今週のお役立ち情報
動きが取れない累増する中国の外貨準備!
2006年11月06日07時10分 / 提供:PJ
【PJ 2006年11月06日】−
10月18日付「シドニー・モーニング・ヘラルド」によれば、オーストラリアの大蔵大臣、ピーター・コステロ氏はアジア諸国の中央銀行はアメリカ・ドルへの投資を多様化させ、秩序ある調整を図るべきだと述べた。中国、日本、韓国、香港などの中央銀行は膨大な外貨準備をアメリカの債券に注ぎ込み、アメリカ・ドルを支え、アメリカの金利を引き下げている。しかし、こうした動きに変化が起こりつつあり、中国はこれに代わる投資を検討している。コステロ氏はこうした問題は事前に周知させる必要があると述べているが、10月28日付「エコノミスト」は累増する中国の外貨準備に触れ、累増しすぎて動きがとれない中国の実情を分析している。
中国の外貨準備高は10月末には1兆ドルに達する見込みだ。この数字は2年前の倍で、世界の外貨準備高のほぼ五分の一を占める。その額は、中央銀行の金庫に鎮座するゴールドを購入したり、ロンドンの不動産を買いあさるには十分すぎる。
中国の膨大な貯えは経常収支の大幅な黒字の結果で、主に、外国の直接投資と過去10年間にわたる投機資金の流入によるものだ。理論的には、外貨の中国への流入は元を押し上げることになるのだが、中国政府はこれに逆らって、中央銀行に余剰外貨を買い占めさせている。外貨準備高はここ数カ月低下しているが、依然、毎月160億ドルも増え続けている。
中国の公式の準備高はすでに財政的な安定上必要とされる額を大幅に上回っている。経験則からみて、3カ月分の輸入額ないしは短期外貨債務額に相当する外貨を準備しておく必要があるが、中国の準備高は輸入額の15カ月分で、短期外貨債務の6倍に相当する。外貨準備の増大は中央銀行にとっても頭に痛い問題だ。外貨準備高の増大は過剰流動性を引き起こし、インフレ、資産価格の高騰、不良貸し付けなどを招く危険が増大するからだ。
外貨準備の増大を止める方法は二つ考えられる。すなわち、中国が為替レートを自由化するか、外貨規制を緩和し中国人が国外の資産を購入できるようにするかだ。しかし、この方法はどちらも近い将来実現することはなさそうだ。中国が膨大な余剰(高い貯蓄率の当然の帰結だ)を出し続け、為替レートの自由化を拒み続ける限り、今後も外国通貨の山が築かれてゆくことになる。
この金をどのように投資するかは中国のみならず世界経済に多大な影響を与える。ルービニ・グローバル・エコノミックスのブラッド・セツァー氏はこの金の70%は財務省証券を主とするドルに投資されていると見ている。この結果、こうした金はドルを支え、アメリカの債券の利率を低下させることにつながる。ある推測によれば、その率は1.5%になるという。それ故、ドルからの離脱は債券の利率ひいては住宅ローンの金利を引き上げ、崩壊寸前のアメリカの住宅市場に大きなダメージを与えることとなる。
中国の中央銀行は高い利率を稼ぐために財務省証券から住宅ローンに裏打ちされた証券や社債に変えようとしていると思われる。中国政府の高官もドルの下落に備えて準備通貨をドルから転換することを密かに議論している。銀行は外国通貨の一部をユーロやアジア諸国の通貨に置き換えようとしているが、今のところ、準備通貨としてのドルをほかの通貨に転換したという兆候は見られない。一つの問題は、中国の投資額があまりにも大きく、投資が市場を動かしてしまうことにある。お金をユーロに転換することはドルの価値を引き下げにつながる。中国は残りの手持ちのドルで損失をこうむるばかりか、弱いドルに対し通貨を低く抑えておくため更なる準備通貨を買うことになる。
損失の懸念と報われない利率への不満はどうやったらお金を上手く使うことが出来るかという考えに駆り立てる。一つのアイデアとして、中国の外貨準備通貨の何がしかを使って石油やその他の原料を購入するという案がある。障害となるのは、石油を買えば価格が高騰し、しかも膨大な準備通貨のごく一部しか取り崩せないということだ。6カ月分の石油消費量を買うためには準備通貨のわずか8%を使うだけだが、それ以上に石油を買うと、今年の世界の石油需要の伸びを三倍に押し上げてしまう。ゴールドを買うことも同様だ。もし中国が準備通貨の5%をゴールドに投資すれば、全世界の年間産出量をすべて買い占めてしまうことになる。
もう一つの案はインフラ投資にお金を使うことだ。投資収益はアメリカの債券よりはるかに高い。しかしながら、中国の投資はすでにGDPの40%に達しているので、中国がこれ以上の投資を必要としているかが明確でない。銀行の不良債権を棒引きにすることのほうが気が利いている。2004年と2005年に中国人民銀行は600億ドルを国営銀行に移した。UBSによれば、残りの不良貸し付けは2500億ドルだという。
アメリカの債券を買うことによって、中国はアメリカの消費者を助成しているが、中国の健康保険、教育、セーフティー・ネットは資金が枯渇している。そこで、何故、これらの余剰準備通貨を地方の財政難を救い、健康保険を改善し、あるいは年金基金に投入したりすることに使わないのか?
あいにく、国内でこれらの金を使うというすべての案は外国準備通貨の性格を誤解している。問題は、外国通貨を元に替えることは元を押し上げ、この圧力を回避するため中央銀行は更に外貨を購入しなければならず、外国準備通貨は元の水準に戻ることとなってしまうことだ。
中国の外貨準備を減らす唯一の解決策は外貨を蓄積することを止めることだ。このためには、中国経常収支黒字を促す膨大な貯蓄を減らす政策とより弾力的な為替レートの設定が必須となる。しかし、こうした政策が取られるまでに、中国の外貨準備額は2兆ドルを突破してしまうだろう。【了】
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中国の外貨準備高は10月末には1兆ドルに達する見込みだ。この数字は2年前の倍で、世界の外貨準備高のほぼ五分の一を占める。その額は、中央銀行の金庫に鎮座するゴールドを購入したり、ロンドンの不動産を買いあさるには十分すぎる。
中国の膨大な貯えは経常収支の大幅な黒字の結果で、主に、外国の直接投資と過去10年間にわたる投機資金の流入によるものだ。理論的には、外貨の中国への流入は元を押し上げることになるのだが、中国政府はこれに逆らって、中央銀行に余剰外貨を買い占めさせている。外貨準備高はここ数カ月低下しているが、依然、毎月160億ドルも増え続けている。
中国の公式の準備高はすでに財政的な安定上必要とされる額を大幅に上回っている。経験則からみて、3カ月分の輸入額ないしは短期外貨債務額に相当する外貨を準備しておく必要があるが、中国の準備高は輸入額の15カ月分で、短期外貨債務の6倍に相当する。外貨準備の増大は中央銀行にとっても頭に痛い問題だ。外貨準備高の増大は過剰流動性を引き起こし、インフレ、資産価格の高騰、不良貸し付けなどを招く危険が増大するからだ。
外貨準備の増大を止める方法は二つ考えられる。すなわち、中国が為替レートを自由化するか、外貨規制を緩和し中国人が国外の資産を購入できるようにするかだ。しかし、この方法はどちらも近い将来実現することはなさそうだ。中国が膨大な余剰(高い貯蓄率の当然の帰結だ)を出し続け、為替レートの自由化を拒み続ける限り、今後も外国通貨の山が築かれてゆくことになる。
この金をどのように投資するかは中国のみならず世界経済に多大な影響を与える。ルービニ・グローバル・エコノミックスのブラッド・セツァー氏はこの金の70%は財務省証券を主とするドルに投資されていると見ている。この結果、こうした金はドルを支え、アメリカの債券の利率を低下させることにつながる。ある推測によれば、その率は1.5%になるという。それ故、ドルからの離脱は債券の利率ひいては住宅ローンの金利を引き上げ、崩壊寸前のアメリカの住宅市場に大きなダメージを与えることとなる。
中国の中央銀行は高い利率を稼ぐために財務省証券から住宅ローンに裏打ちされた証券や社債に変えようとしていると思われる。中国政府の高官もドルの下落に備えて準備通貨をドルから転換することを密かに議論している。銀行は外国通貨の一部をユーロやアジア諸国の通貨に置き換えようとしているが、今のところ、準備通貨としてのドルをほかの通貨に転換したという兆候は見られない。一つの問題は、中国の投資額があまりにも大きく、投資が市場を動かしてしまうことにある。お金をユーロに転換することはドルの価値を引き下げにつながる。中国は残りの手持ちのドルで損失をこうむるばかりか、弱いドルに対し通貨を低く抑えておくため更なる準備通貨を買うことになる。
損失の懸念と報われない利率への不満はどうやったらお金を上手く使うことが出来るかという考えに駆り立てる。一つのアイデアとして、中国の外貨準備通貨の何がしかを使って石油やその他の原料を購入するという案がある。障害となるのは、石油を買えば価格が高騰し、しかも膨大な準備通貨のごく一部しか取り崩せないということだ。6カ月分の石油消費量を買うためには準備通貨のわずか8%を使うだけだが、それ以上に石油を買うと、今年の世界の石油需要の伸びを三倍に押し上げてしまう。ゴールドを買うことも同様だ。もし中国が準備通貨の5%をゴールドに投資すれば、全世界の年間産出量をすべて買い占めてしまうことになる。
もう一つの案はインフラ投資にお金を使うことだ。投資収益はアメリカの債券よりはるかに高い。しかしながら、中国の投資はすでにGDPの40%に達しているので、中国がこれ以上の投資を必要としているかが明確でない。銀行の不良債権を棒引きにすることのほうが気が利いている。2004年と2005年に中国人民銀行は600億ドルを国営銀行に移した。UBSによれば、残りの不良貸し付けは2500億ドルだという。
アメリカの債券を買うことによって、中国はアメリカの消費者を助成しているが、中国の健康保険、教育、セーフティー・ネットは資金が枯渇している。そこで、何故、これらの余剰準備通貨を地方の財政難を救い、健康保険を改善し、あるいは年金基金に投入したりすることに使わないのか?
あいにく、国内でこれらの金を使うというすべての案は外国準備通貨の性格を誤解している。問題は、外国通貨を元に替えることは元を押し上げ、この圧力を回避するため中央銀行は更に外貨を購入しなければならず、外国準備通貨は元の水準に戻ることとなってしまうことだ。
中国の外貨準備を減らす唯一の解決策は外貨を蓄積することを止めることだ。このためには、中国経常収支黒字を促す膨大な貯蓄を減らす政策とより弾力的な為替レートの設定が必須となる。しかし、こうした政策が取られるまでに、中国の外貨準備額は2兆ドルを突破してしまうだろう。【了】
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