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乳癌がもたらしてくれたもの(11)=退院後の生活

【PJ 2006年09月24日】− (10)からのつづき。さて、退院はリンパ液の分泌も落ち着いたゴールデンウイーク明け、04年5月10日になりました。手術からはちょうど20日が経っていました。

 入院が長かったこともありずいぶん元気になっていましたので、家に戻ってもなに不自由なく普通の生活が送れると思っていましたが、退院してすぐはちょっとしたことで疲れてしまったり、掃除や洗濯などが思うように出来なかったりと、こまめに横になることも多く、歯がゆい思いもありました。

 退院して12日後には地域の仲間とのバーベキューを楽しんだり、また一カ月後には入院前から企画していたスポーツの大会を開催したりと、比較的元気に動いていました。「疲れたらいつでも横になればいいんだから」といって、積極的に外に引き出してくれた仲間たちには心から感謝しています。

 入院中、周囲の方々には本当にお世話になりました。当時小学校5年生だった娘を毎日学校帰りに預かってくださったクラスメイトのお母様、病室まで見舞いに来てくれた仲間や友人たち、毎日私の着替えの洗濯をして届けてくれた母、家の洗濯や掃除のほかに、高校に上がったばかりの息子に毎日弁当を作っていた主人も、それぞれに一生懸命の日々だったようです。

 もしかしたら、病院で、「のほほん」とした日々を送っていた私が一番楽だったかもしれません。

 6月に入ってからは、放射線治療が始まりました。これは温存した乳房に、5週間計25日、土日の休み以外は毎日、放射線を照射するというものです。医師からは放射線は照射する時間ではなくて、患者がどれだけの放射線を吸収するかを基準に治療を組み立てるのだと説明されました。私の場合は50グレー(放射線の照射の単位)が必要量だということでした。

 最初は毎日、決まった時間に病院に通うのは相当大変なことなのではないかと思ったのですが、通ってしまうと何のことはない。病院といえども人と会い、話ができるという面では、ふさぎがちな日々を送っていた私にとってはとても良かったと思います。往復で一時間もあれば行って帰ってこられる家から近い病院だったのもラッキーでした。病院が遠いと、たった10分の放射線の照射が一日がかりの仕事になってしまいますものね。

 放射線の治療を受ける前には、照射の位置を決めるための測定をします。そして計測した患部の肌に直接紫色の線を描きます。まるで人造人間みたい。書いた線は薄くなった部分を順次重ね書きしながら治療の間の5週間維持しなくてはなりません。線はお風呂などで洗って消さないようにしてください、という説明を受けました。

 一度放射線技師の先生の言いつけを破って、紫の線を、つい石鹸でこすって消してしまったことがあります。翌日、厳重な注意を受け、再度照射される位置を測りなおされました。時間と手間だけではなく二重に測定料もかかります。このときはじっと横になりながらしばし反省をいたしました。 
 
 この治療を受け終わる頃には、患部がそこだけ常夏のハワイで日焼けしたような、こんがり素肌になりました。【つづく】 
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 山下 真由美【 茨城県 】
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