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時のことば『裁判員制度』

2006年11月24日10時15分 / 提供:ライブドア・ニュース

なぜ、私たちが人を“裁ける”と言うのだろうか?

【ライブドア・ニュース 2006年11月24日】− 週初には、09年5月までに開始されるという裁判員制度の関連で、複数の事件で起訴された被告の刑事裁判を事件ごとに分割して審理するという「部分判決制度」の導入が一斉に報じられた。要は、これまでのやり方どおりだと、一般から参加する裁判員にかなりの負担がかかることになるので、それを避けるための方策だと言う。

 今はとにかく、最高裁を始め、国家法曹はこの「裁判員制度」の導入に躍起という感じだ。東京内外のちょっとしたイベントにも、唐突に裁判員制度PRのブースが現れることが珍しくない。それくらい、必死になって周知しようとしているが、果たしてこの制度はキチンと機能するのだろうか。

 同制度は04年5月、超スピード審理で成立し、先述したように09年5月までに開始されると規定している。

 制度の成立事情は後回しにするとして、その骨組みを改めて検討してみる。

 ごく簡単に言うと、これまで難しい刑事裁判は裁判官3人の合議制によって執り行われていたが、そこに民間から“無作為”に選ばれた裁判員6人を参加させ、証拠調べを行うとともに、最終的に刑の重さ(量刑)の決定にも参画させるというもの。さほど複雑でない場合は裁判官1人に裁判員4人だったり、裁判員やその親族に危害が加えられる怖れがあると、裁判官のみで審理や判決ができたりといくつかの例外はあるのだが、それはひとまず措(お)いておこう。

 対象となる犯罪についても、基本的には「死刑又は無期若しくは禁固に当たる罪に係る事件」であるが、建造物放火や身の代金目的誘拐、危険運転致死罪などその他の“悪質”犯罪も入るとされている。この辺も分かりにくいが、ざっと理解しておけばいいだろう。

 さて、本題に入る。果たして、私たちはこの新しい制度を素直に受け入れ、また活用して裁判に参画していけるのだろうか?

 私は、この制度が2年以上前に成立したときにも「なぜ、今なのか?」「国民的議論はあったのだろうか」と大変に怪しんだ一人だが、本当にアレヨアレヨという間に決まった感じ。なぜ、そんなに急いだのかという気がする。

 一般には、裁判の迅速化と職業裁判官による非常識な判断を防ぐためとされてはいる。しかし、裁判の早期化の面はともかく、一般から裁判員が選ばれれば非常識な判決は減るのだろうか。

 実際は、むしろ逆ではないかと思われる。詳しくは述べないが、裁判員は端的に言うと選挙人名簿から「くじ」によって選ばれる。だから、誰でも選ばれる可能性があるものであり、欠格事由はあっても、高齢者であったり重い病気(本人)や親の介護といった問題を抱えていない限り、原則として辞退できない。

 そして、一方にある裁判員の守秘義務の問題。証拠調べの際などに、かなり残酷な写真なども見なければならないために、その後の影響なども心配される。そして、何よりも本人のキチンとした「やる気」という意識と、人の生き死にに関われる(死刑判断を迫られる場合も当然ある)高い識見があるのかどうか。答えは否であろう。

 そうすると、政府側は「そこは裁判官でカバーするように担保されている」と言うに決まっている。事実、それらしい決まり(制度)も持っている。しかし、本当にそうならば、逆に最終的には裁判官が判断することであり、裁判員はその判断を肯定するばかりのお飾りにならないだろうか。国の審議会の委員のように、「しごくごもっとも」と判決にも同意して終わってしまう可能性もあるのである。

 いまだに国民は、「公平な判断はできない」「できればやりたくない」という人が多いと思う(05年の内閣府調査では、実に7割が「参加したくない」と回答)。

 ノホホンと生きている私のような人間を含めて、とても“人を裁く”ことなぞできるハズもない。職業裁判官が非常識だというならば、それはむしろ“現象しか見ない”私たちに降りかかってくる言葉だろう。冷静な判断を下せる人は、冷静に人の話が聞ける人だけである(マスコミも常に冷静ではあり得ない)。あえて、この制度の再考を提言したい。【了】 ライブドア・ニュース 満富俊吉郎

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