農道や林道をドライブしていいの?
2006年10月25日07時23分 / 提供:PJ
各地で紅葉が見頃になっています。週末はドライブという方も多いと思います。
紅葉を見に行く途中で、「農免農道」とか「スーパー林道」という標識を見かけることがよくありますよね。自然が豊かな所では農業や林業も重要な産業になっているのでしょうから、農道や林道が整備されているのは分かるのですが、それにしても走っているのは乗用車ばかりで、農作業車や材木運搬車が走っているのを見かけることはほとんどありません。そもそも農道や林道をドライブに使っていいの?なんて思ったりもして、農道や林道について調べてみました。
農道と林道
農業に使われるのが農道で、林業に使われるのが林道ですが、該当する法令を探すと、農道は土地改良法第二条で「農業用道路」と定義され、林道は森林法第四条で森林計画の一部と規定されています。道路に限らず、根拠法が違うと所管するお役所が違うというのはよくある話で、一般道の管轄は国土交通省で、農道・林道の所管は農林水産省でした。
一般の道路にも国道、都道府県道、市町村道があるのと同じで、農道や林道にも、国が管理するものと、それ以外があります。
農道
農林水産省が管理する農道は、農道ネットワークの基幹となるもので、農免道路と広域農道があります。
農免道路は、揮発油税・軽油引取税で作られます。揮発油税や軽油引取税は道路整備目的税ですので、農林業や漁業で使われる機械を動かすためのガソリンや軽油に課税するのはおかしいという意見があります。しかし、ガソリンスタンドで購入したガソリンの用途を制限する方法はありません。そこで、農林水産業で使用される揮発油・軽油の量を推計して、その分の税金を農林水産業に還元するために作られたのが、農免道路です。一方、広域農道は、農林水産物の生産地と幹線道路(高速道路など)を結び、市場競争力を高めるために作られています。
農道と言っても、田畑の中を走っている道路だけが農道ではなく、港湾などの漁業地区を走っている道路も農道です。農林水産業用道路のことなんですね。
林道
日本の林には、民有林(私有林と公有林)と国有林があります。国有林野の面積は760万ヘクタールで日本の森林面積の3割。残りの7割は民有林野(田畑を含む)です。国有林の中を走る林道は、国有林野事業特別会計で整備されます。一方、民有林の中を走る林道には、国の補助を受けて自治体・森林組合が整備する一般補助林道と、独立行政法人緑資源機構が整備する緑資源幹線林道があります。
緑資源幹線林道は、ちょっと前まで、スーパー林道(特定森林地域開発林道)と大規模林道(大規模林業圏開発林道)とに分けられていましたが、現在は、緑資源幹線林道という殺風景な名前になってしまいました。スーパー林道は「上高地乗鞍スーパー林道」「白山スーパー林道」「朝日スーパー林道」「天竜スーパー林道」「剣山スーパー林道」「南アルプススーパー林道」など、観光地として有名なところを通っていますね。四季折々に森林の姿を見てもらうのも、林業振興ということなのでしょう。
道路はどこへ続いていくのか
道路のことを調べていると、道路をめぐる縦割り行政が見えてきます。外国の道路事情も調べてみましたが、こんなに複雑な道路行政をやっているのは日本だけだと思います。道路を所管する機関それぞれが、自分の所管する道路だけしか書き込んでいない地図を広げながら、ここにもあそこにも道路がないじゃないか、と相談しているかのように思えてきます。田中角栄元首相が言った「国土の均衡ある発展」の呪縛から逃れられずに、山の中だろうが、田んぼの真ん中だろうがお構いなしに、道路が作られ続けています。
もちろん道路を必要としている地区はまだまだたくさんあります。新潟中越地震の例を挙げるまでもなく、山間部の集落では一本の道路が寸断されただけで、陸の孤島と化してしまう場合があります。そういう孤立の可能性のある集落を外と結ぶたった一本の道路が林道だったりすることは現実にあるわけですが、「農林水産業振興」の予算ではなく、きちんとした道路財源から予算を出すのが本筋だと思います。また、農道・林道が、本来の農林水産業振興という目的からはずれて、道路の建設そのものが産業となっているようにも感じます。農道・林道の建設計画が持ち上がると、計画地域の人たちが、建設補償金や土地使用料の収入を楽しみにしているのは、田舎であればあるほど目にすることが多いと思います。
農道・林道の総延長距離は、17年度8月現在で約27万キロ。国道の総延長が約5万キロであることを考えると、整備はかなり進んでいるような気がします。高速道路は民営化されましたが、農道や林道を含めて、日本の道路ネットワークを将来どうするのかは、まだ議論が始まっていません。そろそろ、族議員の駆け引きや、省庁間の予算の取り合いから抜け出して、日本全体の道路計画を見直す時期に差し掛かっていると思います。
最初の疑問「農道や林道をドライブしていいの?」の答えですが、「もちろんOK」です。これで、心置きなくドライブできます。心配していたのはわたしだけかも知れませんけど。【了】
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紅葉を見に行く途中で、「農免農道」とか「スーパー林道」という標識を見かけることがよくありますよね。自然が豊かな所では農業や林業も重要な産業になっているのでしょうから、農道や林道が整備されているのは分かるのですが、それにしても走っているのは乗用車ばかりで、農作業車や材木運搬車が走っているのを見かけることはほとんどありません。そもそも農道や林道をドライブに使っていいの?なんて思ったりもして、農道や林道について調べてみました。
農道と林道
農業に使われるのが農道で、林業に使われるのが林道ですが、該当する法令を探すと、農道は土地改良法第二条で「農業用道路」と定義され、林道は森林法第四条で森林計画の一部と規定されています。道路に限らず、根拠法が違うと所管するお役所が違うというのはよくある話で、一般道の管轄は国土交通省で、農道・林道の所管は農林水産省でした。
一般の道路にも国道、都道府県道、市町村道があるのと同じで、農道や林道にも、国が管理するものと、それ以外があります。
農道
農林水産省が管理する農道は、農道ネットワークの基幹となるもので、農免道路と広域農道があります。
農免道路は、揮発油税・軽油引取税で作られます。揮発油税や軽油引取税は道路整備目的税ですので、農林業や漁業で使われる機械を動かすためのガソリンや軽油に課税するのはおかしいという意見があります。しかし、ガソリンスタンドで購入したガソリンの用途を制限する方法はありません。そこで、農林水産業で使用される揮発油・軽油の量を推計して、その分の税金を農林水産業に還元するために作られたのが、農免道路です。一方、広域農道は、農林水産物の生産地と幹線道路(高速道路など)を結び、市場競争力を高めるために作られています。
農道と言っても、田畑の中を走っている道路だけが農道ではなく、港湾などの漁業地区を走っている道路も農道です。農林水産業用道路のことなんですね。
林道
日本の林には、民有林(私有林と公有林)と国有林があります。国有林野の面積は760万ヘクタールで日本の森林面積の3割。残りの7割は民有林野(田畑を含む)です。国有林の中を走る林道は、国有林野事業特別会計で整備されます。一方、民有林の中を走る林道には、国の補助を受けて自治体・森林組合が整備する一般補助林道と、独立行政法人緑資源機構が整備する緑資源幹線林道があります。
緑資源幹線林道は、ちょっと前まで、スーパー林道(特定森林地域開発林道)と大規模林道(大規模林業圏開発林道)とに分けられていましたが、現在は、緑資源幹線林道という殺風景な名前になってしまいました。スーパー林道は「上高地乗鞍スーパー林道」「白山スーパー林道」「朝日スーパー林道」「天竜スーパー林道」「剣山スーパー林道」「南アルプススーパー林道」など、観光地として有名なところを通っていますね。四季折々に森林の姿を見てもらうのも、林業振興ということなのでしょう。
道路はどこへ続いていくのか
道路のことを調べていると、道路をめぐる縦割り行政が見えてきます。外国の道路事情も調べてみましたが、こんなに複雑な道路行政をやっているのは日本だけだと思います。道路を所管する機関それぞれが、自分の所管する道路だけしか書き込んでいない地図を広げながら、ここにもあそこにも道路がないじゃないか、と相談しているかのように思えてきます。田中角栄元首相が言った「国土の均衡ある発展」の呪縛から逃れられずに、山の中だろうが、田んぼの真ん中だろうがお構いなしに、道路が作られ続けています。
もちろん道路を必要としている地区はまだまだたくさんあります。新潟中越地震の例を挙げるまでもなく、山間部の集落では一本の道路が寸断されただけで、陸の孤島と化してしまう場合があります。そういう孤立の可能性のある集落を外と結ぶたった一本の道路が林道だったりすることは現実にあるわけですが、「農林水産業振興」の予算ではなく、きちんとした道路財源から予算を出すのが本筋だと思います。また、農道・林道が、本来の農林水産業振興という目的からはずれて、道路の建設そのものが産業となっているようにも感じます。農道・林道の建設計画が持ち上がると、計画地域の人たちが、建設補償金や土地使用料の収入を楽しみにしているのは、田舎であればあるほど目にすることが多いと思います。
農道・林道の総延長距離は、17年度8月現在で約27万キロ。国道の総延長が約5万キロであることを考えると、整備はかなり進んでいるような気がします。高速道路は民営化されましたが、農道や林道を含めて、日本の道路ネットワークを将来どうするのかは、まだ議論が始まっていません。そろそろ、族議員の駆け引きや、省庁間の予算の取り合いから抜け出して、日本全体の道路計画を見直す時期に差し掛かっていると思います。
最初の疑問「農道や林道をドライブしていいの?」の答えですが、「もちろんOK」です。これで、心置きなくドライブできます。心配していたのはわたしだけかも知れませんけど。【了】
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 小林 亮一
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