ライブドア(LD)グループをめぐる証券取引法違反事件で、同法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた旧経営陣4人の公判が22日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれ、最終意見陳述が行われた。元財務担当取締役・宮内亮治被告は声を詰まらせながら「大変な迷惑をかけました」と改めて謝罪した。一方、元代表取締役の熊谷史人被告は、投資ファンドと通じた自社株売却益の売り上げ計上については「私としては違法ではないと思っている」と述べ、一部無罪を主張。マスコミへの検察の情報リークについても「悪意に満ちている」と厳しく批判した。

 4人の元幹部への公判はこの日で結審し、判決は来年3月22日に言い渡される。同じく罪に問われたLDとLDMへの判決は、3月23日と決まった。

 他に同法違反の罪に問われたのは、ライブドアマーケティング(LDM)元社長、岡本文人被告と、ライブドアファイナンス(LDF)元社長の中村長也被告。すでに検察側は一連の事件について「経済に与えた悪影響は重大である」として、宮内被告に懲役2年6月、他の3被告には懲役1年6月を求刑している。

 宮内被告は最終意見陳述で「私の認識不足、知識不足、法令順守意識不足からこのような問題を起こしてしまい、関係者に多大な迷惑かけたことを大変申し訳なく思っている。今後、仮に社会復帰ができれば今回の件が胸に刻まれているので、しっかりと社会貢献ができる人間になりたい」と述べた。

 岡本被告ははっきりとした声で「検察の起訴状などは、事実と大幅に乖離(かいり)する部分があるが、私が過ちを犯してしまったのは事実で、その部分は深く反省している。強制捜査以後は捜査に協力し、私の知っている事実を述べてきた。今後は二度とこのような過ちを犯さないようにしたい。私は社会の信頼を失ってしまったが、私を支援してくれる人もいる。そうした人の支援を受けながら、社会貢献をしたい。社会貢献をする機会を与えてほしい」と語った。

 中村被告は一言、「社会に迷惑をかけて、申し訳ない」とだけ話し、小坂裁判長から言うことはそれだけでいいのか、確認される場面があった。

 熊谷被告は「このような証券取引法違反事件を起こし、反省している。おそらくLD社員はつらい思いをしたと思う。マスコミで虚業だと言われ、LD社員というだけでアパートが更新されなかったこともあったと聞いた。それでも今、LDで働いている社員がいると思うと、胸が痛む。株式の100分割については、個人資産を(貯蓄など間接金融ではなく)直接金融にまわすという国の施策に従って投資単位を下げ、私としては協力してきたつもりだ。しかし、(LD株主には)証券投資が初めてという方も多く、株主の方には迷惑をかけてしまった。このような事件を起こし、非常に恥ずかしく思っている」と謝罪した。

 一方で、検察の捜査については「検察官の主張は私の知ることとまったく違う。事件の真相は会計処理の問題だ。ファンド(からの分配金)の計上も、私としては違法でないと思っている。強制捜査で、脱税やマネーロンダリングなど悪意に満ちた(マスコミへの)リークで市場を混乱させた検察の捜査を今もって信じられない。私を担当した検事も『上層部の風説の流布は断じがたい』と言っていた」と批判した。その上で「判決は真摯(しんし)に受け止めたい。罪を償うことができるように、一生をかけていきたい」と述べた。

 最終陳述に先立って行われた最終弁論では、弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。ただ、中村被告と熊谷被告の弁護人は、検察側が主張するダミーファンドの定義を示していないことなどを指摘。熊谷被告側は一部無罪を主張した。【了】

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