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『かつしかハーブ橋』の難工事がすすむ=東京都 (下)

2006年11月12日16時21分 / 提供:PJ

pj
『かつしかハーブ橋』の難工事がすすむ=東京都 (下)
作業台船から伸びるバケットに乗った作業員たちが、『かつしかハーブ橋』の主塔の橋脚に、吸水防止剤の塗料を施す。9日。(撮影:穂高健一)
首都高速・中央環状線の『かつしかハーブ橋』の2期工事がこの11月からはじまった。主塔65メートルの橋桁から下の橋脚を補強する耐震工事。綾瀬川の水面から屹立する残り約11メートルだ。現在は、作業台船から伸びる長いアームのバケットに乗った作業員が、乳白色の吸水防止剤・エフェクトA(太平洋セメント製)を塗る作業に入っている。

 RC(鉄筋コンクリート)橋脚には水分を吸う性質がある。そのままでは、鉄板を円形に巻いた後に流し込む特殊モルタルの水分が奪われてしまう。となると、モルタルが乾燥してボロボロになり、脆くなり、橋脚の耐震補強効果が薄れてしまう。それを防止するための塗装工事だ。

 『かつしかハーブ橋』には二本の主塔がある。河口よりの主塔は29メートル。それを支える橋脚は、陸上の河川敷にあり、鋼鉄製の一本脚である。これも阪神・淡路大震災の高速道路倒壊の教訓から、耐震補強する必要があった。現在は元請けの川崎重工業の手で工事が行われている。

 橋脚は二本脚に改造すれば、より強度が増す。しかし、主塔29メートルの橋脚の真横には、綾瀬川と中川が合流した平井水門がある。土地には余裕がない。無いものねだりはできない。四角形の橋脚は、鋼鉄箱を多層に積み重ねた構造だ。それら内部一つひとつに井桁の鋼鉄リブを組み込む、橋脚内部から耐震補強を図る工法が取られることになったのだ。

 これも簡単な工事ではない。20−30代の溶接工が防塵マスクの面を被り、四角い橋脚のボックスに入っていく。出入り口のハッチは肩幅ていど。四方は鉄で密閉された作業場だ。溶接の煙、臭気、サンダーの埃。排塵、換気用のコンプレッサーが回っているが、それで溶接で高熱になる作業だ。

 劣悪な作業環境でも、高速道路の安全確保のためには誰かがやらなければならない。作業員がつねにショート・タイムで、入れ替わっている光景があった。

 泥水の綾瀬川に潜るダイバー、防塵マスクをした溶接工。かれらの姿を見ていると、PJのある考え方が変わった。『首都高は減価償却が終わったところから無料に。そういう約束があったはずだ』という意見がある。諸手を挙げて賛成する気にはなれなくなったのだ。

 物事にはとかく当初計画の考え、予測とは違うことが起きるものだ。阪神・淡路大震災から構造物の耐震基準が変わった。これも一つの予想外の経費増だろう。

 他方で、耐用年数が増えれば、コンクリートは劣化し、鉄筋や鉄骨は錆びる、塗装は剥げるし、構造物全体が脆くなる。高速道路の安全確保のためにも、これらの補強工事は常に丹念にしっかり、時間と経費をかけてやってほしい。

 首都高の無料化を叫ぶことは、メンテナンス・コストを無視した暴論だと思う。災害が起きてからでは遅い。S字型の美しい『かつしかハーブ橋』の補強工事を見ながら、安全は無料(ただ)で手に入らないという認識を強めた。

 事故がおきると、マスコミは安全管理に手落ちがあったと責め立てる。発生した事故の責任を問うだけが能ではない。つね日頃から現場の隠れた苦労を知らせる。今回のように泥水で活躍するダイバー、劣悪環境のなかの溶接工、高所の危険な作業にたずさわる作業員たちの汗水を伝える。これも報道の責務だと思った。【了】


■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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PJ  東京都  ワールド  陸上  マスコミ  
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