今週のお役立ち情報
世界最年少K2登頂成功・21歳の笑顔(2)
2006年11月21日08時21分 / 提供:PJ
【PJ 2006年11月21日】−
(1)からのつづき。アタック隊の青木達哉さんと小松由香さんが頂上を目指して第三キャンプを出発したのは8月1日。約8時間、4キログラムある酸素ボンベを2本持っていったそうである。当初アタック隊に選ばれたのは、最も体調のよかった彼ら2人を含めた計3人だったが、軸となる隊員がベースキャンプ出発後に急性の盲腸炎にかかりアタックを断念。そのためこの23歳と21歳の若い2人だけで登頂を目指すことになったという。
K2登頂に成功したのは8月1日午後4時50分。登頂には遅すぎる時間だそうだ。達哉さんは登頂に成功した瞬間、嬉しさのあまり周りが何も見えなかったと話していた。そう話すはにかんだ笑顔は紛れもない21歳の若者だ。
問題はここからだった。頂上にいる間に5時をまわり夕方になってしまったため、途中暗闇の中ヘッドランプだけの下山となったのだ。夜半に入ってからの下山は過酷な状況に見舞われた。極度に酸素が少ない8200メートルでの酸素切れ、バッテリー切れによるヘッドランプの使用不可、またルートの関係でベースキャンプとの間の無線が不通になるなか、二人は極寒の氷の斜面に身を縮めて一夜を明かした。
これまでK2では、8000メートル以上のビバーク(テントなしで座って一夜を明かす)で、無事生還した例は極めて稀だそうだ。頻繁な落石、強風、凍傷などの危険、しかも救助自体が困難なため、自力下山できなければ助かる見込みがない。その頃ベースキャンプでは二人が遭難したと考え、その対策に追われていたとのこと。
達哉さんは酸素がないことは本当に辛かったと話す。低酸素状態になると体は言うことをきかず、思考力もなくなり、歩いていても強烈な睡魔が襲ってくる。積もった雪の中、5歩下って座って休み、ふっと気がつくと寝ている、の繰り返しだったそうだ。
第三キャンプに到着したのは8月2日の正午。テントの中に入り、ようやく落ち着いたというが、低酸素状態で過酷な下山をしたため体が衰弱し、通常だったら一分あれば脱げる登山靴を脱ぐのに、なんと4時間もかかってしまった。靴を脱ぎながらうとうと寝込んでは目を覚ますを繰り返したためだ。
翌3日朝9時、達哉さんと小松さんは第三キャンプを出発。下山は重い荷物と疲労によって、とても時間がかかり、ベースキャンプに到着したのは8月4日の夜中の1時だった。下山を開始してはじめて、やっと多くの人に囲まれ、心から安心したという。この瞬間は登頂に成功したときよりも嬉しかったと話していた。
この講演会には父親の公達さんも同席していた。「子どもをK2に行かせるのに、心配ではなかったか」という会場からの質問に、「子どもからK2に行きたいと聞いたときは、K2の麓にいくだけでも彼にとっていい経験になると思いOKを出した。大学山岳部の50周年記念事業だと聞いていたので登山はOB中心になると考えていた。子どもをパキスタンに送り出してからK2の事を詳しく調べて大変なところに行かせたと覚悟を決めた。しかしアタック隊に選ばれ、頂上を目指すなどとは最後まで予想もしていなかった」と話していた。
弱冠21歳の若者が、K2という世界一困難な山といわれる山にアタックし、世界最年少での登頂に成功した。しかし本当の意味での彼らの果たした偉業は、無線も通じず、酸素もなく朦朧とした意識の中、諦めることなく生還に向けての歩みを一歩一歩進めた、その精神力を保ったことだっただろう。
最後に会場から今後について聞かれ、「親がいるので言いにくいが、登頂に成功したことでこれからもっと自分の可能性を試したくなった」と話していた達哉さん。
過酷な経験をこれからにつなげようとする旺盛な冒険心に驚くと同時に、その爽やかな笑顔に隠れる芯の強さと、心のしなやかさを垣間見た気がした。【了】
■関連情報
参考資料 http://www.u-tokai-k2.jp/
記者ブログ http://miyu-pokapoka.cocolog-nifty.com/
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 山下 真由美【 茨城県 】
この記事に関するお問い合わせ / PJ募集
K2登頂に成功したのは8月1日午後4時50分。登頂には遅すぎる時間だそうだ。達哉さんは登頂に成功した瞬間、嬉しさのあまり周りが何も見えなかったと話していた。そう話すはにかんだ笑顔は紛れもない21歳の若者だ。
問題はここからだった。頂上にいる間に5時をまわり夕方になってしまったため、途中暗闇の中ヘッドランプだけの下山となったのだ。夜半に入ってからの下山は過酷な状況に見舞われた。極度に酸素が少ない8200メートルでの酸素切れ、バッテリー切れによるヘッドランプの使用不可、またルートの関係でベースキャンプとの間の無線が不通になるなか、二人は極寒の氷の斜面に身を縮めて一夜を明かした。
これまでK2では、8000メートル以上のビバーク(テントなしで座って一夜を明かす)で、無事生還した例は極めて稀だそうだ。頻繁な落石、強風、凍傷などの危険、しかも救助自体が困難なため、自力下山できなければ助かる見込みがない。その頃ベースキャンプでは二人が遭難したと考え、その対策に追われていたとのこと。
達哉さんは酸素がないことは本当に辛かったと話す。低酸素状態になると体は言うことをきかず、思考力もなくなり、歩いていても強烈な睡魔が襲ってくる。積もった雪の中、5歩下って座って休み、ふっと気がつくと寝ている、の繰り返しだったそうだ。
第三キャンプに到着したのは8月2日の正午。テントの中に入り、ようやく落ち着いたというが、低酸素状態で過酷な下山をしたため体が衰弱し、通常だったら一分あれば脱げる登山靴を脱ぐのに、なんと4時間もかかってしまった。靴を脱ぎながらうとうと寝込んでは目を覚ますを繰り返したためだ。
翌3日朝9時、達哉さんと小松さんは第三キャンプを出発。下山は重い荷物と疲労によって、とても時間がかかり、ベースキャンプに到着したのは8月4日の夜中の1時だった。下山を開始してはじめて、やっと多くの人に囲まれ、心から安心したという。この瞬間は登頂に成功したときよりも嬉しかったと話していた。
この講演会には父親の公達さんも同席していた。「子どもをK2に行かせるのに、心配ではなかったか」という会場からの質問に、「子どもからK2に行きたいと聞いたときは、K2の麓にいくだけでも彼にとっていい経験になると思いOKを出した。大学山岳部の50周年記念事業だと聞いていたので登山はOB中心になると考えていた。子どもをパキスタンに送り出してからK2の事を詳しく調べて大変なところに行かせたと覚悟を決めた。しかしアタック隊に選ばれ、頂上を目指すなどとは最後まで予想もしていなかった」と話していた。
弱冠21歳の若者が、K2という世界一困難な山といわれる山にアタックし、世界最年少での登頂に成功した。しかし本当の意味での彼らの果たした偉業は、無線も通じず、酸素もなく朦朧とした意識の中、諦めることなく生還に向けての歩みを一歩一歩進めた、その精神力を保ったことだっただろう。
最後に会場から今後について聞かれ、「親がいるので言いにくいが、登頂に成功したことでこれからもっと自分の可能性を試したくなった」と話していた達哉さん。
過酷な経験をこれからにつなげようとする旺盛な冒険心に驚くと同時に、その爽やかな笑顔に隠れる芯の強さと、心のしなやかさを垣間見た気がした。【了】
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