被疑者の全面否認。長期拘留は必要か?(下)
2006年09月18日07時29分 / 提供:PJ
(上)からのつづき。検察が「証拠隠滅の恐れがある」と要求すれば、裁判所は簡単に受け入れているという批判が実に多い。住所不定、証拠隠滅、逃亡の恐れ。三つのうち一つでも該当すれば、保釈が認められない。
経済事件などで、会社社長が逮捕されると、家宅捜査では経理資料、顧客名簿、売掛金などあらゆる資料が運び出される。代金回収や支払いが滞り、倒産の危機に追い込まれる。
拘留期間の22日以内で保釈されたならば、企業にはまだ復元力があるだろう。しかし、保釈が認められず、社長や会社幹部が長期に不在となれば、企業はピラミッド構造だから指揮命令系統に破綻をきたし、もろく倒産してしまう。
保釈申請却下は単にひとりの被疑者の身柄を拘束することだけではない。家族全員の生活権をも奪うことにもなるのだ。失業した従業員の家族は路頭に迷う。妻子を含めれば数十人、数百人、ときには数千人というひとが生活権をおびやかされるのだ。それは罪なことだし、国民は豊かで安心して生活を過ごせる権利を有する、憲法の精神に反することだ、という認識が裁判官には必要だ。
被疑者に証拠隠滅の恐れがある、と検察官が主張する。それは有罪を勝ち取りたい職務の立場からすれば、当然の面がある。
他方で、被疑者にも『無実を証明できる、証拠集めをさせる』という機会を与えるべきだ。これが公平というもの。常識的に考えても、ある日、突然に逮捕されて裁判直前まで拘禁された、被告人の立場で見れば、検察に較べたら、無実を証明できる証拠や証人集めなど、まったくできていない。これでは被告人は不利だし、公平で平等の裁判が受けられるシステムとはいいがたい。
裁判所が旧態依然として、このバランス感覚の悪さで、裁判を運営していったならば、『人間はすべて公平であるべき』という精神が欠如した、悪しき時代だったと、後世で間違いなく批判されるだろう。
不起訴に対する検察審査会が十二分に機能しているとは思えない。だが、国民の側からすれば、システムとしては必要。保釈申請のジャッジを裁判所に任せきりにするのでなく、バランス感覚のある一般市民が集まり、一人の拘留を延長したならば、どれだけ他に影響をおよぼすか、と総合的な判断できる、審査機関が必要だ。
凶悪犯などを除いた、執行猶予がつくような事件では、現行法の拘留期間22日を厳格に運用するべきだ。市民感覚で、釈放が許容できる事件は、さらなる拘禁などまず不要。むしろ、被疑者にも証拠集めとか、証人集めとかを早期にさせるべきだ。検察が声高に反対を叫べば、これまでの捜査能力がその実、脆弱で、疑わしいものになる。
法務省は憲法遵守の精神からも、保釈申請の却下による長期拘束が社会におよぼす悪影響の実態調査をおこない、審議会などを設置し、新たな仕組みづくりに邁進してもらいたい。それで無罪の判決が漸増し、有罪比率が低下しても、国民は受け入れるだろう。検察官すらも99.9%の見えないプレッシャーから、少なからず解放されるはずだ。【了】
経済事件などで、会社社長が逮捕されると、家宅捜査では経理資料、顧客名簿、売掛金などあらゆる資料が運び出される。代金回収や支払いが滞り、倒産の危機に追い込まれる。
拘留期間の22日以内で保釈されたならば、企業にはまだ復元力があるだろう。しかし、保釈が認められず、社長や会社幹部が長期に不在となれば、企業はピラミッド構造だから指揮命令系統に破綻をきたし、もろく倒産してしまう。
保釈申請却下は単にひとりの被疑者の身柄を拘束することだけではない。家族全員の生活権をも奪うことにもなるのだ。失業した従業員の家族は路頭に迷う。妻子を含めれば数十人、数百人、ときには数千人というひとが生活権をおびやかされるのだ。それは罪なことだし、国民は豊かで安心して生活を過ごせる権利を有する、憲法の精神に反することだ、という認識が裁判官には必要だ。
被疑者に証拠隠滅の恐れがある、と検察官が主張する。それは有罪を勝ち取りたい職務の立場からすれば、当然の面がある。
他方で、被疑者にも『無実を証明できる、証拠集めをさせる』という機会を与えるべきだ。これが公平というもの。常識的に考えても、ある日、突然に逮捕されて裁判直前まで拘禁された、被告人の立場で見れば、検察に較べたら、無実を証明できる証拠や証人集めなど、まったくできていない。これでは被告人は不利だし、公平で平等の裁判が受けられるシステムとはいいがたい。
裁判所が旧態依然として、このバランス感覚の悪さで、裁判を運営していったならば、『人間はすべて公平であるべき』という精神が欠如した、悪しき時代だったと、後世で間違いなく批判されるだろう。
不起訴に対する検察審査会が十二分に機能しているとは思えない。だが、国民の側からすれば、システムとしては必要。保釈申請のジャッジを裁判所に任せきりにするのでなく、バランス感覚のある一般市民が集まり、一人の拘留を延長したならば、どれだけ他に影響をおよぼすか、と総合的な判断できる、審査機関が必要だ。
凶悪犯などを除いた、執行猶予がつくような事件では、現行法の拘留期間22日を厳格に運用するべきだ。市民感覚で、釈放が許容できる事件は、さらなる拘禁などまず不要。むしろ、被疑者にも証拠集めとか、証人集めとかを早期にさせるべきだ。検察が声高に反対を叫べば、これまでの捜査能力がその実、脆弱で、疑わしいものになる。
法務省は憲法遵守の精神からも、保釈申請の却下による長期拘束が社会におよぼす悪影響の実態調査をおこない、審議会などを設置し、新たな仕組みづくりに邁進してもらいたい。それで無罪の判決が漸増し、有罪比率が低下しても、国民は受け入れるだろう。検察官すらも99.9%の見えないプレッシャーから、少なからず解放されるはずだ。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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