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「9・11」と「九条」考える=鶴見俊輔・小田実の両氏

2006年09月12日13時39分 / 提供:PJ

pj
「9・11」と「九条」考える=鶴見俊輔・小田実の両氏
提起者、鶴見俊輔氏が、集会に参加した市民らに、自身の体験談を話した。(撮影:渡辺直子、11日)
兵庫県西宮市在住の作家で「市民の意見30・関西」代表の小田実氏が11日、講演会「鶴見俊輔・小田実 2人が語る『9・11』と『九条」」を、大阪市立弁天町市民学習センターで開いた。

 集会の主催者の小田氏は、9月11日に集会を行った主旨について「5年前の9月11日のアメリカの同時多発テロ以降、世界で新しい事態が起こっている。かつての基準があてはまらないことや、世界、日本がめちゃくちゃになってきている。今後、日本の政治も、今以上に悪くなるかもしれない」と述べたうえで「しかし、市民が愚痴ばかり言っても仕方がない。この事態にどう対処したらよいか一人一人が考えるための土台を、私と鶴見俊輔さんの体験や考え方を提起し、それを市民が考える会にしたい」と話した。

 提起者の鶴見俊輔氏は、自身の戦争体験について次のように語った。

 「戦中、私は海軍を志願してジャワに行った。ジャワにはジャカルタ在勤海軍武官府というところがあり、そこで敵が読む新聞と同じ新聞を作れと命じられた。夜中に起きて自分の部屋で敵国の短波放送を聞きき、朝になって事務所へ行き、夜中に聞いた情報から新聞を作った。昼までに仕事を仕上げた。昼ごはんのときには、箸を持つ手が震えた。一人だけで新聞を作り続けた。会話は英語で周りはアメリカ人だった」

 「そして1943年、私の同室の人間がポルトガル人を毒薬で殺す役を命じられ、彼は命令どおりポルトガル人を殺した。彼は終戦後、私のところにやってきて、命令されてポルトガル人に毒薬を渡したが、なかなか死ななかった。なかなか死なないので困ってしまい、まず、生きたまま穴に放り込んで、その中へピストルを撃ち込んだと話した」

 「だが、私はそのとき、彼が話したことを、そのまま、占領軍に密告することはしなかった。もし、あの時、私に命令が下っていたら、どうしただろうかと考えるのが、哲学というものだと思う。偶然、私に命令が下らなかったので、私は人を殺していない。人を殺していないなら、戦後、日本で平和に暮らせるだろうという考え方は、私には持てない」

 「私は、そのことを、戦後ずっと考え続けた結果、思い至ったことは、軍隊にいるとすごく恐ろしい。日本は敵の国だった。日本人は怖い。今も怖いと思っている。日本人は何をやるかわからない」

 「当時のことを思い返すと、大東亜戦争を信じ、むこうの方が、日本より正しいと固く信じた。一番苦しかったのは、全くの一人で、恐ろしかったこと。そのときに比べたら、自由な空間がいまここにある。そのときの思いを忘れずに、私は反戦運動に入っている」

 鶴見氏はこのように、自身の壮絶な戦争体験を前提に、反戦活動を続けていることを強調した。また、鶴見氏は、海軍の部隊にいるなか、自分ひとりだけが、「この戦争は、正しくない。必ず負ける」と思いつつ孤独の中、恐怖心にさいなまれたこと。毎日、上から何らかの命令が下ったときに、国際法違反だと、言い返すことができるだろうかと思案したこと。3カ月間、牢屋に入った経験があるなど、戦中の体験談を参加した市民らに話した。

 また、小田実氏が、市民集会を開くなど反戦を提起し続ける行動について、「小田氏の眼底には、14歳で体験した大阪大空襲の図柄が焼きついている。その後、東大、アメリカのハーバード大学に留学した。小田氏は、留学先で、自分が経験したものを、ニューヨーク・タイムズに掲載されている写真で見た。そのとき、小田氏が感じたこと、これが、小田実の力。そして14歳のアマチュアとしてみた物から手を離さない、これが小田実の力なのだ」と、小田実氏が、反戦を呼びかけ続ける意味について解説した。

鶴見俊輔氏
文芸評論家、哲学者。戦後、『思想の科学』を創刊し、『共同研究 転向』など思想史研究で成果を上げた。都留重人、丸山眞男らとともに戦後言論界の指導的人物。アメリカのプラグマティズムの日本への紹介者のひとりである。1982年に『戦時期日本の精神史』で大佛次郎賞、1990年に『夢野久作』で日本推理作家協会賞、1994年に朝日賞受賞。【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 新納 直子

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