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【映画批評】“クレしん”映画の素晴らしさ

2006年09月12日14時21分 / 提供:PJ

pj
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』は素晴らしい映画作品だ。普段放送されている同作品の内容を見ると、たしかに品が良いとは言えない。しかし心配は無用である。テレビ作品と映画作品とは“つくり”が全く異なる。同作品には三つのテーマが含まれていると勝手に解釈している。

 第一に「故郷を守るための大合戦」だ。主人公たちの一家が迷い込んだのは戦国の世、そこで引き起こされる戦いの数々。随所にまで鮮明に描かれた、戦の描写は絶賛に値する。特に大合戦のシーンは非常に研究され写実されている。だが決して惨劇は無い。兵が突き刺される瞬間になると巧みに画面から外すなど、必要以上の残酷は表現しない様に配慮がある。戦の迫力と惨酷を混同させない演出は見事だ。

 第二に「身分社会の恋愛観」である。身分のある時代に生きる侍と姫の淡くとも切なく、そして切なくて哀れなラブロマンスは電子メールで告白や別れを告げられる安易で刹那的な現代の恋愛形態と大きく異なる。身分社会の中での二人の関係には哀愁を感じさせ、見る人の恋愛観をそっと再考させる。

 最後が「戦時の死生観」である。同作品を一度見た人ならば、この言葉にピンときて頂けると思う。
登場する侍たちは皆、常に死と隣り合わせで、死はとても身近なものとして描かれている。戦時を表現する片方で、生の尊さと生の儚さを表現しており、敵味方に関わらず討ち死にしていく様は写実的である。

 味方だけは無傷などという甘く有り勝ちな展開は一切無く、槍で突き刺された兵は討ち死にし、敵味方全員が戦い競い、また死んでいく。ラストシーンでの“死と生”は見る人全てに、涙と感動を与えてくれるはずだ。最後の空は最高に美しい。

 さて調子に乗ると“ネタバレ”まで書いてしまうので、このあたりで筆を止めておこう。死生観、恋愛、侍の礼と仁義までが織り込まれているこの作品は世界に発信しても恥ずかしくない日本映画の力作である。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 藤原 和也

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