犬47匹・猫3匹と共に飼い主が参加して行われた新宿区総合防災訓練(04年)。(写真提供:新宿区役所)

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大地震が起これば、ペットも飼い主と共に被災する。そんな飼い主とペットの窮状を想定して、ペットと一緒に避難できる体制作りが東京都新宿区で進められている。災害からペットを守るためのパンフレットを飼い主に配り、学校などの避難所へ動物救護マニュアルを配布している。

 災害で家が焼け、壊れるなどして、自宅で生活できなくなった場合に、区の避難所ではペットも受け入れてくれる。しかし、ペットに対する備えは、基本的に飼い主の責任であり、ペットのための防災用品を用意しなければならない。避難所生活で欠かせないのは、ペットと飼い主の身分表示とペットの行動範囲を制限するリード・ハーネスで、そのほかに食事・水やトイレ用品、常備薬など。区では、原則として、犬、猫、小鳥などの小動物は受け入れるが、亀やワニなどの爬(は)虫類やカエルなどの両生類は持ち込めない。

 受け入れが許可されるペットも、避難所で被災者やほかのペットと生活していくために、環境に順応しなければならない。避難所では、動物好きな人、嫌いな人、アレルギーを持つ人など様々な人が暮らしを共にする。体育館などプライバシーが余りなく、共同生活を余儀なくされる場所では、人がストレスを受けるように、ケージ内・つなぎ止めによっていつもと勝手が違う環境では、ペットの精神状態も変わる。これまでにも災害地の避難所で、ペットが人を怖がって排せつができずに病気になったり、極端にほえたり、さらには人に噛(か)み付くなどして、避難所から出なければならなかった例もあるという。

 自分のペットが周りの人に嫌われるか、好かれるかは、日ごろの飼い主のしつけにかかる。犬の場合は、飼い主の言うことを守り、むやみにほえない。また、犬・猫にかかわらず、ケージに入ることを嫌がらない、トイレは決められたところでするなどのしつけが、いざという時になって大きな意味を持つ。【つづく】