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財政再建は道路に阻まれる

【PJ 2006年08月30日】− 有料橋や渡船施設を除くと、道路法には道路の通行料金に関する規定がなく、道路は無料で開放されるのが原則である。高速道路や観光有料道路で通行料金が徴収されているのは、昭和三十一年に公布施行された道路整備特別法に基づく特別措置であり、一定の料金徴収期間が過ぎた後、道路は自治体が管理する道路として無料で解放される。

 1970年代、全国に数多くの有料道路が建設された。有料道路の開設には、収支予算や料金の額および徴収期間を国土交通大臣に申請する必要があり、70年代に開設された有料道路の多くは30〜40年の徴収期間を申請した。プール採算制の適用によって料金徴収期間が実質的に延長されている路線は別として、一般道と観光地を結ぶ観光有料道路など、比較的短距離の有料道路の徴収期間が次々と終了しつつある。

 愛媛県道路公社が運営していた西海有料道路は、1976年に開通(総工費28億4千万円)し、30年後の今年4月、無料開放された。未償還金は31億円。30年で2億6000万円の債務が増えた。福島県道路公社が運営する高森熱海有料道路(通称:母成グリーンライン)も、同じく30年の徴収期間を申請して、1976年に開通した(総工費15億9千万円)。9月1日から無料開放されることが決まっている。未償還金は11億6500万円。赤字ではなかったが、30年での償還率はわずか27%。これら以外にも、全国各地に借金を返せないまま無料化される有料道路がある。

 借金を返せなかった理由のひとつは、言うまでもなく利用台数の見込み違いである。西海有料道路では、30年間の利用台数を3000万台と見込んでいたが、実際には1517万台。高森熱海有料道路でも、820万台の見込みに対して半分強の利用台数しかない。もうひとつの理由は、高額な保守管理費用である。道路の補修工事や料金徴収業務は競争入札を経て外部に委託されるのが一般的であるが、他の公共事業と同じように、予定価格ぎりぎりの高い価格で落札される場合が多い。利用台数が予定よりも少ないのに、予定通りの保守管理費用がかかれば、借金が返せるわけがない。

 プール採算制が適用されない有料道路のほとんどは、各都道府県が設置した道路公社が運営している。徴収期間が終了すれば、道路は公社から都道府県に移管されて都道府県道として管理されることになるが、その道路の未償還債務は、都道府県から公社への貸し付けによって補填される。将来的にすべての有料道路が無料開放され、公社が解散される時期が来ても、この貸付金が完済されるとは考えにくく、結局は都道府県の特別損失として計上されるのが目に見えている。これは単なる赤字の先送りである。

 道路公団民営化後の新直轄方式で建設される道路は、税金で道路を建設して無料開放することになっており、道路利用料では借金を返せないという現実に基づいた新たな建設方式でもある。しかし、道路建設費用の30%は地方自治体の債務となり、道路の維持管理費用も、道路を閉鎖しない限り、永久に地方自治体の財政を圧迫し続ける。30年前に建設した道路のツケと、新たな道路建設の債務が、我々の次の世代に重くのしかかる。

 土木建設事業に重点を置いてきた地方行政の歴史が、例外なく債務にあえいでいる地方自治体の財政再建に暗い影を落としている。それをわかっていながら、道路建設をやめられないというのは、一体なんなのだろう。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 小林 亮一【 宮城県 】
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