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小泉首相の身勝手な靖国参拝で、死にたくはない。

2006年08月15日07時21分 / 提供:PJ

pj
小泉首相の身勝手な靖国参拝で、死にたくはない。
母に抱かれる私自身。(著者所蔵写真)
新潟・妙高山の麓の小さな町にいた。家が小学校の校庭のすぐ近くで、毎日遊んでいた。いつも見ていたのは、体操の時間だろう、生徒を一列に並べて、先生が左から右へ一人ずつ往復ビンタを喰らわしていた。よろけると、元の位置に戻し、またビンタ。暑い陽射しの中に鮮烈に覚えてる光景だ。

 小学校に入った。すぐ、国民学校になったと思う。桜並木があり,時計台のある、茶色の木造りの2階立ての校舎。広い体操場、地面に小さな穴を見つけノビルで虫を釣る。冬でも裸足だった。冬は大雪のため校舎の2階から出入りする。校舎へは小さな溝川で足を洗い教室に入る。教科書は色刷りで、「兵隊サン トテチテタ」「アカイ アカイ アサヒ」そして、神武天皇の髭の顔に後光が射してるのが印象的だった。

 先生に特訓され習字で「ハト」と書いたのが、講堂に張り出されたのを覚えている。生徒は1年生から6年生、8年生まで同居していた。上のヤツは恐いおじさんに見えた。東京からの引っ越し児童。色が白い。勉強ができる。ということだけで、どれだけいじめられたことか。囲まれてズダズダにされていた。

 でも、親父には一度も言った事はなかった。一人で口惜しかったのが忘れられない。朝礼が講堂で毎日あり、全員東京の宮城方向へ、最敬礼。教頭が、教育勅語を読む「朕思ウニ、我ガ皇祖・・・御名御而」。上目使いで隣のヤツとひそひそやるとすぐにビンタが先生から飛んだ。お弁当は日の丸弁当、新聞紙を包みにして、その新聞に天皇の御影あるのを見つかり、ビンタ。

 戦争は神国日本が勝つと洗脳されていた。しかし、本島横断し新潟から東京へ向かうB-29が飛来し、探照灯に照らされ始めた。近くの変電所のサイレンが鳴り、「警戒警報発令」の声が聞こえ、家の明かりの電球を蛇腹の傘で覆い、窓に黒布、「灯火管制」が敷かれた。防空壕も田んぼを掘って親父がつくったが、水が出て板を渡し、その上に米俵一俵と防空頭巾を備えた。

 「警戒警報解除」を聞くまでよく壕の穴から覗き見しながらB-29が空高く飛んで行くのを見た。日本が高射砲を撃つが届かず、一向に当たらない、悠々と飛んでいた。夜、校庭で中学生、防共婦人会を集め、軍人の下士官が軍事教練をしていた。落下傘で降りた敵、米英鬼畜を、縄を巻いた杭を仮想敵兵にし、竹槍で殺そうとしてるのだ。皆の下手なのを見た下士官が、腰のサーベルを抜き見ろとばかりに、杭に突き刺した。するとサーベルがグニャリと曲がったのである。

 家の仏壇から蝋燭立てとか金属ものが命令で徴収されていた。木炭バスが止まり、米屋の軒下にサイパン陥落で崖から海へ飛び込む親子を描いたポスターを見た。何枚も張ってあった。

 アブラゼミの激しく鳴く夏の昼だったと思う。校庭で遊んでると、母が迎えに来た、戦争の大事な話があると言った。瞬間、飛び上がって喜んだ、勝ったと思ったのだ。家に戻ると、ラジオを囲んで家族がいた。ラジオの真ん中の赤いダイヤルの針が回され、玉音放送が始まった、「堪ヘ難キヲ堪エ、忍ビ難キヲ忍ビ・・・」。よくわからなかったが、日本が負けたと言う事はわかったのだ。親は泣いていた。子供ながらに虚ろさを感じた日であった。

 学校の先生は、様変わりしていた。あのビンタ先生は消えていた。教頭は優しい人に変身していた。教科書はガリ版刷りを自分で製本した。帰りにはシラミ退治のためにDDTの白い粉を噴霧器で頭からかけられ、まずい回虫駆除用の液体を飲まされていた。家では、食べるものが、すいとん、稗、粟,サツマイモ。

 冬の日、母と二人で山の村までお米をもらうために、母の着物をタンスから出し背負って行った。帰りの雪道でわら靴の冷たさと背負った米の重みのつらさを紛らわそうと必死だった。雪の上には犬の喧嘩した赤い血が黄色い滲みとともに点々とあった。

 この町に進駐軍が来る。みんな流言飛語で一時は殺されるとか怯えていたが、ジープとか装甲車とかにまたがりガムを噛み噛みの米兵を見た時は、恐さより物珍しさが先行していた。ジープから投げるランチボックスに群がった。チョコレート、アイスクリーム、その美味かった事。豆のスープに驚いた。通りかかった若い女性の買い物かごに米兵があらゆるプレゼントをしていた。後は吸い残しのタバコ拾い。勝者と敗者の姿をまざまざと見たのである。

 満州へ一旗揚げようと行った叔父は、それでも身一つ無事で帰って来た。予科練にいた若き叔父は死に損なった思いか、酒を浴びてグレていた。親の兄弟姉妹も集まって来ていて、我が家は一時大家族だった。その後3年を経過し、それぞれの故郷へ帰って行った。我が家も東京に引っ越したのである。

 60年を経たいま、あの幼少時の戦争体験は、負けるべくして負けた思い出ばかりである。幼きながらも虚しさを感じていた自分がいた。もっと悲惨な体験をした人は遥かに多いであろう。負ける戦争を何故したんだろう。神国日本の御旗印に折伏された日本人なのだ。過去の歴史は世界中同じだが、戦争は必ず繰り返される。

 人間は欲本能丸出しの「バカ」である。それとも、戦う事が「スキ」なのだ。第二次大戦後60年一回りでまた、戦争による死を美化したりするが、殺したヤツがいて殺されたのだということを忘れてはならない。過去を知り、これからが人間としての知恵のあるところを示さなくてはならない。

 過去の人間がつくった一神社なのに靖国にこだわり、靖国問題をトリガーとして、日本は戦い始めそうなインフラが揃って来ている。0か1の戦いへ向かって。人間は死ぬために生きるか、生きるために死ぬか。That is Question.【了】

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 池野 徹

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