GSが消える?!メディアが書かない石油実情(下)
2006年12月22日11時41分 / 提供:PJ
(上)からのつづき。19日、激減するGSの現状を「全石連」(全国石油商業組合連合会・会長関正夫氏)の関係者に聞いてみた。「全石連」は全国2万5000社、4万8000のGSの総元締めである。電話に出た担当者らしき人物は、「事業者の交代は止むをえない実情」と受け止めつつ、「消費者からの負託にお応えする」と回答は丁重であった。
しかし、元売り(石油メーカー)の「ダウンストリーム」への志向は強まる一方だと不安そうでもあった。元売り系列子会社が、石油販売部門に精力を傾け、系列強化を図るとともに、販売網を確立する動きが活発なのである。事実、「全石連」指導者クラスの企業が、所有100カ所の内の数十カ所を(元売りとの)合弁会社化した動きすらある。明日に一城、夕べに一城、落城する城は増えている。疲弊する石油業界はまさに戦国の世。だが乱世の英雄は見当たらない。
消費者にとって、今まであった場所で、今までどおりのマークで、今まで以上のサービスであれば一見、利便性が損なっているとは思えないだろう。だが、地域サービスという視座では、東京にある本社の意向によって事業所の存続は決定されて行く。スーパーのダイエーやニチイが販売拠点の整理統合を果たしたのと同様の事態が惹起するのではないか。その不安から逃れることは難しい。2005年度の石油元売り各社の経常利益は、円安を受けて好調とされているが、大手5社計7645億円。自動車メーカーと比肩するべくもない。またその利益の内訳はトップ1社が40%以上を占め、一方GSでは2003年度51%、2004年度は47.7%とほぼ半数が赤字に転落。元売り、販売、業界こぞって構造不況業種なのである。
元売りは原油の供給安定に腐心している。自主開発油田の確保に巨額を投じ、GG原油(政府間輸入)を促進、代替燃料の研究開発にも熱心だ。さらに販売業界とも協調、CSR(企業の社会的責任)や地域貢献に熱意を注ぐ。販売業界では子どもの登下校の安全確保の拠点とし、大災害発生時には連絡場所を提供しようと試みている。そのことに疑義はない、当然のことではある。
だが、消費者にとって石油業界への最大の期待とは一重に石油製品の安定供給だけなのである。いうまでもなく国内ベースでの安定的供給ではない、全国津々浦々、隈なく張り巡らされたスタンド網にホコロビが入ってはならないと指摘したいのである。どこへ行っても給油可能な仕組み、価額の安定と価額表示の更なる徹底…。業界関係者はこれらを忘れてはならない。
消費者ニーズとは、それぞれの業界が与えられた義務を果たし、店ごとの安定したサービスの提供であり、強いてGSを災害拠点に求めているわけではない。販売業界は末端消費者の動向に鈍感な石油元売りを教育せねばならない。担当官庁、経済産業省石油部石油流通課は、消費者ニーズに応えねばならない。経済効率優先の発想は弱者切り捨てにつながる。伝統的にPRの下手な石油販売業界。内なる戦いや(ホームセンターなどとの)異業種間競争に明け暮れている場合ではない。
最大手A社の札幌支店次長だったS氏(58)は、大学、実業団を通じて野球の名選手であった。プロ選手を輩出してきたA社では野球部出身者は出世するとされてきた。昨年のある日、東京本社に呼び出されたS氏は、北関東にある地元S社との合弁会社の副社長出向を命じられた。寝耳に水であったがそこは社命、従うしかなかった。形を変えたリストラである。転勤に転勤を重ねた団塊世代のS氏、家族と離別する生活がまだ続く。華々しく見える業界では悲劇も多い。
ある日、ある村から、ガソリンスタンドが消える。その時、「給油は隣村で」では困るのだ。スーパーで肉や野菜が買えなくとも、その日を過ごすことはできる。だがGSがなければクルマも人も身動きはとれない。注意してみれば気がつくはずだ。地価高騰が続く都会地では、すでに中心市街地からガソリンスタンドが消え去っていることを。【了】
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しかし、元売り(石油メーカー)の「ダウンストリーム」への志向は強まる一方だと不安そうでもあった。元売り系列子会社が、石油販売部門に精力を傾け、系列強化を図るとともに、販売網を確立する動きが活発なのである。事実、「全石連」指導者クラスの企業が、所有100カ所の内の数十カ所を(元売りとの)合弁会社化した動きすらある。明日に一城、夕べに一城、落城する城は増えている。疲弊する石油業界はまさに戦国の世。だが乱世の英雄は見当たらない。
消費者にとって、今まであった場所で、今までどおりのマークで、今まで以上のサービスであれば一見、利便性が損なっているとは思えないだろう。だが、地域サービスという視座では、東京にある本社の意向によって事業所の存続は決定されて行く。スーパーのダイエーやニチイが販売拠点の整理統合を果たしたのと同様の事態が惹起するのではないか。その不安から逃れることは難しい。2005年度の石油元売り各社の経常利益は、円安を受けて好調とされているが、大手5社計7645億円。自動車メーカーと比肩するべくもない。またその利益の内訳はトップ1社が40%以上を占め、一方GSでは2003年度51%、2004年度は47.7%とほぼ半数が赤字に転落。元売り、販売、業界こぞって構造不況業種なのである。
元売りは原油の供給安定に腐心している。自主開発油田の確保に巨額を投じ、GG原油(政府間輸入)を促進、代替燃料の研究開発にも熱心だ。さらに販売業界とも協調、CSR(企業の社会的責任)や地域貢献に熱意を注ぐ。販売業界では子どもの登下校の安全確保の拠点とし、大災害発生時には連絡場所を提供しようと試みている。そのことに疑義はない、当然のことではある。
だが、消費者にとって石油業界への最大の期待とは一重に石油製品の安定供給だけなのである。いうまでもなく国内ベースでの安定的供給ではない、全国津々浦々、隈なく張り巡らされたスタンド網にホコロビが入ってはならないと指摘したいのである。どこへ行っても給油可能な仕組み、価額の安定と価額表示の更なる徹底…。業界関係者はこれらを忘れてはならない。
消費者ニーズとは、それぞれの業界が与えられた義務を果たし、店ごとの安定したサービスの提供であり、強いてGSを災害拠点に求めているわけではない。販売業界は末端消費者の動向に鈍感な石油元売りを教育せねばならない。担当官庁、経済産業省石油部石油流通課は、消費者ニーズに応えねばならない。経済効率優先の発想は弱者切り捨てにつながる。伝統的にPRの下手な石油販売業界。内なる戦いや(ホームセンターなどとの)異業種間競争に明け暮れている場合ではない。
最大手A社の札幌支店次長だったS氏(58)は、大学、実業団を通じて野球の名選手であった。プロ選手を輩出してきたA社では野球部出身者は出世するとされてきた。昨年のある日、東京本社に呼び出されたS氏は、北関東にある地元S社との合弁会社の副社長出向を命じられた。寝耳に水であったがそこは社命、従うしかなかった。形を変えたリストラである。転勤に転勤を重ねた団塊世代のS氏、家族と離別する生活がまだ続く。華々しく見える業界では悲劇も多い。
ある日、ある村から、ガソリンスタンドが消える。その時、「給油は隣村で」では困るのだ。スーパーで肉や野菜が買えなくとも、その日を過ごすことはできる。だがGSがなければクルマも人も身動きはとれない。注意してみれば気がつくはずだ。地価高騰が続く都会地では、すでに中心市街地からガソリンスタンドが消え去っていることを。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 今藤 泰資
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