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六本木編集週報No.15

「失踪日記」

【ライブドア・ニュース 2006年09月09日】− 今週の最大のニュースは、何といっても秋篠宮家第3子の誕生。待望の親王だった。これで当面は皇室典範の改正論議は棚上げになるだろうが、男系男子のみを天皇とする現在の制度は、早晩行き詰まることは目に見えている。もう一度、原点にかえって議論する必要があるようにも思えるが…。

 一方、暗いニュースも相変わらず。山口県周南市の徳山高専5年生、中谷歩さん(20)を殺したとして殺人容疑で指名手配されていた同級生の少年(19)は7日、首つり死体で見つかった。自殺と見られる。また、親を「殺そう!」という物騒な事件の類(たぐい)も、全国的に後を絶たないようだ。一体全体、この世の中はどうなってしまっているのだろうか。

 新聞の社会面に昨日、2、3段の扱いで載っていたが、超人気マンガといわれる『デスノート』の作者、小畑健容疑者(37)が銃刀法違反で逮捕されたという。私は不明にしてこのマンガ家を知らないのだが、有名人らしいから今秋公開予定の映画の話を含めて影響は小さくないだろう。

 ところで、その人気マンガ家という言葉で思い出すのが吾妻ひでお氏。ロリコン系のマンガでは不動の地位を築いていた人らしいが、あまりの仕事の忙しさから89年、92年の2回にわたって突然、失踪。その体験を後にマンガで描いた『失踪日記』が大評判となり、日本漫画家協会賞大賞など漫画賞を総なめにしてこれも話題になった。読者の中でも知る人が少なくないだろう。

 私もこの本を読んで堪能(たんのう)した一人である。とにかく面白いのだ。人の不幸を笑うような側面もあるかもしれないが、自分の社会逃避をごく客観的に淡々と描いているので、余計に面白さがさえ渡る。氏はうつ病を患っていたので、当初、稚拙な方法で自殺を試みて失敗したり、コンビニ弁当を漁(あさ)ってかえって太ったりする。路上生活者のようなことをしているうちに警察官の職務質問に遭い、捜索願が出ていたために署に引っ張られた。ところが、取り調べの若い刑事が大の吾妻ファン。「先生、こんな姿になってしまっておいたわしや――」と色紙を買ってきてサインをねだる始末。それ以外にも、何げなく働いた電気工事店で技術を磨いて資格まで取ってしまったり、親会社である東京電力の広報誌にマンガを描いて身分がばれる(?)など、とにかくハチャメチャの日常が群を抜いて面白かった(アルコール依存症になったてんまつも悲惨、かつ面白い)。

 そんな吾妻氏の、続編ともいうべき『吾妻うつうつひでお日記』(角川書店)が近所の書店にあったので、買って読んでいる(まだ途中だが)。別にその内容が面白いからどうだというのではなく、ここでは“うつ”という病気が私たちの周囲に非常に増えていることが気にかかるので書いた。ある統計では、自殺者の7割ほどにうつが絡んでいる可能性があるという。

 確かに夢のもてない世相や、複雑な人間関係もあって、特に中高年のうつ病や自殺は社会問題化しているといっていいだろう。わが編集部でもこの問題を追いかけている記者がいるので、いずれきちんとした形でフィーチャーしたいと思っている。他人(ひと)事ならばむしろ、こんな風に面白がって言える部分もあるうつ病だが、本人にとっては本当に深刻な病気。その対策は急務だろうと真剣に思っている。マンガを読みながら考えた。【了】ライブドア・ニュース 満富俊吉郎
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