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テレビが推奨する食の功罪はいかに? (下)

2006年09月24日04時53分 / 提供:PJ

pj
テレビが推奨する食の功罪はいかに? (下)
栄養バランスという名の下に、30品目も食べるから肥満になる。1日に6〜7品目で充分。玄米食と野菜の組合せを勧める鈴木猛夫さん。東京・文京区の魚健ストアで。(撮影:穂高健一)
(上)からのつづき。「欧米型の病気が増えた理由は、突き詰めれば、主食の白米にあります」と鈴木猛夫さんが語る。それは想定外の説明だった。肉類、乳製品など高カロリーが原因だとばかり思っていたからだ。

 「日本人は、自分たちの主食である、白米と玄米の違いを知ることが重要です」。精米機で白くした米は、『粕』である。つまり、白米はカスだという。「米の胚芽を残す『糠』(ぬか)は、米の(健)康の源です」と語源から、健康の源は玄米だといい、玄米食を勧める。

 「玄米の糠は油ですから、副食にはさっぱりした野菜が中心になります。玄米と肉をいっしょに食べると、ともに味が強いから、合わないのです」。ここがキーポイントのようだ。主食に玄米を食べていると、ごく自然に肉類が不要になる図式が成立するのだという。

 「反面、糠を精米で削り取った白米には、油分と栄養分がありません。だから、副食に油っぽいものが必要になるんです。それが栄養過多の原因です」。油っぽい食品の過剰な摂取はやがて成人病につながる。この論理の展開には納得できた。

 日本人の食性(しょくせい)は古代から培われてきた、うす味だった。江戸時代の日本には、フライパン料理に類似するものはなかった。それは玄米で、油分が摂れていたからだという。副食はあっさりしたもの、いまでいう精進料理だった。

 戦後になって伝統的な食文化がくつがえった。そこにはアメリカの小麦戦略があったと、鈴木さんは語る。1940年代後半、アメリカは農作物の過剰生産、過剰在庫という深刻な問題を抱えた。戦略として、小麦(パン、スパゲティの原料)、畜産物、トウモロコシ、大豆などの販路を日本に求めたのだ。子どものうちから、欧米型の食事に慣れさせるために、学校給食にパンと牛乳を取り入れた。それが長期戦略だったと語る。

 パンとミルクの給食で育った世代は、からだを作る青年期には肉、卵、牛乳など栄養があるからといい、多く摂取してきた。40代、50代になったいまや成人病の危機にある。アメリカ小麦戦略はある意味、成功した。いまや散々太った日本人中年層は、ダイエット食品に走る、これが実像だ。そのうえ糖尿病、高血圧、動脈硬化などはいまもって低年齢化の傾向にある。

 「戦後の栄養学は間違っています。栄養バランスを口実に、数多くの副食を食べてさせてきた。ふつうの食事をしていると、成人病になる。それがこわい点です。主食の見直しをはかることです」それには伝統的な食文化に立ち返るべきだという。

 「玄米食に変えたならば、最初は違和感があります。だが、半月ほどで慣れてきます。また、美味しく感じます。半年たてば、副食がさっぱりしたものになります」。各家庭に精米器(市販で2〜3万円程度)を備えれば、分づき米(糠層の割合)の調整ができる。そのうえ、圧力式電気炊飯器(圧力IH)を買えば、玄米は手軽においしく炊ける、と鈴木さんは勧めている。

 テレビ番組の出演者が語る、健康にいい、成人病の予防ができるという、単品紹介で振りまわされるよりも、ここは一度、玄米食を試みてはどうだろう。初期投資で4〜5万円はかかりそうだが、主食からはじまる食改善で、長寿の健康を入手すれば、元が取れる。【了】
 
■関連情報
鈴木猛夫著『アメリカ小麦戦略と日本人の食生活』藤原書店

鈴木猛夫さんHP:食生活史研究家・鈴木猛夫

記者HP:穂高健一ワールド

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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