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年金返上で表彰が必要なのか?

【PJ 2006年10月02日】− 日本経済新聞の9月27日の夕刊に、「年金返上者表彰を検討」という見出しの記事が掲載された。厚生労働省は富裕層に年金の返上を促すため、年金の受給を自ら停止した人を表彰、希望者の氏名を公表するなど新たな仕組みを導入する方向で検討に入ったという。公的年金は来年4月に年金の支給停止制度が導入され、給付を受けている人も停止できるようになることに合わせて、少しでも多くの富裕層に年金を返上してもらうためらしい。それで、厚生労働省と社会保険庁は今秋中に詳細を詰めるという。私は、この話に違和感を覚えた。

 年金財政が厳しいのは分かる。それで年金の支給停止制度が導入されるのも理解できる。しかし、社会保険庁が年金を返上して欲しいと望むことは、どこかおかしいのではないか。わが国の公的年金は国民皆年金ということで加入が義務付けられている。また、世代間扶養とは言うものの、保険料を25年間払い続けなければ受給資格がない。

 25年以上義務として保険料を払い続けた人が65歳になって年金を受け取れるようになったとき、その人が長年の努力の結果富裕層になっていて年金返上しようと考えるのは、その人の好意であり善意である。社会保険庁は年金制度を管理運営する立場にあるのだから、本来、「受給資格があるのですから受け取って下さい」と言うのが筋で、「あなたは富裕層ですから年金を受給しなくても困らないでしょう。ですから、返上してくれませんか」と言うのはおこがましい。年金財政がここまで悪化した責任は社会保険庁にもあるはずだ。

 支給停止制度ができるのだから、返上しようと考える富裕層は自主的に返上するだろう。表彰制度まで作る必要はないのではないか。そんな事を検討する時間があるなら、他にやるべきことがあるのではないか。それに、返上を決めた富裕層が表彰されて喜ぶのだろうか。

 この表彰制度を制定するに当たり、厚生労働省と社会保険庁の職員は検討する時間を費やすことになる。私は時間と人件費の浪費だと思う。表彰制度制定に携わる厚生労働省と社会保険庁の職員の皆様にお願いしたい。どうしても表彰制度を作るというなら作って戴いて結構ですが、検討するのは勤務時間中ではなくて、サービス残業か手当て返上の休日出勤でお願いしたい。要は、「検討に費やす人件費は返上して欲しい」ということです。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 葦乃原 光晴【 東京都 】
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