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ジョンべネ事件に見る、“アメリカの曖昧さ”

【PJ 2006年08月30日】− 今から約10年前、全世界でクリスマスを祝うその日、アメリカコロラド州ボルダーで事件は起こった。ジョンべネ・ラムジーという6歳の少女が誘拐され、翌26日、自宅の地下室から無残な遺体が発見されたのだ。ジョンべネは評判の美少女。舞台にイベントに引っ張りだこだったから、この異様な誘拐殺人事件は世界の目を引いた。だが捜査は進展しない。あまつさえ被害者の両親がボルダー地検の取り調べを受け、ウソ発見器まで登場する始末。検挙は間もなくと思われた犯人はついに捕まることはなかった。

 それから約10年たった今月の8月16日、タイのバンコックで容疑者が逮捕された。真犯人とされたジョン・マークシャーは、“DNA鑑定の結果”容疑が確定。物々しい犯人護送はテレビの画面を飾った。だが、この小柄な白人、実は人ではなかったそうだ。その理由とは、これまた“DNA鑑定の結果”。小柄なジョン・マークシート逮捕直後から、「彼は真犯人ではない」という中でのタイからの護送劇。事件に食いついたメディア、上げた手を下ろすのに困っている。真相はまた闇の中、曖昧な捜査への批判は強い。

 どうもこの国、やることが何処かオカシイ。その最たるものが、あの9.11事件だ。2001年9月11日、4機のアメリカの航空機が、アメリカ国内の空港でハイジャックされ、2機はワシントンに向かい、1機は国防総省ビルに激突。1機は勇敢な乗客の活躍もあってか自爆墜落。あとの2機はアメリカが誇るニューヨークの世界貿易センタービルに激突炎上、多大の犠牲者を出した。死者は2973人とカウントされる凄惨な事件であった。

 死者の中には救急活動に出向いた多数の消防士や警察官がいた。彼らの献身的な活動を褒め称えるのに躊躇するものではない。ましてや、陰惨なテロリストを容認することなど論外である。だが、この自由主義国家、理解できないことが多すぎる。
 
 アメリカは世界最大の軍事大国。CIAやFBIなどの機密機関は、世界中に安全保障を担保する大ネットを張り巡らせてきた。ならば何故、“同時に多発するテロ”を予知し、予防できなかったのか。外国人被害者に、自国の無防備さを何故、謝罪しなかったのか。テロを嫌うならば、何故、ブッシュは、アフガンの子どもたちに爆撃を加えたのか。さらには支持率50%を割った“指導者の不始末”や、“国民を護れなかった政府”に対し、アメリカ国民は90%以上の支持を与えたのか。

 事件の根幹を放置し、反省することのない国。それがアメリカを“曖昧な国家”に仕立て上げている。先月の7日、イギリスでテロリストが多数逮捕された。その直後、アメリカでの空港管理の粗末さが指摘されている。どこまでも続く泥濘を歩いている。そんな空しい気がしてならない。

 30数年前、晴れわたったホノルル空港に降り立った一人の日本青年を、二世の税関吏が出迎えた。りりしい制服姿の男はイミグレーションの同僚にこう言った。「He’s My cousin!」。従兄に伴われた青年は手荷物チェックも受けずに、オフイサーズルームに案内された。コナコーヒーを飲みながら、同行の仲間を2時間待った青年は、“曖昧なアメリカ”に感激し、従兄の出世を喜んだ。その単純な青年は若き日の私であった。今では懐かしさより、危うさを感じてならない。今日もどこかの空港で、「He’s My ……!」と叫ぶ官吏がいるのではないか、と。【了】 
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 今藤 泰資【 茨城県 】
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