団塊の世代よ、夫婦円満の秘訣は『男の介護』だ。(中)
2006年10月05日05時19分 / 提供:PJ
(上)からのつづき。50代の河西さんは海外駐在員を断った。理由は一人暮らしの母親に、もしなにか事があれば、海外からだと即座に駆けつけられない、という考え方からだった。母親想いだったからだろう。
『世界に羽ばたくソニー』で、海外勤務を断れば、やる仕事は固定してくる。河西さんは渉外部で、定年まで7年半は、役員の勲章授与の申請手続き業務に従事してきたのだ。
定年後の河西さんは、アメリカ仕込みの念願だった『熟年モチベーター』の活動に入った。中高年層に対する生き方のアドバイザーだ。定年退職から4年後で、母親が軽い脳梗塞で倒れた。親の介護が即座に本格的になり、毎週、上諏訪に通うようになった。
「妻と話し合った結果、先々で嫁姑問題からゴタゴタされるよりも、自分が上諏訪の親の面倒を見てやろう、と決めました」。それからは船橋と上諏訪を往復する遠距離介護がはじまったのだ。
火曜から金曜日まで上諏訪に帰省した。買い物、洗濯、布団干し、母親の身体を洗う。こうした身の回りの世話から、外出の付き添いなどの介護を行ってきた。近所の冠婚葬祭にも出席した。4日間はあっという間に経つ。金曜日には老人健康施設『かりんの里』に預けてから、東京に向かう。
「母は歳ともに、身体が不自由になり、やがて月4回になりました」。JR船橋から上諏訪まで、特急とか、高速バスとか、交通費はバカにならない。定年退職後の年金の身だけに、家計への大きな負担がかかる。河西さんは夫人の理解を得ながら、一つひとつ問題を解決しながら13年半、男の介護をつづけてきたのだ。
ふたり兄弟の弟(次男)も、月二度は顔を出す。兄弟揃って、母親を看る姿勢を貫いた。しかし、弟はほとんど日帰りで、長くても一泊だった。親の介護の主体はどこまでも、河西さんにかかっていたのだ。
帰省して母親の顔をみると、まず会話が大切。駄洒落、掛け合い漫才など、親子のふれあいの会話に注力したという。「なぜ冬なのに、素足でいるの」「諏訪市(素足)に住んでいるから、当然じゃ」と母から愉快なことばが帰ってくる。「帰るたびに、汚い家だな」「北がなければ(北がない)、南の部屋があるよ」。親子の間で笑いがあったという。
男の介護はもう止めだ、と考えたことはありませんでしたか、とPJが質問を向けてみた。「そりゃあ、ありましたよ。人間ですから、迷いとか、不安とか、ストレスとかはありました」。この点の解決法を話してくれた。
月曜日の夜にはきまって上智大学の公開講座『人間学』を聞きに、足を運んだという。「心をきれいにし、翌朝の高速バスで上諏訪に向かっていました。これが最も効果的でした」。松尾芭蕉、親鸞などの生き方を学び、雑念を棄ててから、上諏訪にむかう。それが13年余りも男の介護がつづけられた秘伝らしい。【つづく】
■関連情報
千葉市生涯学習センター主催『シニアのための地域デビュー講座』3回シリーズ
第一回の講師:河西和彦さん「いきいきシニアを目指す秘訣」
問い合わせ先:千葉市中央区弁天37−7
千葉市生涯学習センター3階
043−207−5820
河西和彦・共著『大衆時代の老い方』ミネルヴア書房
河西和彦・共著『NHKシルバー介護・経験で綴る介護の知恵袋』旬報社
河西和彦・共著『道―歩き方・人さまざま』ぎょうせい
記者HP:穂高健一ワールド
PJニュース.net
『世界に羽ばたくソニー』で、海外勤務を断れば、やる仕事は固定してくる。河西さんは渉外部で、定年まで7年半は、役員の勲章授与の申請手続き業務に従事してきたのだ。
定年後の河西さんは、アメリカ仕込みの念願だった『熟年モチベーター』の活動に入った。中高年層に対する生き方のアドバイザーだ。定年退職から4年後で、母親が軽い脳梗塞で倒れた。親の介護が即座に本格的になり、毎週、上諏訪に通うようになった。
「妻と話し合った結果、先々で嫁姑問題からゴタゴタされるよりも、自分が上諏訪の親の面倒を見てやろう、と決めました」。それからは船橋と上諏訪を往復する遠距離介護がはじまったのだ。
火曜から金曜日まで上諏訪に帰省した。買い物、洗濯、布団干し、母親の身体を洗う。こうした身の回りの世話から、外出の付き添いなどの介護を行ってきた。近所の冠婚葬祭にも出席した。4日間はあっという間に経つ。金曜日には老人健康施設『かりんの里』に預けてから、東京に向かう。
「母は歳ともに、身体が不自由になり、やがて月4回になりました」。JR船橋から上諏訪まで、特急とか、高速バスとか、交通費はバカにならない。定年退職後の年金の身だけに、家計への大きな負担がかかる。河西さんは夫人の理解を得ながら、一つひとつ問題を解決しながら13年半、男の介護をつづけてきたのだ。
ふたり兄弟の弟(次男)も、月二度は顔を出す。兄弟揃って、母親を看る姿勢を貫いた。しかし、弟はほとんど日帰りで、長くても一泊だった。親の介護の主体はどこまでも、河西さんにかかっていたのだ。
帰省して母親の顔をみると、まず会話が大切。駄洒落、掛け合い漫才など、親子のふれあいの会話に注力したという。「なぜ冬なのに、素足でいるの」「諏訪市(素足)に住んでいるから、当然じゃ」と母から愉快なことばが帰ってくる。「帰るたびに、汚い家だな」「北がなければ(北がない)、南の部屋があるよ」。親子の間で笑いがあったという。
男の介護はもう止めだ、と考えたことはありませんでしたか、とPJが質問を向けてみた。「そりゃあ、ありましたよ。人間ですから、迷いとか、不安とか、ストレスとかはありました」。この点の解決法を話してくれた。
月曜日の夜にはきまって上智大学の公開講座『人間学』を聞きに、足を運んだという。「心をきれいにし、翌朝の高速バスで上諏訪に向かっていました。これが最も効果的でした」。松尾芭蕉、親鸞などの生き方を学び、雑念を棄ててから、上諏訪にむかう。それが13年余りも男の介護がつづけられた秘伝らしい。【つづく】
■関連情報
千葉市生涯学習センター主催『シニアのための地域デビュー講座』3回シリーズ
第一回の講師:河西和彦さん「いきいきシニアを目指す秘訣」
問い合わせ先:千葉市中央区弁天37−7
千葉市生涯学習センター3階
043−207−5820
河西和彦・共著『大衆時代の老い方』ミネルヴア書房
河西和彦・共著『NHKシルバー介護・経験で綴る介護の知恵袋』旬報社
河西和彦・共著『道―歩き方・人さまざま』ぎょうせい
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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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