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飛ばなかった、「天才」と「天馬」。

飛ばなかった、「天才」と「天馬」。
凱旋門は知っている。 (撮影:池野 徹)
【PJ 2006年10月03日】− 完敗である。第85回「凱旋門賞」(仏G1、芝2400メートル、ロンシャン競馬場)に日本から挑戦した、「天才」武豊騎乗の、「天馬」5冠馬ディープインパクト(牡4歳、栗東・池江泰郎)は、一番人気に押されたが、首+半馬身差の3着に破れた。優勝は、ホームのパスキエ騎手騎乗の、レイルリンク(牡3歳、仏、ファーブル厩舎)だった。

 下馬して検量に向かう興奮と口惜しさの中の武豊騎手に、リポーターは「立派な3着でしたよね」と声をかけたが、足早に通り過ぎようとした。だが、武豊は「残念でしたね」とさり気なく言った。その言葉が気になった。その後の応答では「口惜しいと言うより、残念です。最後のギアが入らなかった。目一杯走っていない。状態は良かったが本来の走りでなかった」と武騎手は語った。ということは、出走前には人馬ともほぼ、完全状態と誰もが言っていたが、誰にも解らないけど、何かが起こっていたのだろうか。

 人間と馬の競技は、オリンピックにもある馬術がある。そして競馬がある。動物と一体化して戦う競技である。人間だけの競技とは違うのである。幼少時から馬との生活、馬との会話をして共に育ち経験を経て、一人前の騎手になる。今回の武豊は、その成績といい、キャリアといい、天才の名声を受けて来た騎手である。宿命の血統に操られ見いだされた、走る事のみに選ばれ、勝ち鞍を挙げて来た三冠馬のディープインパクト。この「天才」と「天馬」が人馬一体となった事に、競馬ファンは、期待と希望と信頼を込めて見ていたに違いない。

 しかし、人間と馬の競技である。その両者の計り知れぬ関係は誰にも解らない。馬の耳に念仏じゃないが、いくら解り合えたとして、今日の真の気分など解りようがないと思う。誰にも解らぬ武豊とディープインパクトの会話、感触、手応えはどんなだったろうか。勝てば全て吹っ切れて、勝利の雄叫びを挙げれば、何も言うことはないだろうが、負けた事で、馬にも人間にもうなずける何かがあったように思えるのだが、武豊とディープインパクトに聞いてみたい。

 その馬と人間の隙間が勝負のポイントであるように思える。そこに競馬ファンが賭けて、見て、参加して楽しんでいるからだ。ましてや、「天才」「天馬」の組み合わせだから。敗因は、いろいろ言われているが、「残念だ」といった武豊は負けた原因を知っているはずだ。真実は言わないだけだ。ディープインパクトも。“馬耳東風”。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 池野 徹【 千葉県 】
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