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“金八先生”と石原都知事のアドバイスに異論

【PJ 2006年11月15日】− 文部科学省に“自殺予告”の手紙が届いて以来、いじめられる側への言及が多くなった。“金八先生”や東京都の石原慎太郎知事等のコメントは「自殺するな」という趣旨のメッセージだろう。ただ、その中にしっくりこない部分も感じた。「いじめる奴を説教しても変わらない」(「死んじゃダメ!」武田鉄矢が中学生へ“金八流”メッセージ)とは“金八先生”らしからぬ発言ではないか。ご自身の武勇伝は勇ましいが、いじめられる側へのアドバイスだけでなく、石原都知事にはいじめっ子を一喝してほしかった。いじめがあるのはしようがなく、いじめられないように自衛するしかないか。「昔はこうした」ということが今のいじめに当てはまるだろうか。並み居る諸先輩の助言に対して僭越ではあるが、「強くあるべきだ」という意見に集約されるのはどうかと思うので、異論を述べたい。

 いじめをしてはいけないのと同じく、自殺してもいけない。苦しみから逃れる手段としてはもちろん、復讐するためということも考えてはいけない。死んで楽になるかといえば、死生観にも関わるのでここでは簡単に述べるが、家族の苦悩を考えるべきだ。死んで楽になったとしても、「自殺を止められなかった」と家族が後々苦しむ姿を黙って見ていられようか。芥川龍之介の描いた『杜子春』のように、思わず「お母さん」と叫ぶのではないか。

 そう考えると、死を思いとどまって生き抜くのに必要なのは「強さ」「たくましさ」だけではないと思う。石原都知事の経験談に触発されて「私の子どもへのいじめを止めさせろ」と学校に怒鳴り込む親が増えても困る。石原都知事の場合はうまくいったわけだが、必ずしも成功するとは限らないだろう。“爆弾”を落とせば、いじめっ子が必ず降伏するという勝算があれば別かもしれないが、屈せず“ゲリラ化”されたらこじれてしまう。

 子どもにとっては、いじめに立ち向かってくれる親の存在は頼もしいが、怒鳴り込む前に揺るぎない証拠をつかんでおかなくては、しらを切られて負けてしまうだろう。子どもの浅知恵ではなく、大人顔負けの悪知恵を働かす場合もあるかもしれない。多勢に無勢ではなく、味方を増やして外堀を埋めたほうがよくはあるまいか。

 また、“金八先生”のように「問題はいじめられる奴で、大事なのはいじめられる奴を鍛えること」と“強さ”を強調するのはどうだろう。福岡県筑前町で自殺した中2の男子生徒は“弱い”から自殺したのだろうか。逆に、いじめに対して忍耐強すぎたのではないか。ただ耐えるのではなく立ち向かえ、というのもどうか。20人で1人をいじめるような場合には無謀な話だ。1人で多数に立ち向かって「勝てば官軍」だが、「負ければ賊軍」、いじめがエスカレートするだろう。

 筑前町の生徒の場合、一説によれば、小学校から続いていたいじめを、心配をかけたくないということで親に微塵も感じさせなかったという。コンクリートのように固いもののほうが折れるときはもろい。逆説的だが、親にすぐ泣きつく“弱さ”をもっているほうが、いじめに対しては“強い”といえまいか。【了】

■関連情報
参照:
「死んじゃダメ!」武田鉄矢が中学生へ“金八流”メッセージ

武田鉄矢さん「死んじゃダメ」

[自殺予告]大人によるいたずらの可能性?石原知事が見解

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小菅 俊幸【 岩手県 】
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