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“ヤスクニへ行った韓国青年”の後日談。

“ヤスクニへ行った韓国青年”の後日談。
靖国神社の遊就館へ行った日本人は必ずゼロ戦に関心を持つ。ナム・ミョンヒョンは隣りのSLに興味を示した。私はそのSLが、悪名高き日本帝国主義の象徴、「泰緬鉄道」なのだという説明を躊躇った。(撮影:今藤泰資)
【PJ 2006年09月19日】− 突然韓国からやってきた韓国青年ナム・ミョウヒョン(南明玄)君は結局5泊6日、我が家に滞在した。思いがけない珍客であったが、家内が「世話は面倒だ」としなかったのは、一重に彼の性格につきる。ミョンヒョンは明るく礼儀正しく話し好き。我が家で会話の途絶えることはなかった。

 16日朝、水戸経由で帰国する彼を真岡鉄道のSLに乗せることにした。韓国にSLはない。週末に走るSLにミョンヒョンは大変興味を示した。ヤスクニ遊就館のゼロ戦に無関心な青年は、隣に展示されていた泰緬鉄道の機関車を撮っていた。現役で快走するSLに憧れを持つのは当然だったのだ。「チョンジュ(清州)へ帰ったら、友達に自慢する」とミョンヒョンは胸を張り、「また一つ、いい思い出ができた」と続けた。数カ月前、泰緬鉄道に乗ったばかりの私には日本帝国主義を象徴するSLの歴史をついに開陳できなかった。

 帰国直前、チョンジュへ留学していた私の友人の一人から、感謝のメールを受け取った。「帰国後、ミョンヒョンはささやかな日韓関係の修復をすることでしょう」までは良かったが、「彼があまりにも親日的過ぎて、迫害を受けることのない様祈りたい」と結ばれていた。ヤスクニで“参拝した”ことを案じているのだ。そうか、そこまでの配慮は足りなかったな。私は反省し、「近くて遠い国」の溝を埋めるのは生易しいことではないと不明を恥じた。

 18日午後3時。自宅にチョンジュから国際電話が入った。「今帰った。色々とお世話になった。また奥さんの手料理が食べたい」と言って家内を喜ばせた。私も嬉しかった。ここ数年間、多くの韓国、中国の留学生を我が家に招き、県内外を案内して歩いた。学士論文や修士論文の添削に時間を掛け、話言葉を教え、彼我の風習の違いをともに学んだ。その数は30人以上に上った。だが帰国後、ミョンヒョンのようにお礼を言ってきた一人の中国人もいない。韓国青年たちはみな年賀状をよこし、ソウルで馳走にあずかったこともある。韓国の習慣では年配者をもてなすなど極めて珍しいことなのだ。中国に偏見を持たないよう心がけても、私はやはり韓国が好きになる。

 日中韓はアジアを引っ張る牽引車。仲良くせなばならないのは当然のことながら、外交とて人間関係。優しさや親しさ以上に礼を失してはならないのである。ミョンヒョンの電話を切ったあと、私は海外に出かけた多くの日本青年たちが、礼儀正しくその国の方々と接してくれているかどうか、大層気になった。【了】 
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 今藤 泰資【 茨城県 】
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