Fe-NANDフラッシュメモリーのためのFeFET光学顕微鏡写真
 産業技術総合研究所は19日、東京大学大学院工学系研究科竹内健准教授と共同で、強誘電体ゲート電界効果トランジスタ(FeFET)をメモリーセルとして用いるとNANDフラッシュメモリーの性能が著しく向上することを実証した。なお、同研究は新エネルギー・産業技術総合開発機構の「エネルギー使用合理化技術戦略的研究開発/エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発/低消費電力プロセッサのための不揮発論理回路基盤技術の開発」の中で行われた。

 発表によると、従来型のNANDフラッシュメモリーのメモリーセルの書き換え回数が1万回、書き込み電圧が20Vなのに対し、今回作製したメモリーセルの書き換え回数は1億回以上、書き込み電圧は6V以下となる。また、従来のNANDフラッシュメモリーの微細化の限界は30nm程度といわれているが、今回作製したメモリーセルの技術を強誘電体NANDフラッシュメモリーに応用することにより、将来の20nm、10nm技術世代にも対応できるため、次世代高密度大容量不揮発メモリーとして期待できる。

 同研究では、NANDフラッシュメモリーセルとして最適なしきい値をもつようにチャネル領域への不純物注入条件を調整したp型Si半導体基板上にパルスレーザー蒸着法によって高誘電体Hf-Al-O薄膜を約10nm、強誘電体SrBi2Ta2O9薄膜を約400nm製膜した後、金属Ptを約200nm製膜し、フォトリソグラフィー技術によりゲートおよびソース、ドレイン、基板の各電極を形成して金属-強誘電体-絶縁体-半導体(MFIS)ゲート積層構造をもつnチャネル型FeFETが作製された。FeFETにパルス幅の異なる書き込み・消去電圧を与えてからしきい値を測定したところ、10μs、6Vの高速・低電圧パルスによっても2つの記憶状態に相当するしきい値が十分に判別できたほか、メモリーセルにデータ書き込みやデータ読み出しを行う際に同時に隣接するメモリーセルに加わる電圧負荷条件(書き込みディスターブ、あるいは読み出しディスターブ)を、FeFETに加えてしきい値の変化を調べ、メモリーセルへの書き込みや読み出しによって、隣接するメモリーセルの記憶データが誤って書き換えられることのない電圧条件が得られた。

 このnチャネル型FeFETは外挿値で10年間のデータ保持が期待され、10μs、6Vの書き込み・消去電圧パルスを各々1億回まで印加してnチャネル型FeFETのしきい値の変化を調べたところ、1億回のパルス印加後でも大きなしきい値の変化は見られず1億回以上の書き換え耐性をもつことが示された。

 同研究所では、今後はFeFETの微細化・集積化技術の開発を進めながら東京大学と共同でFe-NANDフラッシュメモリーアレイの回路設計と作製を行い、Fe-NANDフラッシュメモリーアレイの動作を実証するとしている。

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