『表現の自由』で闘う社長、名誉棄損事件(上)
2006年09月17日11時31分 / 提供:PJ
東京・文京区の男女センターで13日、「言論の弾圧との闘い」の講演会が行われた。主催は「本の会」で主幹は大出俊康さん。講師は西宮の出版社『鹿砦社』(ろくさいしゃ)代表の松岡利康(としやす)さん(54)である。
松岡さんは昨年7月12日に神戸地検に名誉毀損罪で逮捕された。神戸拘置所で192日間という長期拘留。今年7月4日には神戸地方裁判所で、懲役1年2月(求刑1年6月)、執行猶予4年の有罪判決を受けた。
「大阪では、逮捕から大きな事件として取り上げられました。東京では知る人が少ない。『表現の自由』について、大きな問題を抱えているので、東京の方々にもっと知ってもらいたい」と松岡さんは講演の冒頭に語った。
今回の逮捕と長期拘留と有罪判決が、判例となり既成事実化する、拡大される危険性が高まったと強調する。「鹿砦社は中小出版社ですが、大手出版社の社長の逮捕へと進む、危険な兆候です」と予見する。
最近は、批判封じのために、出版社やジャーナリストへの民事の名誉毀損訴訟が多くなった。それも高額訴訟が乱発されている。「検察や警察が、民事でなく刑事事件として告訴を誘導し、文芸春秋の社長も刑事事件で逮捕しろ、という状況になるかもしれません。今回の鹿砦社事件で、判例ができるのですから」と危惧する。
講演会には、『表現の自由』に関心の高いジャーナリスト、雑誌ライターのみならず、文芸春秋の幹部社員なども聴講していた。
松岡さんは報道のあり方についてもふれた。昨年7月12日、朝日新聞大阪本社が一面トップで、神戸地検『出版社社長に逮捕』鹿砦社、名誉毀損の疑い、とスクープした。
「この記事は朝日新聞の特ダネでも、なんでもない。検察がいつもやる各新聞社への持ち回り的な、情報リークだ」と決めつけた。「特ダネを取ったという記者は、けっして痛快な気分になれていないはず」。マスコミは常々、検察が作為でくれる甘い餌に飛びつく傾向にある、と批判する。
これが昭和30年代、40年代ならば、新聞社はまだ言論・出版の自由への認識が高く、『出版界に検察の手が伸びる、表現の自由の危機』という見出しをつけるだろう、と松岡さんは前置きしてから、「いまでは凶悪犯に逮捕状が出ている、という同類の扱い」となげいた。大手マスコミの『表現の自由』への感覚の鈍化があるのだと批判する。
松岡さんの逮捕容疑は二つ。一つは『阪神タイガース球団スカウト自殺事件』。98年にスカウトの渡辺省三氏が、ビルから飛び降り自殺として処理された。警察による司法解剖がなされなかった。死に疑いを持った子女・直子さんが、同社から『タイガースの闇』を出版した。そして、その後、同社の季刊雑誌『スキャンダル大戦争』において、死の疑惑に関し、当時の球団関係者二人を実名で記載した長女のレポートを掲載したというものだ。
もうひとつは『業界最大手パチスロメーカー・アルゼ問題』である。鹿砦社は前々から、同社が有力政治家とのダークな人脈と結びついている、と数々のスクープを行ってきた。そのうえで、アルゼ会長の女性問題など生活情報に踏み込んだ。そのことが名誉毀損罪に問われたものだ。
松岡さんは元警視総監が天下ったギャンブル関連企業の批判には、高い公共性と公益目的があったと主張している。【つづく】
■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
松岡さんは昨年7月12日に神戸地検に名誉毀損罪で逮捕された。神戸拘置所で192日間という長期拘留。今年7月4日には神戸地方裁判所で、懲役1年2月(求刑1年6月)、執行猶予4年の有罪判決を受けた。
「大阪では、逮捕から大きな事件として取り上げられました。東京では知る人が少ない。『表現の自由』について、大きな問題を抱えているので、東京の方々にもっと知ってもらいたい」と松岡さんは講演の冒頭に語った。
今回の逮捕と長期拘留と有罪判決が、判例となり既成事実化する、拡大される危険性が高まったと強調する。「鹿砦社は中小出版社ですが、大手出版社の社長の逮捕へと進む、危険な兆候です」と予見する。
最近は、批判封じのために、出版社やジャーナリストへの民事の名誉毀損訴訟が多くなった。それも高額訴訟が乱発されている。「検察や警察が、民事でなく刑事事件として告訴を誘導し、文芸春秋の社長も刑事事件で逮捕しろ、という状況になるかもしれません。今回の鹿砦社事件で、判例ができるのですから」と危惧する。
講演会には、『表現の自由』に関心の高いジャーナリスト、雑誌ライターのみならず、文芸春秋の幹部社員なども聴講していた。
松岡さんは報道のあり方についてもふれた。昨年7月12日、朝日新聞大阪本社が一面トップで、神戸地検『出版社社長に逮捕』鹿砦社、名誉毀損の疑い、とスクープした。
「この記事は朝日新聞の特ダネでも、なんでもない。検察がいつもやる各新聞社への持ち回り的な、情報リークだ」と決めつけた。「特ダネを取ったという記者は、けっして痛快な気分になれていないはず」。マスコミは常々、検察が作為でくれる甘い餌に飛びつく傾向にある、と批判する。
これが昭和30年代、40年代ならば、新聞社はまだ言論・出版の自由への認識が高く、『出版界に検察の手が伸びる、表現の自由の危機』という見出しをつけるだろう、と松岡さんは前置きしてから、「いまでは凶悪犯に逮捕状が出ている、という同類の扱い」となげいた。大手マスコミの『表現の自由』への感覚の鈍化があるのだと批判する。
松岡さんの逮捕容疑は二つ。一つは『阪神タイガース球団スカウト自殺事件』。98年にスカウトの渡辺省三氏が、ビルから飛び降り自殺として処理された。警察による司法解剖がなされなかった。死に疑いを持った子女・直子さんが、同社から『タイガースの闇』を出版した。そして、その後、同社の季刊雑誌『スキャンダル大戦争』において、死の疑惑に関し、当時の球団関係者二人を実名で記載した長女のレポートを掲載したというものだ。
もうひとつは『業界最大手パチスロメーカー・アルゼ問題』である。鹿砦社は前々から、同社が有力政治家とのダークな人脈と結びついている、と数々のスクープを行ってきた。そのうえで、アルゼ会長の女性問題など生活情報に踏み込んだ。そのことが名誉毀損罪に問われたものだ。
松岡さんは元警視総監が天下ったギャンブル関連企業の批判には、高い公共性と公益目的があったと主張している。【つづく】
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記者HP:穂高健一ワールド
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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