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ハイチの世界的な詩人、自国の悲痛・なげきを朗読
【PJ 2006年09月20日】−
日本ペンクラブ(井上ひさし会長)の9月例会が15日、東京・千代田区の東京會舘で開かれた。例会にはミニ講演が開催されている。今回はハイチの詩人であるクリストフ・J・フィリップ・シャルルさん(55)の詩の朗読が行われた。
シャルルさんはハイチ国立大学などでハイチの歴史、英語、クレオール文学の教鞭をとる。9月にモンゴル(建国800年の記念行事)で開催された世界詩人会議に参加された。日本ペンクラブが、帰路に日本に立ち寄ったシャルルさんを例会に招いたものだ。
井上ひさし会長が「詩はひとの心をうつ。自作をひとまえで読むことは、音として詩を聞かせる、素晴らしいことです。日本人は引っ込み思案で、自分の作品をひとまえで朗読することは少ない。シャルルさんの詩の朗読の魅力を愉しんでください」と紹介した。
朗読のまえに、シャルルさんはハイチの歴史と詩の変遷について語った。通訳は早稲田大学仏文科教授の市川慎一さん。
ハイチはかつてフランスの植民地だった。多くのひとがアフリカから奴隷としてやってきた。1804年に独立した。北米ではUSAに次いで二番目の独立国となった。奴隷黒人が白人を追い出した、反乱の文学が生まれてきた。
1825年にはハイチが賠償金を払うことで、フランスも独立を認めた。平和と安定へと移った。二十世紀にはいると、ハイチの文学はフランスのシュールレアリスム、実存主義の影響を受けた。大西洋を中心においた地図からみれば、ハイチは五大陸の文化がクロスしたところ。ハイチは詩人と芸術家の国になった。
近年、独裁政治が約30年間もつづいた。最近になって連立政権ができた。しかし、政治経済はまだ安定していない。首都・ポルト・プランスのシテ・ソレイユ(太陽の町)では失業率70%、HIV感染者は15%。巨大なスラムで、民は飢えている。こうした劣悪な環境下で、シャルルさんは詩の活動をおこなっている。
シャルルさんは壇上で、心と腹の底からわきあがる声で、『犬』と『苛立ち シテ・ソレイユの子供たちへ』の2作を朗読した。
『犬』の第1章は次のように始まる。『わたしが知っている犬たち その犬たちはわたしのともだち 道路の隅っこでしんでいるものがいる 尻が傷ついているものがいる 鎖につながれたものもいる 食べ物を口にしていないものがある 小屋を持っていないものがいる かわいそうなのがいる』(配布・翻訳文を引用)は、民の悲しみが聞き手の心に伝わる。
『苛立ち シテ・ソレイユの子供たちへ』は3章を紹介したい。『わたしの血はめぐる めぐる めぐる 子供がひもじくて泣くたびに 死刑執行人が手を上げるたびに 母親が息子たちに涙を流すたびに』(配布・翻訳文を引用)と、ハイチの子供たちにとって深刻な厳しい状態が感じられる。痛々しいかぎりだ。
シャルルさんの朗読が終わると、会場には拍手が鳴りひびいた。
先のロス世界詩人会議でシャルルさんと同席した結城文さん(歌人・詩人)は、「かれは前向きで、エネルギーがあります。詩には怒りの叙情が表現されています」と語ってくれた。
ハイチはもともとカリブ海の素敵な国。はやく政情安定と経済回復を取りもどし、観光客が安心して訪ねられる島になることを願いたい。シャルルさんの詩から、心にそう思った。【了】
■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高健一【 東京都 】
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シャルルさんはハイチ国立大学などでハイチの歴史、英語、クレオール文学の教鞭をとる。9月にモンゴル(建国800年の記念行事)で開催された世界詩人会議に参加された。日本ペンクラブが、帰路に日本に立ち寄ったシャルルさんを例会に招いたものだ。
井上ひさし会長が「詩はひとの心をうつ。自作をひとまえで読むことは、音として詩を聞かせる、素晴らしいことです。日本人は引っ込み思案で、自分の作品をひとまえで朗読することは少ない。シャルルさんの詩の朗読の魅力を愉しんでください」と紹介した。
朗読のまえに、シャルルさんはハイチの歴史と詩の変遷について語った。通訳は早稲田大学仏文科教授の市川慎一さん。
ハイチはかつてフランスの植民地だった。多くのひとがアフリカから奴隷としてやってきた。1804年に独立した。北米ではUSAに次いで二番目の独立国となった。奴隷黒人が白人を追い出した、反乱の文学が生まれてきた。
1825年にはハイチが賠償金を払うことで、フランスも独立を認めた。平和と安定へと移った。二十世紀にはいると、ハイチの文学はフランスのシュールレアリスム、実存主義の影響を受けた。大西洋を中心においた地図からみれば、ハイチは五大陸の文化がクロスしたところ。ハイチは詩人と芸術家の国になった。
近年、独裁政治が約30年間もつづいた。最近になって連立政権ができた。しかし、政治経済はまだ安定していない。首都・ポルト・プランスのシテ・ソレイユ(太陽の町)では失業率70%、HIV感染者は15%。巨大なスラムで、民は飢えている。こうした劣悪な環境下で、シャルルさんは詩の活動をおこなっている。
シャルルさんは壇上で、心と腹の底からわきあがる声で、『犬』と『苛立ち シテ・ソレイユの子供たちへ』の2作を朗読した。
『犬』の第1章は次のように始まる。『わたしが知っている犬たち その犬たちはわたしのともだち 道路の隅っこでしんでいるものがいる 尻が傷ついているものがいる 鎖につながれたものもいる 食べ物を口にしていないものがある 小屋を持っていないものがいる かわいそうなのがいる』(配布・翻訳文を引用)は、民の悲しみが聞き手の心に伝わる。
『苛立ち シテ・ソレイユの子供たちへ』は3章を紹介したい。『わたしの血はめぐる めぐる めぐる 子供がひもじくて泣くたびに 死刑執行人が手を上げるたびに 母親が息子たちに涙を流すたびに』(配布・翻訳文を引用)と、ハイチの子供たちにとって深刻な厳しい状態が感じられる。痛々しいかぎりだ。
シャルルさんの朗読が終わると、会場には拍手が鳴りひびいた。
先のロス世界詩人会議でシャルルさんと同席した結城文さん(歌人・詩人)は、「かれは前向きで、エネルギーがあります。詩には怒りの叙情が表現されています」と語ってくれた。
ハイチはもともとカリブ海の素敵な国。はやく政情安定と経済回復を取りもどし、観光客が安心して訪ねられる島になることを願いたい。シャルルさんの詩から、心にそう思った。【了】
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