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夕張市破綻、国は憲法25条にどう対処する(下)

2006年11月27日09時19分 / 提供:PJ

pj
(中)からのつづき。歳出削減を図り、住民にも重い負担を強い、標準財政規模わずか44億円の自治体が総額360億円にものぼる膨大な赤字をどう解消していくのか。5頁の資料からはその大勢感も具体的道筋もまったく見えてこない。そのなかで、憲法でいう「健康で文化的な最低限の生活」水準がどう保障されるのかは、当然のことながら詳らかにされていない。

 現在、夕張市の人口の3割強は70歳以上の高齢者である。つまり課税負担に弱いさらには納税力の弱い税年齢構成となっている。石炭産業の衰退、閉山、観光産業投資失敗という過程における再建団体への転落であり、夕張市の人口は産炭地として隆盛をきわめた最盛時の11万人から減少の一途にある。市民の経済的負担を増やせば、それを嫌気し転職可能な人々、特に若い人々の夕張市脱出が増える。その一方で、市内には脱出すらできぬ経済的弱者の人々が残されていき、その人々への課税額はさらに大きくなる。そのおぞましい負の連鎖は実際にもう始まっている。

 現行の準用再建制度では、認定自治体に起債が認められるほかは国から一時借入金に対する特別交付税措置などがあるだけで、抜本的な財政支援措置は講じられていない。夕張市の言うように20年間という長期にわたり市民に重い負担と劣悪な行政サービスのもとで約定弁済を続けていくと述べるしか策がないのが現実である。

 「地方分権21世紀ビジョン懇談会」の報告を踏まえ、この2006年7月7日の閣議で「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」が承認され、「再建法制等も適切に見直す」とされた。今後、民間でいう破綻組織の存続を前提とした「会社更生法」や「民事再生法」のような法整備が地方自治体の破綻法制の議論のなかで深められていくことになろう。

 しかし、夕張市にその議論の決着を待つ時間的猶予は与えられていない。国も総務省も今回の夕張市のケースは、ただ、歳出削減を厳しくと「口先」指導を行うだけではなく、国として「健康で文化的な最低限の生活」水準とはいったい具体的に何を言うのか、どの行政サービスは残し、どのサービスは停止するのかなど具体的指針を示す必要があろう。そして、夕張市単独でその指針にある水準まで達することが不可能な場合は、まずは国の財源で最低限の生活を保障する義務があるはずである。

 本件については行政間のやりとりで時間を空費する余裕も夕張市に住む住民の不安をいたずらに引き伸ばす精神的余裕も残されていない。速やかに破綻法制の整備を行う努力を進めることは言うまでもないが、いま目前にある夕張市の財政再建には、行政には「大ナタ」を振るい、市民には「安心」という国民の国民たる権利を与え振る舞うべきである。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 野田 博明

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