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三谷幸喜作品を改作・無断上演問題 問われる倫理

【PJ 2006年11月07日】− テレビアニメやラジオ番組などで、アニメ・声優ファンから人気のある声優の櫻井孝宏氏が、自身が出演した舞台作品での不祥事と、それにまつわる対応についてインターネット掲示板「2ちゃんねる」の声優総合板・声優個人板で批判を集めている。

 騒動の発端となったのが、櫻井氏が今年の8月31日から9月3日の期間に「劇団joy」で出演した「ETERNITY」という作品が、脚本家の三谷幸喜氏の「東京サンシャインボーイズの罠」という作品を無断で改題、内容を一部変更した上で三谷氏に公演許可の申請もせずに上演したという行為。この改作・無断上演行為は9月中旬に明らかとなり、櫻井氏の所属する声優事務所は三谷氏や関係者らに謝罪。劇団の公式ホームページや所属事務所の公式ホームページに謝罪文を掲載した。櫻井氏は自身がパーソナリティを務める文化放送のラジオ番組「A&Gメディアステーション こむちゃっとカウントダウン」9月30日放送分の放送で聴取者に謝罪し、当分の間ラジオ番組出演を自粛するとした。

 しかし、テレビアニメでレギュラー出演している分については出演していることや、櫻井氏の所属事務所からの説明が十分とはいえない、ということから、インターネット掲示板上で櫻井氏や所属事務所への批判が集まっている。また、出演を自粛していた文化放送のラジオ番組「A&Gメディアステーション こむちゃっとカウントダウン」でも今月4日放送分から出演を再開し、事実上1カ月程度の自粛だった件に関しても、同様に抗議や疑問の声が上がっている。

 今回の無断上演問題での所属事務所の対応は、「著作権侵害」という事の重さからして適切な対応とはいえないのではないだろうか。わずか1カ月程度のラジオ番組出演自粛で「みぞぎは済んだ」と考えているようでは、認識が甘すぎるにも程がある。公式ホームページ上の謝罪文で「著作権侵害行為と認識した上で、連絡をせず公演を行ったのは、どうしてもこの作品を演りたいという身勝手な思いと、三谷氏作の戯曲は上演許可が下りないという事実の認識、延いては著作権侵害という事に対する軽視からでした」とあるが、プロの役者としての基本的な認識が欠けていたのかと言わざるを得ない。

 演劇の世界では、プロ・アマチュアを問わず著作権順守が基本である。茨城県の市民劇団「劇団創造市場」でも、ロシアの詩人・マルシャーク原作の「森は生きている」上演に際して、今まで同作品を上演していた「劇団仲間」への了解・協力を取り付けている。アマチュア劇団がやっていることを、プロの役者で構成している劇団が怠っていたというのでは全く話にならない。また、なぜ三谷氏が上演許可を出さないのかという事に関しても、三谷氏の作品は出演する俳優の個性に合わせたオーダーメイドの作品であり、その事に考えが及ばないようでは、声優・俳優としての資質を疑問視せざるを得ない。

 アニメ・声優ファンの中核を成している青少年・少女たちにとって、声優はいわば「公人」も同然の存在だ。その公人たる声優は、支援してくれているファンのためにも自らを厳しく律しなければならない。
にもかかわらず、無断上演問題発覚から1カ月以上経過してもいまだに批判され、真相を求める声が出ている現状は好ましいものとは言えない。「事実を隠蔽した」という印象を持たれ続ければ、櫻井氏の将来にも悪影響を及ぼしかねない。

 櫻井氏の所属事務所は事実を再調査した上で、自社ホームページだけでなくメディアにも事実を公表して、アニメ・声優ファンが持っている「なぜこのような事件が起きたのか」「責任は誰にあるのか」などの疑念を払拭するべきである。さもなければ、アニメ・声優ファンから見放されるだろう。所属事務所の勇気ある決断に期待したい。【了】

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パブリック・ジャーナリスト 崎山 勝功【 茨城県 】
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