倒産の“質の変化”を読む=帝国データバンク(中)
2006年12月05日08時52分 / 提供:PJ
(上)からのつづき。帝国データバンクの中森情報取材課長は、近年の危機封じ込めと、倒産抑制政策のなかで起きている倒産を、タイプ別に分類している。そのポイントは次のようなものだ。
▽不況型倒産=景気回復局面でも、成熟化により市場規模の縮小する場面で、経営不振となる。「構造的」な不況によるものが、4年連続で構成比の7割を占めている。この傾向は、今後も続くであろう。
▽老舗倒産=これも長期にわたって地方で見られる傾向で、かつては、信用と資産が評価されていたものが、地価下落で担保価値が目減りする。地域金融機関の地盤沈下や、後継者難などで、2代目、3代目、4代目で倒産する。業種を問わず発生し、構成比3割弱を占める。
▽業種別=建設業が地方の工務店で相変わらず多い。次に小売業とサービス業の順。とくにサービス業は、新規参入しやすいことが、競争の激化につながっている、という。
▽態様別=最近減少しているが、それでも民事再生法と破産が多い。なかでも事業再生が不可能で、事業継続を断念するケースが最近は急増している。
▽規模別=負債1000万円以上5000万円未満の倒産が圧倒的に多くなった。
市場メカニズムの歪みが倒産メカニズムをも崩す
同時にまた、“危機封じ込め政策”によって倒産が抑制されたことの影響も指摘する。「銀行と運命共同体にある大手問題企業については、会社分割、債権放棄、私的整理ガイドライン、債権の株式化、増資、統合・合併などあらゆる手法を駆使して法的整理を避ける流れを鮮明にした」(中森氏)。フジタ、ハザマ、熊谷組、日商岩井、トーメン、藤和不動産、大京、ダイエー、西部百貨店などの救済がそれであるという。それは、本来であれば、銀行の体力範囲内での中堅、中小零細企業の処理が主流になるはずだが、大手問題企業だけでなく倒産全体が抑制、先送りがなされてきたことを示すものであろう。
06年も残りわずかだが、今年はどんな倒産があったのか? それを見ると、主なもので、4月に旧称号(株)間組の青山管財(株)、5月には東京臨海副都心建設(株)、竹芝地域開発(株)、(株)東京テレポートセンターで、負債総額はいずれも1000億円以上2000億円以内の民事再生法適用である。東京都の第3セクターは、税収が増えて、倒産できなかったものが倒産できるようになった、という見方もできる。「市場メカニズムのみならず、倒産メカニズムまで崩れてきた」と中森課長は、倒産内容の変質を指摘する。
今後の見通し=倒産減少要因は限定的だが、当面は減少継続の可能性も
通常の景気循環による、企業の新陳代謝としての倒産が失われた代償が、現在の実感なき景気拡大の遠因となっている可能性は、否定できない。これからも「倒産件数が減少、負債が小型化しているとはいえ、水面下では、倒産予備軍はいまだ数多く点在。業績急進企業の危うさも含めて信用リスク、信用収縮は決して解消されていない」というのだ。そして、今後の倒産動向を見る注目ポイントとして次のような要因を上げた。
(1)デフレ圧力、円高による企業業績回復の遅れ、依然として資産デフレ、二極化が進む。
(2)解消されない金融機関の慢性的な自己資本。
(3)銀行の資産査定強化による債権回収の加速。
(4)ペイオフ全面解禁後の地銀・第二地銀・信金・信組の再編と債権回収圧力。(5)貸し出し金利の引き上げ交渉による融資先企業の切捨て。
(6)これまで先送りによる倒産予備軍の山積。
(7)オーバーローン、オーバーキャパシティ状態の限界。
(8)解消されない中小企業の過剰債務。
(9)各セクターでの上場企業の淘汰、整理。
(10)オーバーローン、オーバーキャパシティ状態の限界。
(11)監査法人の監査強化による債務超過・赤字転落企業の続出。
(12)税効果会計の厳格化、減損会計の本格導入。
(13)不祥事、事件絡みなどのコンプライアンス、法改正、規制強化による倒産。(14)素材価格の上昇の影響、コストプッシュ、インフレ型倒産の発生。
(15)信用保証の削減をはじめとする公的保証の政策転換の影響。
(16)今後の再生企業の頓挫、無担保融資拡大による新規の不良債権発生懸念。
(17)新興上場企業の信用リスク。
(18)業容拡大による資金ショート、死に体企業の表面化――などである。
そして、さらにこれらリスク環境のなか、中森課長は、新興市場上場企業におけるリスク要因を示すのであった。【つづく】
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▽不況型倒産=景気回復局面でも、成熟化により市場規模の縮小する場面で、経営不振となる。「構造的」な不況によるものが、4年連続で構成比の7割を占めている。この傾向は、今後も続くであろう。
▽老舗倒産=これも長期にわたって地方で見られる傾向で、かつては、信用と資産が評価されていたものが、地価下落で担保価値が目減りする。地域金融機関の地盤沈下や、後継者難などで、2代目、3代目、4代目で倒産する。業種を問わず発生し、構成比3割弱を占める。
▽業種別=建設業が地方の工務店で相変わらず多い。次に小売業とサービス業の順。とくにサービス業は、新規参入しやすいことが、競争の激化につながっている、という。
▽態様別=最近減少しているが、それでも民事再生法と破産が多い。なかでも事業再生が不可能で、事業継続を断念するケースが最近は急増している。
▽規模別=負債1000万円以上5000万円未満の倒産が圧倒的に多くなった。
市場メカニズムの歪みが倒産メカニズムをも崩す
同時にまた、“危機封じ込め政策”によって倒産が抑制されたことの影響も指摘する。「銀行と運命共同体にある大手問題企業については、会社分割、債権放棄、私的整理ガイドライン、債権の株式化、増資、統合・合併などあらゆる手法を駆使して法的整理を避ける流れを鮮明にした」(中森氏)。フジタ、ハザマ、熊谷組、日商岩井、トーメン、藤和不動産、大京、ダイエー、西部百貨店などの救済がそれであるという。それは、本来であれば、銀行の体力範囲内での中堅、中小零細企業の処理が主流になるはずだが、大手問題企業だけでなく倒産全体が抑制、先送りがなされてきたことを示すものであろう。
06年も残りわずかだが、今年はどんな倒産があったのか? それを見ると、主なもので、4月に旧称号(株)間組の青山管財(株)、5月には東京臨海副都心建設(株)、竹芝地域開発(株)、(株)東京テレポートセンターで、負債総額はいずれも1000億円以上2000億円以内の民事再生法適用である。東京都の第3セクターは、税収が増えて、倒産できなかったものが倒産できるようになった、という見方もできる。「市場メカニズムのみならず、倒産メカニズムまで崩れてきた」と中森課長は、倒産内容の変質を指摘する。
今後の見通し=倒産減少要因は限定的だが、当面は減少継続の可能性も
通常の景気循環による、企業の新陳代謝としての倒産が失われた代償が、現在の実感なき景気拡大の遠因となっている可能性は、否定できない。これからも「倒産件数が減少、負債が小型化しているとはいえ、水面下では、倒産予備軍はいまだ数多く点在。業績急進企業の危うさも含めて信用リスク、信用収縮は決して解消されていない」というのだ。そして、今後の倒産動向を見る注目ポイントとして次のような要因を上げた。
(1)デフレ圧力、円高による企業業績回復の遅れ、依然として資産デフレ、二極化が進む。
(2)解消されない金融機関の慢性的な自己資本。
(3)銀行の資産査定強化による債権回収の加速。
(4)ペイオフ全面解禁後の地銀・第二地銀・信金・信組の再編と債権回収圧力。(5)貸し出し金利の引き上げ交渉による融資先企業の切捨て。
(6)これまで先送りによる倒産予備軍の山積。
(7)オーバーローン、オーバーキャパシティ状態の限界。
(8)解消されない中小企業の過剰債務。
(9)各セクターでの上場企業の淘汰、整理。
(10)オーバーローン、オーバーキャパシティ状態の限界。
(11)監査法人の監査強化による債務超過・赤字転落企業の続出。
(12)税効果会計の厳格化、減損会計の本格導入。
(13)不祥事、事件絡みなどのコンプライアンス、法改正、規制強化による倒産。(14)素材価格の上昇の影響、コストプッシュ、インフレ型倒産の発生。
(15)信用保証の削減をはじめとする公的保証の政策転換の影響。
(16)今後の再生企業の頓挫、無担保融資拡大による新規の不良債権発生懸念。
(17)新興上場企業の信用リスク。
(18)業容拡大による資金ショート、死に体企業の表面化――などである。
そして、さらにこれらリスク環境のなか、中森課長は、新興市場上場企業におけるリスク要因を示すのであった。【つづく】
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パブリック・ジャーナリスト 伊藤 昭一
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