時のことば『日銀短観』
2006年12月15日11時40分 / 提供:ライブドア・ニュース
最も信頼される景気指標として
【ライブドア・ニュース 2006年12月15日】− 日銀は15日、企業短期経済観測調査(短観)を発表。今回、景気全体の指標とされる大企業・製造業の数字はプラス25 だった。前回9月調査ではプラス24だったので1ポイントの上昇となる。これで3四半期連続での改善との結果となり、利上げ圧力が高まることが予想されるが、一方で審議委員の間では年末の景気動向をさらに確認する意向も強いとされ、利上げは来年1月以降に持ち越されたとの観測が大勢だ。経済人にとってはなじみ深い短観(タンカン)。しかし、一般にその仕組みがよく理解されているとは思えないので、概観に触れておきたい。
短観は毎年3、6、9、12月に行われる日銀による“景気アンケート調査”と考えればいいだろう。調査は全国の大手企業と中小企業(製造業と非製造業者)を対象に、生産や売り上げ等の業績、設備投資の状況、雇用状況などを聞く。対象は約1万社に及ぶ(今回は若干少なく9789社)。
先述したプラス○○というのは、業況判断指数(DI)と呼ばれるもので、これは各企業の代表者に業況を「良い」「さほど良くない」「悪い」と回答させ、「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いて算出したもの。この数字が高くなれば、「景気はいい」と判断している人の数が多いことになるわけだ。
ここでは、今回の短観=景気判断の中身について触れるのが真意ではないので、なぜ日銀短観が景気指標として重要視されるのか考えてみたい。
まず、調査対象が資本金10億円以上の上場企業と、同2000万円から10億円までの中堅・中小企業ということで、日本の企業全体をほぼ網羅して対象にしている偏りのないものと考えられ、サンプル数も約1万と多いこと。さらに、回収率も97〜98%と高い。また、アンケートの実施から公表までが10日程度と短いので、足元の景況感がつかみやすいと評価されている側面もある。
一方、一番大事なことはこの調査を日銀という“権威”が行っていることだろう。他にも同様の調査はあっても、やはり通貨供給の責任者である日銀によって判断を聞かれ、さらにそれが日本全体の景気動向把握の一助となることが分かれば、いい加減な答え方はできにくいと考えるのが普通である。
評論家の田中直毅氏も強調しておられるように、この調査に当たっては日銀の各支店では回答全体に整合性がないと判断した場合、担当者が直接該当企業に連絡して確認・再考を促すという。そういった面でも、一種の権威とともに、正確さの追求の努力が実行されていると考えられている。
一方、この田中氏のように「日銀短観は最も信頼性が高く、景気を判断するための主要な指標だ」と強く主張する人も多いが、「正しく使われていない」「見方が偏っている」とする識者も存在するようだ。また、この指標は3カ月先の見通しも聞いていることが特色なのだが、あくまで具体数字に基づく実数ではなく、主観的な“判断”であることが重要。経済指標としての整合性に関して、この「いい」「悪い」という主観がどのように位置付けられるのかは、私には知識がなく分からない。ただ、結果として企業現場の足元の雰囲気をよく伝えている、と考えることは可能だろう(中小企業の景況感が重要との指摘も根強い)。
実際、経済専門家の間ではこの「タンカン」が大変に重い響きを持って語られることが通例である。先に述べたような景気の判断指標として最も大きな重みを持って語られるだけでなく、各種の経済研究所、メディアからは「数字の予測記事」までが提供されるほどだ。実体経済には、人の気分による影響もあるので、その意味でも影響力はかなり高いと考えるのが自然だろう。やはり、日銀という大きな権威の持つ力なのだろうか。【了】
ライブドア・ニュース 満富俊吉郎
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