってもいいんじゃないかと。僕が言いたいことはそういうことなんですよ。いろんなものがあってもいいと。
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