貸金業規正法案改正、今後の貸手・借手は・・・
2006年11月01日13時03分 / 提供:PJ
政府は31日、消費者金融など貸金業者に対する規制を強化する貸金業規制法や出資法など一連の関連法改正案を閣議決定した。内容は、出資法の上限金利(年29.2%)を公布から、3年後に利息制限法(同20%)の水準に引き下げ、金利の上限を一本化するものだ。今国会での成立を目指す。これにより、出資法と利息制限法の間の「灰色金利」(いわゆるクレーゾーン金利)は2009年に撤廃される見込みだ。
また、当初案では認められていた特例措置は見送られた。同措置は、少額・短期の貸し付けに限って「灰色金利」撤廃後も年25.5%の高金利融資を許容するもので、業者に対する激変緩和が目的であった。しかし、その後「業界寄り」との批判が強まり、与党が導入取りやめを決定。「灰色金利」撤廃までに改めて検討することにした。いよいよ貸金業規制法案の骨子がまとまり、今国会にはおそらく可決される。
業界は大きな再編、淘汰をせまられ、また借り手の方も単にメリットだけではなく、デメリットも同時に背負うことになる。今後、貸金業界と借り手はどうなっていくのか。それぞれに分けて考えていきたい。
貸金業界は・・・
まずは、貸金業界であるが、今までグレーゾーン金利での高収益と、返すあてのなさそうな人にも与信枠を広げてパイを広げることで業績拡大を図ってきた。しかし、今年1月の消費者金融業者にグレーゾーン金利の返還を命じた最高裁判決を皮切りに、各社に返還請求が殺到。関連法改正の論議が活発化してからはさらに請求が増えた。これにより、消費者金融各社は引当金(グレーゾーン金利分の返還請求額およそ4〜5年分)を一括計上、アコム、アイフル、プロミスの大手3社はそろって最終赤字1500億円以上となる見通しとなった。
これまでのツケを支払う格好になっている各社だが、そもそもこのような高金利の消費者金融が業績を拡大してきた背景には、バブル崩壊から続いてきた、銀行の貸し渋り・貸しはがしがあったことは否定できない。銀行が貸さない個人や、零細企業の事業主の需要を取り込んだ格好となっていたのだ。
そして、不良債権処理を血税で処理し、今度は個人への貸金業に参入したいという銀行業界の意向が今回の貸金業規制法案を後押ししたともいえる。今後は、貸金業界は大きな再編、淘汰がせまられる。特に、引当金は今後長年に渡って消費者金融の収益を圧迫するだろう。
借り手は・・・
次は、借り手である。グレーゾーン金利の高金利に苦しめられ、返済困難なのに与信枠を広げてもらうことにより、使いすぎたりすることによりさらに傷口を広げてきた。これから、消費者金融各社は法改正前にグレーゾーン金利を撤廃する可能性が高く(あとでどうせ返還請求が来る可能性が高いので)、金利が下がって月々の返済額も減る可能性もあり、それだけ返済が楽になるだろう。
しかし、一方で銀行やどこも貸してくれないときや、ちょっとした給料日前の出費に対応してくれて、上手に使えば便利なものであった。だが、これからの貸金業界の再編・淘汰。そして銀行業界主導の貸金となると、今までのような「誰にでも貸します」的なものはなくなる。
また、貸出金額が年収の3割までに制限されるなどの規制により、新規に借りられなくなる人。そして今まで過剰に借りている人は返済のみとなりどこからも借りられなくなり、かえって自己破産や自殺者も増えるかもしれない。このように、貸金業界は大きな再編、淘汰を迫られ、そして借り手もこれまでのように気軽にお金を借りることはできなくなるデメリットも生じることになる。
しかし、わたしとしては、これまで多くの業界が再編、淘汰、リストラの波にあるとき、ぬるま湯の中でグレーゾーン金利での高収益を享受してきた貸金業界は、これからは健全な金利においても、収益を上げられる構造にすべく企業努力をするときがきたのではないかと思う。それには当然、リストラなども避けられないが、私自身、大手は十分に対応できると見る。
確かにこれまでのようなジャブジャブ高収益は期待できないかもしれないが、これを乗り越えたらまた業界にも光が見えてくるのではないだろうか。そして、多くの人たちに支持される健全な業界に生まれ変わることを期待してやまない。【了】
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また、当初案では認められていた特例措置は見送られた。同措置は、少額・短期の貸し付けに限って「灰色金利」撤廃後も年25.5%の高金利融資を許容するもので、業者に対する激変緩和が目的であった。しかし、その後「業界寄り」との批判が強まり、与党が導入取りやめを決定。「灰色金利」撤廃までに改めて検討することにした。いよいよ貸金業規制法案の骨子がまとまり、今国会にはおそらく可決される。
業界は大きな再編、淘汰をせまられ、また借り手の方も単にメリットだけではなく、デメリットも同時に背負うことになる。今後、貸金業界と借り手はどうなっていくのか。それぞれに分けて考えていきたい。
貸金業界は・・・
まずは、貸金業界であるが、今までグレーゾーン金利での高収益と、返すあてのなさそうな人にも与信枠を広げてパイを広げることで業績拡大を図ってきた。しかし、今年1月の消費者金融業者にグレーゾーン金利の返還を命じた最高裁判決を皮切りに、各社に返還請求が殺到。関連法改正の論議が活発化してからはさらに請求が増えた。これにより、消費者金融各社は引当金(グレーゾーン金利分の返還請求額およそ4〜5年分)を一括計上、アコム、アイフル、プロミスの大手3社はそろって最終赤字1500億円以上となる見通しとなった。
これまでのツケを支払う格好になっている各社だが、そもそもこのような高金利の消費者金融が業績を拡大してきた背景には、バブル崩壊から続いてきた、銀行の貸し渋り・貸しはがしがあったことは否定できない。銀行が貸さない個人や、零細企業の事業主の需要を取り込んだ格好となっていたのだ。
そして、不良債権処理を血税で処理し、今度は個人への貸金業に参入したいという銀行業界の意向が今回の貸金業規制法案を後押ししたともいえる。今後は、貸金業界は大きな再編、淘汰がせまられる。特に、引当金は今後長年に渡って消費者金融の収益を圧迫するだろう。
借り手は・・・
次は、借り手である。グレーゾーン金利の高金利に苦しめられ、返済困難なのに与信枠を広げてもらうことにより、使いすぎたりすることによりさらに傷口を広げてきた。これから、消費者金融各社は法改正前にグレーゾーン金利を撤廃する可能性が高く(あとでどうせ返還請求が来る可能性が高いので)、金利が下がって月々の返済額も減る可能性もあり、それだけ返済が楽になるだろう。
しかし、一方で銀行やどこも貸してくれないときや、ちょっとした給料日前の出費に対応してくれて、上手に使えば便利なものであった。だが、これからの貸金業界の再編・淘汰。そして銀行業界主導の貸金となると、今までのような「誰にでも貸します」的なものはなくなる。
また、貸出金額が年収の3割までに制限されるなどの規制により、新規に借りられなくなる人。そして今まで過剰に借りている人は返済のみとなりどこからも借りられなくなり、かえって自己破産や自殺者も増えるかもしれない。このように、貸金業界は大きな再編、淘汰を迫られ、そして借り手もこれまでのように気軽にお金を借りることはできなくなるデメリットも生じることになる。
しかし、わたしとしては、これまで多くの業界が再編、淘汰、リストラの波にあるとき、ぬるま湯の中でグレーゾーン金利での高収益を享受してきた貸金業界は、これからは健全な金利においても、収益を上げられる構造にすべく企業努力をするときがきたのではないかと思う。それには当然、リストラなども避けられないが、私自身、大手は十分に対応できると見る。
確かにこれまでのようなジャブジャブ高収益は期待できないかもしれないが、これを乗り越えたらまた業界にも光が見えてくるのではないだろうか。そして、多くの人たちに支持される健全な業界に生まれ変わることを期待してやまない。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 村上 稔
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