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昭和初期文献「末期の資本主義」を読んで。 

2006年12月01日14時24分 / 提供:PJ

pj
高橋亀吉(1894〜1977)という男がいた。安倍総理と同郷、山口県出身の彼は、早稲田大学卒業後、石橋湛山(岸総理の前の総理で短命に終わる)が主幹をしていた東洋経済新報社に1918年入社する。1926年に同社退社後は、フリーとして経済評論に活躍した。その彼の「末期の資本主義」という論文がある。日本評論社刊、社会経済体系第7巻所載。社会経済体系は全20巻、1926〜28年に刊行。執筆年代ははっきりしないが、昭和初年頃であろう。その分析の中に、以下のようなものを見つけた。これは、2006年の現在のことを言っているのではない。

1)財産世襲の結果、能力次第、努力次第の自由競争の前提たるスタートの機会均等と云うことが破られた。例えば、教育の機会が貧富の差に由って著しく不公平となった如きはその最重要なものである。

2)加うるに、今日の世の中(即ち資本主義末期の世の中)は、才能、人格と云うが如きものよりも財産が「モノヲ云ウ」時代である。さればもし教育のスタートが均等であっても、無産者の子弟は有産者の子弟と太刀打ちは出来ない仕組みであるのに、教育のスタートも亦、無産者の子弟に多大なハンデキャップを荷わしているのである。

3)更に又、財産世襲の結果は、資本の専制君主を凡庸化し、人物及才能よりも、クダラぬ私情によって地位の上下を移動さすこと宛かも世襲の大名が凡庸化して、クダラない私情により家来の進退賞罰を行うに至ったと同一である。斯くて、『世の中は、宛も幕末のそれの如く、権勢に阿諛する劣腹漢のみ独り跋扈するに至った』

 21世紀の日本に於いて生まれている「格差社会」は、この分析そのものではないであろうか?タウンミーティングの「やらせ」行為などは、多大な国費(税金)をつかって、国民の意識を一つの方向へ動かそうとする大きな意志がそのシナリオ以上に働いていたことが、歴然としてきた。「自由」をいいながらその実は「統制」でしかない。しかし、政治不信は、益々大きくなったとしても、その動きは、力として、行動として、現れることは無い。

 なぜならば、国民は不安定を求めるのではなく、安定した生活と、日々の安心を求めているからである。野党が、その指導力を持たず、組合も経営者との対決をせず、底辺労働者やひ孫下請けは、どんどんとそのしわ寄せを受けても、生かさず殺さず、多重債務の日々の返済にその命をすり減らしていく現実の下では、ストライキやデモ行進に時間を費やし、収入がなくなって借金が焦げ付く恐怖の方が先行して、何も行動できないのが当然なのだ。

 自由民主党が、自らの利権を守るためになりふりかまわない状態になっている。来年の参議院選挙での敗北を防ぐためには、力ある人を復党させ、その政権基盤を強くして、その後の政治目標を達成しようというのだろう。「政治には最後に情というものがある」という発言もあったようだ。それは、きっと「情けは人の為ならず」なのだ。自分のことしか考えない自由民主党の姿を素直に言い表す言葉がでてきたものだ。

 『世の中は、ちょうど幕末のように、権力と勢力に、気に入るようなことを言ったりしたりすることばかりの卑しい心の持ち主のみが、のさばりはびこることになってしまった』。高橋亀吉が指摘した最後の部分を易しく言えば、このようになる。資本主義の末路とは、このようなものなのか。昭和初年の日本は、ご存じのような歴史を歩んでいった。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 鈴木 修司

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タウンミーティング  格差社会  税金  PJ  参議院  
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