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『もらい水』のマナーの悪さ、大災害には大丈夫か?

2006年10月20日15時57分 / 提供:PJ

pj
『もらい水』のマナーの悪さ、大災害には大丈夫か?
『純水』の無料サービス。『お1人様1回1本限り』の表示。東京都内のスーパーマーケットで。(撮影:穂高健一)
最近はスーパーマーケットで、『純水』の無料サービスが多くなってきた。東京都内のある店舗では、3.8リットル470円、2リットル380円のボトルを購入すれば、あとは純水(水道のろ過水)が無料でもらえる仕組みだ。ずいぶん人気があるようだ。

 店内掲示板に貼られた『お客様の声』という投書が目に入った。『水のボトルがお1人様1回1本限り、とあるのに、多くの人が3本くらい給水するので、機械がいつまで空きません。自分勝手な人が出ないような、仕組みにしてください』(原文の抜粋)と店側の対応を求めている。

 『純水』の給水機械の前にいってみると、男性が一人で3本のボトルをもち占有している光景があった。後ろで待つひとを無視し、給水していた。

 『純水』とはいかなるものかと、機械メーカーに説明を求めてみた。「マイクロフィールターで水道水の粗いゴミを除去し、活性炭フィルターを通して、臭いと残留塩素を取り除きます」。こうすることで、かぎりなくH2O水に近い水が生まれるという説明だった。

 純水の人体への効用・効能は専門家でも、意見が分かれるようだ。残留塩素を取り除くと、空気中の雑菌が純水のなかで繁殖しやすいと警告する専門家もいる。店側の説明だと、朝の開店から切れ目がなく純水の前に行列ができているという。むずかしい論議は別として、一般の人には純粋の人気は高いようだ。

 先の『お客様の声』の回答が貼り出されていた。『お1人様1回1本限り。このルールが守られていない、という苦情が最も多いのは事実です。自分勝手な、マナーの欠けたひとが数多く見受けられます。ただ、店員が声がけして、規制すれば、トラブルが生じます。最上の方法は有料化ですが、現在は考えていません。従業員の手渡しも手段の一つですが、一日平均の給水ボトルは950回です。2名は必要ですし、実現不可能です。お客様の良識、マナーに期待します』(原文抜粋)という内容だった。 スーパーマーケット側は、『お手上げだ』とさじを投げているようだ。

 水は生命の源。飲み水、田畑の水は平等に分け与える。それが古来から、日本人の秩序を維持する根幹にあった。他方で、水の利権から戦いが起きた歴史的な事実も数多くある。しかし、いつの世でも水の独り占め、身勝手、水の横取りは排除されてきた。湧き水、井戸水などは等分に分け合ってきたのだ。

 スーパーマーケットの『純水』の水汲みの身勝手さは、首都圏が大地震に襲われたならば、単にマナーの悪さの問題だけにはとどまらないだろう。震度7程度。地割れとともに水道のパイプは破断する。断水。近県の地方都市から給水車が真っ先に瓦礫の街にやってくる。自衛隊のタンクローリーもやってくる。

 スーパーの「純水」の秩序が守れずして、大災害に秩序維持ができるはずがない。『一家に一つのバケツ』。このルールは無視され、身勝手に二つも、三つもタンクローリーの蛇口から水を運び去るものが現れる。後方にならぶ妊婦とか、老人とか、子どもたちには、飲料水が回ってこない。乳飲み子のミルクも作れない。それでも身勝手な人間は平気な顔で、二杯、三杯と水を汲むだろう。

 当然ながら、いさかいが起きる。それが災害の大混乱に拍車をかけてしまう。殺伐とした、醜い争いの場に発展するだろう。

 いまの日本は悲しいかな、法規制しか、秩序が維持できない社会風土になりつつある。大災害には法規制が崩れやすい。平時から分配の精神が培われていなければ、関東大震災の再来となれば、飲み水で大混乱だ。

 『純水』はたかだかスーパーマーケットの水もらいかもしれない。だが、公平な分配を日本人にもう一度考えさせる、いい場かもしれない。災害時の秩序を含め、わが身を瓦礫のなかにおいて考えてみてはどうだろう。【了】

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記者HP:穂高健一ワールド

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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