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医療費抑制とサプリメントブームの矛盾

【PJ 2006年08月25日】− 本年4月に医療制度改革が行われた。大きな目的は「医療費抑制」である。これは現在31兆円と言われる国民医療費の更なる増大を阻止しようと、医療保険の給付を減額するのがその大きな方法である。

 中でも31兆円中6兆円を占める「薬剤費」の負担をもっと減らそうという目的から、政府・自治体は「後発医薬品」の普及推進に乗り出している。この後発医薬品は「ジェネリック医薬品」と言われるもので、大手先発メーカーが開発した薬剤の特許切れしたものを後発品メーカーが同じ成分で売り出している医薬品のことである。

 通常、先発品に比べて後発品は国の公的価格である「薬価」が安いために、これが普及すれば全体の薬剤費が下がり、医療費の抑制につながると考えられている。事実、高橋秀樹や黒柳徹子を用いた後発品メーカーのCMによって、ジェネリック医薬品の処方を要求する患者も増えている。患者からしても窓口で支払う一部負担金が軽くなるので良いことだろう。

 しかし、これが患者にとってどれほどの減額幅なのかはあまり知られていない。例えば、日本で一番売れている糖尿病の薬を例にとって見てみると、「ベイスン0.2mg」(製造販売:武田薬品工業)という薬は1日3錠服薬する薬で薬価は1錠当り49.6円なので、1日にすると148.8円、1カ月分で4464円となる。一方、この薬の後発品「ボグリボース0.2mgSW」(製造販売:沢井製薬)と言う薬は薬価が34.5円であり、1日193.5円、1カ月3105円となる。その差額は1カ月分で1359円の計算となる。

 しかし、この差額は「薬価」の分であり、通常患者が窓口で支払う部分は一部である。最も負担率が高いサラリーマン世帯の3割で計算しても、先の例では1カ月に僅か407円でしかない。今まで飲んでた薬をノーブランドの薬に変更して407円。これで患者が喜ぶのだろうか。

 一方で、現在日本では空前のサプリメント・ブームである。その市場規模は5000億円強とも言われており、ここ数年で急に拡大してきている。サプリメントにも当然様々な効能をうたったものがあるが、先の例のように糖尿病に効くというものもある。

 よくあるのが「血糖が下がる○○茶」というものであるが、1カ月分で4000円〜5000円程度するものも“ざら”である。しかし、糖尿気味で病院にはあまりかかりたくない方が、これらを購入するので、非常に売れ行き好調である。

 先程の後発品の例では407円の負担減効果を説明したが、一方では数千円の健康への投資を国民は行っている。政府が進める医療費抑制の反面、サプリメント・ブームが広がり、政府と国民の健康志向への意欲の違いが如実に出ているのではないかと考えられる。

 後発医薬品の欧米での普及率は5割とも言われている。一方、日本ではまだ十数パーセントである。そこで政府は欧米なみに後発品を普及させると言っているが、少子高齢化の進む日本国民の考え方は正反対の方向へ進んでいるのではないかと強く疑問を覚える。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 生田智【 兵庫県 】
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