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乳癌がもたらしてくれたもの(6)=手術

【PJ 2006年09月19日】− (5)からのつづき。あれほど恐怖だった手術ですが、当日は落ち着いた気持ちで迎えることが出来ました。手術の直前にはいろいろな準備があるのですが、面白かったのが浴衣やT字帯の着用のほかに、中世の王子様みたいな、ものすごくキツーイ白いタイツをはかされたこと。しばらくずっと同じ姿勢で寝ていることになるので、血栓などが出来ないように防止する必要があるのだそうです。王子様タイツで受ける手術、ちょっと愉快な格好に我ながら笑ってしまいました。

 笑う余裕が出るというのは、手術の1時間ほど前に飲まされた、睡眠導入剤の効果もあったと思います。手術は04年4月21日の午後1時半からでしたが、その時間には気持ちもすっかり落ち着いていて、割合冷静にいろいろなものを観察していました。不思議と眠気はなく、コンタクトレンズははずしていましたが、病室から移動式の簡易ベッドで手術室に行くときの周りの様子などもわかっていました。

 手術室に入り、手術台に自分で移動をすると、頭の上にはよくテレビドラマで見るような手術用の丸いライトがありました。手術台に横になると麻酔が効いたかどうかの確認のためでしょうか、看護師さんたちに話しかけられたのですが、口が回らなくなって、「あれ?」と苦笑し、大きく息を吸い込んだ瞬間に、何もわからなくなりました。

 目が覚めたのは夜の8時過ぎ。主治医から「目をあけてごらん」と頬に触れられて意識が戻りました。病室は電気が消されていて、頭の上のベッドのライトが周りをオレンジ色に照らしていました。私の両側にいた主治医と母の会話から、手術跡がキレイらしいということがわかり、心底ホッとしたのを覚えています。

 後日、私の場合は腫瘍の摘出と同時に形成手術も一緒に行ったので時間がかかったと主治医が話してくださいました。温存の場合、腫瘍を摘出するだけだと乳房がひしゃげてしまうそうです。腫れもあったのですが、胸が張ってしっかり整っているので、「どこかからお肉を持ってきて詰めてくださったのですか?」と大真面目に聞きましたら、笑って、「そんなことしないョ」とのこと。胸の脂肪を整えて縫合したのだそうです。それもいろいろ技があるのだと、冗談交じりに話してくださいました。

 摘出したのは腫瘍の周辺の組織と脇の下のリンパ節を含めた組織。私の場合、腫瘍ができたのが脇の下に近いところであるということと、癌が乳腺から出て広がっていることとなどから、脇の下のリンパに転移している確率が高いので、その組織ごと全部とりました。

 リンパ節をとるということは、怪我をしたときなどに白血球が通る道がないということなので、トラブルがあると腕は浮腫んでしまいます。主治医からは「左腕は一生大事にして、怪我なんぞしないようにね」といわれましたが、のどもと過ぎると何とやら、あまり酷使しないようにしている程度で、普段はあまり気にしていません。

 手術して一年ほど経った夏、左腕が浮腫んで2カ月ほど取れなかったのですが、市販されている低周波治療器を自宅で試しにかけてみたら、1週間から10日ほどで改善しました。コツは背中にパットを張って左腕周辺の筋肉を収縮させたことでしょうか?あれ以来一度も腕の浮腫はありません。

 現在、傷は胸から脇にかけて10センチくらいの線になって残っていて、腕を上げたときなど、そう思って見れば手術の跡はわかります。しかし私自身は特に気にならないので、毎年夏はノースリーブを着て街中を闊歩しています。【つづく】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 山下 真由美【 茨城県 】
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