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教育委員会という戦後教育の残渣

【PJ 2006年11月02日】− 昨年9月に起こっていた北海道滝川市の小学6年生女子(当時12歳)の教室内での自殺行為(後に死亡)が、ご両親のメディアへの原因究明依頼の動きを契機に、一年経ったこの10月2日、ようやく市教育委員会(安西輝恭教育長)が記者会見を開いた。

 そして「原因は現時点で特定できない」と述べ、いじめの存在を事実上認めないとの見解を示し、世間の批判を浴びた。その後、いじめを認めた。あれだけの悲痛な遺書が残されていたにも拘わらず、この一年間、事実を隠蔽し放置していたとしか思えぬ行為。「いじめ」と当初、認めなかった姿勢。

 また10月13日に分かった福岡県筑前町立三輪中学校の中2男子生徒(13歳)のいじめによる自殺(11日)も元担任教師のいじめから生徒のいじめが始まったと言われている。ご遺族に対する合谷校長の説明が、当初の元担任教師のいじめの事実を認めた謝罪から、その後の記者会見で一転、「教師の言動は直接、生徒の自殺の原因にはつながらない」と、事実否認を行った。その度重なる翻言の背景にも教育委員会の存在を感じざるを得ない。

 そして29日に発覚した岐阜県瑞浪市立瑞浪中学校での中学2年生の女子生徒の自殺の原因認定にいたる学校側のドタバタ、二転三転した説明。

 この一連の事件の背景に共通して見え隠れする「教育委員会」とは一体、何なのか。その存在に大きな疑問を感じ、戦後教育のゆがみを覚えた。

 今を遡る20年前の中曽根内閣時代、首相の直属諮問機関として設置された臨時教育審議会(臨教審)の第2次答申「教育行財政改革の基本方向」(1986(昭和61)年)において、教育委員会の当時の現状について、すでに次のような厳しい言及がなされている。

 「近年の校内暴力、陰湿ないじめ、いわゆる問題教師など、一連の教育荒廃への各教育委員会の対応を見ると、各地域の教育行政に責任を持つ『合議制の執行機関』としての自覚と責任感、使命感、教育の地方分権の精神についての理解、主体性に欠け、二十一世紀への展望と改革への意欲が不足しているといわざるを得ないような状態の教育委員会が少なくないと思われる」

 この指摘は20年経った現在、まったくひと言の文言もいじる必要もなく「今の教育現場の問題」を摘出し、糾弾したものと言える。逆に言えば、20年間この答申にも拘わらず、教育行政・現場ともに何の変革もなさずに無為な月日を浪費してきたということになる。

 この国は一体この20年間、何をやってきたのか。北朝鮮の核保有問題然り。すべて問題を先送りしてきた政府の責任はあまりにも大きい。そして政府の怠慢による犠牲者となった幼い児童、夢をはぐくむ中学生たちがあまりに傷ましく、悲しい。地方教育行政法により地方自治体により設置を義務付けられた教育委員会。「教育は国家から一定の距離を置いた中立的位置にあらねばならぬ」との終戦直後の残滓である考え方で出発した教育行政のあり方の限界が、「いじめ」という傷ましい事件によってようやく浮き彫りにされようとしている。【了】

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パブリック・ジャーナリスト 野田 博明【 東京都 】
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