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乳癌がもたらしてくれたもの(7)=手術ののち

【PJ 2006年09月20日】− (6)からのつづき。辛かったのは、その晩からです。気がつくと口に酸素マスクがあてられていました。主治医からは、深呼吸をたくさんするようにいわれました。たくさん酸素を取り込むと傷の直りがいいそうです。

 手術というのはなんともいえないものですね。切ったところが痛いというより、なんだかわからないけれど、体全体が辛いのです。全身が身の置き所がないくらいにだるくて、自分の体を楽にしてあげたくても、どうにも成す術がないという辛さなのです。

 酸素マスクのせいか、夜中に何度も気分が悪くて目が覚め、吐くものがないのに、吐きました。体は痛く、背中に毛布などをあてて、何度も楽な体勢を探りながら、一晩中ウンウン唸っているような状態。

 これは私の勝手なイメージですが、この間、からだの中では、中に入ったたくさんの薬品を外に出そうとする自然の浄化作用が働いていたのかもしれません。思いっきり辛いのを越えてしまうと、すぐ元気になりました。

 また手術を通して、自分の体を全て人にゆだねる経験をしたことは、別の意味で、自分を開く、ひとつのきっかけにもなったように思います。

 手術の翌日、看護学生と看護婦さんにささえられ、障害者用のトイレまでやっとの思いで歩いていき、看護婦さんに尿管に入っている管を抜いてもらい用を足しました。それまでの私にとっては絶対にありえないことです。

 しかしあの時は介護をされる自分を受け入れるしかなく、立つのもやっとで、「生きる」という必死のあがきの中でした。あの時はじめて、『私は動物なんだ』と思いました。生き物として、私は皆に大切にされ、生かされて生きているということ・・・。看護婦さんたちの前で用を足すということは、あの場合、イコール「命」の営みの実証なわけですね。

 「なんだ・・・」と思いました。自分のもうひとつの側面、それは人間という、ただの動物でもあるのです。病気をしたことで、人として精神活動をしている自分と、ただ単に生き物としての自分と、両方の自分を受け入れることができたような気がするのです。

 あの経験は、自分が抱えていたくだらないおごりをすっかりはぎ落としてくれました。とてもいい経験でした。

 というわけで、一度歩いてトイレに行けたあとは、みるみる元気になっていきました。初めはちょっと無理かなと思っても、頑張って動かしてみる。体はとにかく使ってあげたほうが早く回復に向かうようです。【つづく】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 山下 真由美【 茨城県 】
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