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米国の終戦は2カ月前だった、NYT紙面では
【PJ 2006年08月15日】−
兵庫県西宮市在住の作家で「市民の意見30・関西」代表の小田実氏が14日、「8・14と九条」と題した講演会を、大阪市立弁天町市民学習センターで開いた。
講演で小田氏は、1945年6月15日の大阪空襲で、自身が受けた戦争体験を語ったうえで、1945年6月17日付けの「ニューヨーク・タイムズ」の内容を示し、「アメリカでは、アメリカ人がすでに戦争が終わっていると認識していたのではないだろうか。終戦の2カ月前の新聞紙面が、平和を象徴している」と話した。
1945年6月17日付け「ニューヨーク・タイムズ」
「その日は日曜日で、日曜日のアメリカの新聞はどの新聞も大部100頁を越すものを出す。それにたいてい日曜雑誌やら書評雑誌やらを付録につけて、小脇に抱えられないほどの分量になる。その日の『ニューヨーク・タイムズ』もそうで、本紙は130頁を越していた。それに日曜雑誌など付録雑誌がいくつか。驚くのは、それほど大部な日曜版がそのころ出ていたということだが、それも道理、戦争はアメリカではもう終わっていて、これは平時の日曜版だ」。
「6月17日の『ニューヨーク・タイムズ』もすべて世はこともなしで、株式欄もあれば写真つきのプロ野球の記事も出ていれば、求人の三行広告も延々と続けば、誰それが結婚したとか婚約したとかの社交欄もこれも美女美男の写真つきで華やかにある。それともうひとつ何より驚かせるのは、毎頁毎頁の紙面の大半を占める大きな広告だ。家具の広告も高価な食器の広告もあるが、多くは婦人服、靴、帽子、下着などの女性ファッションの広告だ。これらすべて、今、現在の『ニューヨーク・タイムズ』を買って比べても、まず違いはないだろう。平和が大部な新聞のいたるところに充満していた」。
「では、戦争はどこにあったか。まず、ほとんどなかった。ヨーロッパでは戦争はすでに終わっていたし、アジアでもまちがいなく終わりに近づきつつあった。その日の130頁余の『ニューヨーク・タイムズ』に出ていた戦争の記事は一面にはなくて、二面の上部にだけ沖縄戦の記事が出ていた。沖縄戦は多くの人の自殺、『玉砕』とともに6月23日に終わるのだから、記事は、われらはかく攻め、彼らはかく追い込まれ、やがて終わる―だ。記事には、今沖縄で『南部戦跡めぐり』のツアーにでも行けばくれるのとそっくりの逆三角形の南部の半島の地図がつけられていて、そこにはあと一週間足らずで自決の場所となる『MABUNI』というような地名が書かれている」。
「もうひとつ衝撃的な戦争の記事は、本土防衛の司令官が『日本の女はすべて沖縄の女性のごとく戦って死ね』と演説したとかいうニュースだ。これが衝撃的なのは、その演説の中身のことのみならず、そのすぐ横に演説を報じたその頁の紙面3分の2ほどを使って、ショーツや短いスカートを見につけた女性達が乱舞するどこかの百貨店の『サマー・セール』の広告が出ていたことだ」。
「大阪空襲の写真は本紙ではなく付録の日曜雑誌に出ていた。本紙と同じように家具、食器、女性ファッションの広告と平和記事、非戦争記事充満のなかに突然出現して来たのが、この1頁の写真だ。写真には次のキャプションがついていた」。
「一都市一都市、日本帝国の中心都市は焼夷弾と爆発物によって破壊されつつある。人口密集の火災を起こしやすい工業都市は、大阪(上図)が中で最大だが、今、われらの巨大な超空の要塞機は何千トンにわたって工場と労働者の住居に注入しつつあるゼリー状ガソリンの完璧な目標である。他の都市の大部分は、東京、横浜、神戸、名古屋など、われらの戦略爆撃開始一年度において、すでに消滅したと言われている。そして、この攻撃は日本が破壊されつくすか、降伏するまで続けられ、強化される」。
小田氏は、参加した市民らに、「ニューヨーク・タイムズ」に出た大阪空襲の写真を提示したうえで「当時、日本(大阪)では、すさまじい火炎とともに、多くの市民が殺された現状であったにもかかわらず、アメリカは、すでに平時に戻っており、日本の大阪空襲の模様は、本紙ではなく、付録に出ていた」と、当時の戦争に対するアメリカ人と日本人の認識の誤差を強調した。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 渡辺 直子【 兵庫県 】
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講演で小田氏は、1945年6月15日の大阪空襲で、自身が受けた戦争体験を語ったうえで、1945年6月17日付けの「ニューヨーク・タイムズ」の内容を示し、「アメリカでは、アメリカ人がすでに戦争が終わっていると認識していたのではないだろうか。終戦の2カ月前の新聞紙面が、平和を象徴している」と話した。
1945年6月17日付け「ニューヨーク・タイムズ」
「その日は日曜日で、日曜日のアメリカの新聞はどの新聞も大部100頁を越すものを出す。それにたいてい日曜雑誌やら書評雑誌やらを付録につけて、小脇に抱えられないほどの分量になる。その日の『ニューヨーク・タイムズ』もそうで、本紙は130頁を越していた。それに日曜雑誌など付録雑誌がいくつか。驚くのは、それほど大部な日曜版がそのころ出ていたということだが、それも道理、戦争はアメリカではもう終わっていて、これは平時の日曜版だ」。
「6月17日の『ニューヨーク・タイムズ』もすべて世はこともなしで、株式欄もあれば写真つきのプロ野球の記事も出ていれば、求人の三行広告も延々と続けば、誰それが結婚したとか婚約したとかの社交欄もこれも美女美男の写真つきで華やかにある。それともうひとつ何より驚かせるのは、毎頁毎頁の紙面の大半を占める大きな広告だ。家具の広告も高価な食器の広告もあるが、多くは婦人服、靴、帽子、下着などの女性ファッションの広告だ。これらすべて、今、現在の『ニューヨーク・タイムズ』を買って比べても、まず違いはないだろう。平和が大部な新聞のいたるところに充満していた」。
「では、戦争はどこにあったか。まず、ほとんどなかった。ヨーロッパでは戦争はすでに終わっていたし、アジアでもまちがいなく終わりに近づきつつあった。その日の130頁余の『ニューヨーク・タイムズ』に出ていた戦争の記事は一面にはなくて、二面の上部にだけ沖縄戦の記事が出ていた。沖縄戦は多くの人の自殺、『玉砕』とともに6月23日に終わるのだから、記事は、われらはかく攻め、彼らはかく追い込まれ、やがて終わる―だ。記事には、今沖縄で『南部戦跡めぐり』のツアーにでも行けばくれるのとそっくりの逆三角形の南部の半島の地図がつけられていて、そこにはあと一週間足らずで自決の場所となる『MABUNI』というような地名が書かれている」。
「もうひとつ衝撃的な戦争の記事は、本土防衛の司令官が『日本の女はすべて沖縄の女性のごとく戦って死ね』と演説したとかいうニュースだ。これが衝撃的なのは、その演説の中身のことのみならず、そのすぐ横に演説を報じたその頁の紙面3分の2ほどを使って、ショーツや短いスカートを見につけた女性達が乱舞するどこかの百貨店の『サマー・セール』の広告が出ていたことだ」。
「大阪空襲の写真は本紙ではなく付録の日曜雑誌に出ていた。本紙と同じように家具、食器、女性ファッションの広告と平和記事、非戦争記事充満のなかに突然出現して来たのが、この1頁の写真だ。写真には次のキャプションがついていた」。
「一都市一都市、日本帝国の中心都市は焼夷弾と爆発物によって破壊されつつある。人口密集の火災を起こしやすい工業都市は、大阪(上図)が中で最大だが、今、われらの巨大な超空の要塞機は何千トンにわたって工場と労働者の住居に注入しつつあるゼリー状ガソリンの完璧な目標である。他の都市の大部分は、東京、横浜、神戸、名古屋など、われらの戦略爆撃開始一年度において、すでに消滅したと言われている。そして、この攻撃は日本が破壊されつくすか、降伏するまで続けられ、強化される」。
小田氏は、参加した市民らに、「ニューヨーク・タイムズ」に出た大阪空襲の写真を提示したうえで「当時、日本(大阪)では、すさまじい火炎とともに、多くの市民が殺された現状であったにもかかわらず、アメリカは、すでに平時に戻っており、日本の大阪空襲の模様は、本紙ではなく、付録に出ていた」と、当時の戦争に対するアメリカ人と日本人の認識の誤差を強調した。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 渡辺 直子【 兵庫県 】
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