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アメリカの黒人がジャズを聴かなくなった理由

2006年11月06日10時36分 / 提供:PJ

pj
アメリカの黒人がジャズを聴かなくなった理由
ニューヨークのラップ人気は既にメジャー。後ろは来日を控えていたサブスタンシャル。(撮影:工藤明子)
9月から10月の2カ月間のニューヨーク滞在中、出会った20代から50代まで100人ほどの黒人達に「ジャズを聴きますか?」「ラップを聴きますか?」と質問した。30代以上のミドルクラスの人々が「ジャズも聴くし、ギャングスタラップは好きじゃないけど、カニエ・ウェストなんかは聴くよ」と新しい音楽ジャンルに寛容なのが意外だった。若い世代ではやはりジャズ離れが目立った。

 ラップのライブ(写真)で出会った20代の音楽プロデューサーは、ジャズは「古い」「父親の世代の音楽だからね」と全く興味がない様子だった。

「ビッグ・アップル・ジャズ」の従業員で詩人でもあるポープさんは、ジャズを聴く若者も多い、と反論するが、「ストリートでもラジオでもラップは常に流れていてアクセスしやすいから若い層は飛びつく。ジャズはラップに比べると確かにわかりにくく、ミドルクラスの音楽と言えるかもしれない。アプリシエートするには時間と教育が必要」とジャズの敷居の高さを認めている。演奏が難しいジャズと違ってラップはストリートですぐにパフォーミングが出来るので、校庭で、ストリートでラップするのが遊びという黒人の子供も多いのだ。

 また、19世紀後半に港町ニューオーリンズで、アフリカから連れてこられた労働者が日曜日に集まっては歌い踊ることで憂さを晴らしたのが原型と言われるジャズには奴隷制の歴史を思い出させる面があり、それを嫌う黒人も多いと彼女は言う。

 そしてやはりジャズのコンサートは値段が「高い」という声が多かった。ジャズに限らず、今回あちらこちらのエンターテインメントに顔を出して観客層をウォッチングして来たが、収入の少ない層が多い黒人やラティーノの姿はミッドタウンの劇場ではほとんど見かけなかった。例外は黒人コメディアンのショーだけ。

NY地元局、NY1のジャズ特集の司会者は、20ドルの入場料も(私が安いと思った「レノックス・ラウンジ」は20ドル)、ドリンク2杯のミニマム(最低2杯注文)というシステムも(「ショーマンズ」も同システム)高い、と言っていた。レノックス・ラウンジに姿を見せない黒人も、毎週水曜日に行われるジャズ・モービル主催の無料コンサートにはたくさん詰め掛けていた。日本でのジャズ鑑賞は更に高く「ブルーノート東京」は入場料だけで8400円。大物だと1万円以上する。それにドリンクや食事代が加算される。高いという理由から、私も既に行かなくなっている。

 今回リンカーンセンターでウィントン・マルサリスを聴いたが、パンフレットにズラズラッと名を連ねるスポンサーの多さにも拘わらず高値のコンサートで、ジャズは既に「保存」されるべき存在になっているのだろうかとふと思った。会場で白人の大学生4人を見つけ、なぜ聴きに来たのかと尋ねると、先輩に「これだけは聴いておくべきだ」とチケットを貰ったからだそうで、ジャズを「教養」と捉えているようだった。

 ウィントンマルサリスの楽団が奏でるジョン・コルトレーンの曲は洗練された現代音楽のようで、一曲だけクインテットで演奏された曲以外は楽しめなかった。華麗なプレイで有名なエロール・ガーナー(piano)は、譜面が読めない事で有名だが、そんなジャズ・ミュージシャンはおそらくもういないのだろう。大学で音楽を専攻したミュージシャンの上品なジャズよりは、映画「クロスロード」に出て来た南部の小さなクラブのような、ミュージシャンと客席が掛け合いをしながら演奏する熱気のムンムンする場所で聴いてこそこそジャズの真髄に触れられるように思う。【了】

■関連情報
「アメリカの黒人はなぜ、ジャズを聴かなくなったのか?」

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 工藤 明子

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