Mixi版花見酒の経済?
2006年07月29日06時31分 / 提供:PJ
「花見酒の経済」ということばをご存知だろうか。経済学者の笠信太郎が、1960年前半に当時のわが国の経済状況を分析した自著につけた題名だが、その喩えが秀抜であったため、現在でもしばしば使われ るものだ。
「花見酒」とは落語の話である。ふたりの男が、天秤棒に酒樽を担いで、花見の客に酒を売りに行った。けれども酒はなかなか売れない。そのうち兄貴分の男が、自分が酒を飲みたくなり、懐から銭を取り出すと、もう一人の弟分の男に手渡して、買ったことにして酒樽から一杯の酒を酌んで飲んだ。そのうち、弟分の ほうも酒を飲みたくなり、兄貴分からもらった銭を彼に渡して、買ったことにして酒樽から酒を酌んだ。さて、今度はまた兄貴分のほうが飲みたくなり、弟分か らもらった銭を渡して酒を酌み・・・を繰り返しているうちに、酒樽は空になってしまった。酒が全部売れたと二人は喜んだが、手元には元銭があるだけで金が増えていない、という話だ。実態の伴わない経済のありようを巧みにたとえているとみることができる。
このような話は、経済に関してのみでなく、他のさまざまな場面でも似たような状況をみることができるのではないか。ソーシャルネットワーキングシステムのMixiは、ここ数年の間に爆発的な人気でインターネットユーザーの間に広がっている。そのMixiの機能のひと つに「足跡」というものがある。
たとえば、私が友達の友達をたどって、または、各種コミュニティのメンバー表からあるひとの自己紹介ページをクリックして見ると、そのひとのページを見たという記録が「足跡」に私の名前として残る。「足跡」の私の名前をみたそのひとは、いったい自分のページを見にきたのは誰なのかと興味を持って、私の名前をクリックして私の自己紹介ページを見る。すると今度は、そのひとの名前が私の「足跡」に残る。私が私のページの「足跡」を見ると、そのひとの名前が残っているから、ひょっとしてこのひとは私に興味があるのだろうかと思い、ふたたびそのひとの名前をクリックし、そのひとのページへ飛ぶとまたそこに「足跡」が残り、そして今度はそのひとがまた私の名前を・・・ということが際限なく繰り返されるのだ。
それがほんとうに両名の間にあい通じるものがあり、「足跡」をたどって訪問を繰り返しているうちに結局仲のいい友達になれたというのならいいが、そのよ うな実態など何もなく、ただ「足跡」に名前が残っているという理由だけで、訪問を繰り返してしまうケースも少なくない。これはまさにMixi版花見酒では ないかと思ってしまう。
実はMixiには、このような「足跡」に限らず、コミュニケーションを求めるひとを惹きつける魅力的な工夫がさまざまに凝らされている。それが実態のある豊かな人間関係を形作ることに資しているのならいいが、この「足跡」のように、花見酒経済的空疎なコミュニケーション幻想を与えるだけに終わっている面もなきにしもあらずではないか。
世には「Mixi中毒」なることばもあって、Mixiにはまって実生活に支障をきたすケースもあるようだ。Mixiに限らないが、ソーシャルネットワーキングサービスも、他のいろいろなインターネットコンテンツと同じく理性と節度を保った利用が求められるようである。【了】
「花見酒」とは落語の話である。ふたりの男が、天秤棒に酒樽を担いで、花見の客に酒を売りに行った。けれども酒はなかなか売れない。そのうち兄貴分の男が、自分が酒を飲みたくなり、懐から銭を取り出すと、もう一人の弟分の男に手渡して、買ったことにして酒樽から一杯の酒を酌んで飲んだ。そのうち、弟分の ほうも酒を飲みたくなり、兄貴分からもらった銭を彼に渡して、買ったことにして酒樽から酒を酌んだ。さて、今度はまた兄貴分のほうが飲みたくなり、弟分か らもらった銭を渡して酒を酌み・・・を繰り返しているうちに、酒樽は空になってしまった。酒が全部売れたと二人は喜んだが、手元には元銭があるだけで金が増えていない、という話だ。実態の伴わない経済のありようを巧みにたとえているとみることができる。
このような話は、経済に関してのみでなく、他のさまざまな場面でも似たような状況をみることができるのではないか。ソーシャルネットワーキングシステムのMixiは、ここ数年の間に爆発的な人気でインターネットユーザーの間に広がっている。そのMixiの機能のひと つに「足跡」というものがある。
たとえば、私が友達の友達をたどって、または、各種コミュニティのメンバー表からあるひとの自己紹介ページをクリックして見ると、そのひとのページを見たという記録が「足跡」に私の名前として残る。「足跡」の私の名前をみたそのひとは、いったい自分のページを見にきたのは誰なのかと興味を持って、私の名前をクリックして私の自己紹介ページを見る。すると今度は、そのひとの名前が私の「足跡」に残る。私が私のページの「足跡」を見ると、そのひとの名前が残っているから、ひょっとしてこのひとは私に興味があるのだろうかと思い、ふたたびそのひとの名前をクリックし、そのひとのページへ飛ぶとまたそこに「足跡」が残り、そして今度はそのひとがまた私の名前を・・・ということが際限なく繰り返されるのだ。
それがほんとうに両名の間にあい通じるものがあり、「足跡」をたどって訪問を繰り返しているうちに結局仲のいい友達になれたというのならいいが、そのよ うな実態など何もなく、ただ「足跡」に名前が残っているという理由だけで、訪問を繰り返してしまうケースも少なくない。これはまさにMixi版花見酒では ないかと思ってしまう。
実はMixiには、このような「足跡」に限らず、コミュニケーションを求めるひとを惹きつける魅力的な工夫がさまざまに凝らされている。それが実態のある豊かな人間関係を形作ることに資しているのならいいが、この「足跡」のように、花見酒経済的空疎なコミュニケーション幻想を与えるだけに終わっている面もなきにしもあらずではないか。
世には「Mixi中毒」なることばもあって、Mixiにはまって実生活に支障をきたすケースもあるようだ。Mixiに限らないが、ソーシャルネットワーキングサービスも、他のいろいろなインターネットコンテンツと同じく理性と節度を保った利用が求められるようである。【了】
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
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