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元LD幹部、尾道発の再チャレンジ

2006年09月06日12時15分 / 提供:ライブドア・ニュース

元LD幹部、尾道発の再チャレンジ
尾道のボランティアとともに新たな地域ポータルサイトについて意見交換する伊地知さん=中央(撮影:吉川忠行) 写真一覧(3件)

堀江初公判、“地元”尾道はいま(下)

【ライブドア・ニュース 2006年09月06日】− 堀江貴文(33)の初公判を週明けに控えた9月2日土曜日。尾道駅の待合室に、のどかな地方都市にそぐわないシャツ姿の男性を見つけた。堀江側近としてライブドアのポータルサイト事業を統括する副社長を務めていた伊地知晋一(38)だ。新体制の「社長室長」を辞し、前日付で「顧問」に就いたばかり。現経営陣の求心力低下やUSENとの提携の不透明感が報じられる中、事実上「フリーハンド」の身となっていた。

 「選挙後に始めた尾道の地域サイトを閉鎖したことで、手伝ってくれた地元の人に迷惑を掛けてしまったので、謝りに来たんですよ。『これから』のことで約束したいこともあるので」

 携帯電話の通話を終えるなり、何かが吹っ切れたような表情で、ゆっくりと語りかけてきた。

 堀江が総選挙で落選した05年秋、「お世話になったから、何か恩返ししたいね」と持ちかけてきた相談に応じ、伊地知は尾道市長を訪問。地元NPOの協力を取り付け、地域ポータル「livedoor 尾道」の開設にこぎ着けた。月々の運営コストは30万円程度、利益にこだわる会社の中に設けられた収益度外視の「聖域」。以来、開設直後に起きたライブドア事件後も含めて、月1、2度尾道を訪ねては事業継続のために汗をかいてきたが、伊地知の努力もむなしく事業再編の一環で、8月末を持って閉鎖に追い込まれた。

 「ライブドアは撤退したが、私は尾道と関わり続けたい。ですが、私一人じゃできることではないし、地元の方と一緒にやりたいと思い、今日はお願いに参りました」

 しまなみ海道が夕日に染まるころ、観光協会の会議室に集めた地元の協力者8人を前に、伊地知はこう切り出した。経営破綻した旧ライブドアを引き受け、大手ポータルサイトに育て上げた伊地知が同社を飛び出してまで、再起をかけて取り組む仕事。それは、気鋭のIT企業でもなく、かつて大前研一率いる「平成維新の会」で志した政治の道でもなく、尾道の地域ポータルの復活だという。

 グルメや観光地、地域ニュースなど尾道にまつわる情報を東京のオフィスの人間が編集するライブドアの手法を抜本的に改め、市民や“尾道ファン”が記事や動画を自ら発信していく。“Made in 尾道”のコンテンツを中心に集めた新しいポータルサイトとして、誰でも参加でき、常に更新されていくプラットフォームをつくりたい、という。

 「ここで成功して、事例を全国に広めたい。中央から一方的に流すニュースよりも、日本中の地域からどんどん発信される情報の方が面白いという新たな流れを作るのが最終目標です」

 NPO副代表の加藤慈然さん(48)は「ポータルが閉鎖されて寂しいという声も多かった。まだやる気がある人が残っているので、やるやらないは分からないが意見交換していきましょう」と応じ、地元側の構想を披露した。地元紙・ケーブルテレビからのニュース配信、月1度のアートイベント開催、GPSを駆使した観光マップ・・・。1時間余りのブレインストーミングの末、加藤さんが「始めてみて、ダメならやり直せばいい。尾道ゆかりの文化人が言ってた“永遠の未完成”って発想でいいんです」と話すと、伊地知は「web2.0の概念の“永遠のβ版”って考え方と同じですね」と答えてみせた。

 伊地知が尾道入りした前日。そこから100キロ西にある広島市では、安倍晋三官房長官(51)が自民党総裁選への出馬を表明し、自らの政権構想を発表した。テーマのひとつに「再チャレンジできる社会の実現」が掲げられた。

 旧経営陣の逮捕で信用が地に落ちた中で、伊地知は本当にやりたかったことを見つめ直し、尾道に個人として自腹で通い続け、地元の人たちと一緒に地域情報の可能性を探っていく道を選んだ。西南戦争で明治の新政府軍の総攻撃を受けて倒れた薩摩軍志士の血を受け継ぐ彼なりの再チャレンジだ、ともいう。「裁判で有罪になったら罪をきちんと償ったうえで、再スタートする時には拒否する理由はない。誰でもやり直せるのはこの国のルールですから」。堀江の合流も基本的に歓迎のようだ。

 5日午後、都内の小さな会議室に、“堀江時代”から務めたライブドア取締役を引責含みで6月に退任した山崎徳之(34)と羽田寛(39)とともに次世代ネットビジネスについて熱弁を振るう伊地知の姿があった。六本木ヒルズを見上げるような格安マンションに山崎と羽田が資本金100万円で立ち上げた「ゼロスタートコミュニケーションズ」の専務取締役として、セミナー参加者に紹介された。

 「ライブドアを4年足らずで200万人から1500万人級の会員サイトに育て上げた、恐らく今の段階では “太陽系一”のネットプロモーションのプロです」

 ライブドアの黎明(れいめい)期を支えた“離脱組”を中心とした布陣をハリウッド映画『オーシャンズ11』になぞらえて説明する羽田からこう持ち上げられると、伊地知は独特の人懐っこい表情で照れ笑いした。【一部敬称略・了】

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