地球はなにか変だぞ? 高山植物が全滅した
2006年07月23日05時51分 / 提供:PJ
ここ数年は足が遠のいていた、山梨県・大菩薩に登ってみた。20日は梅雨の切れ間だった。例年ならば、梅雨明けで高山植物が咲き乱れる季節。今年はなおも梅雨末期で、全国各地で大雨の災害が多発し、異常気象が取りざたされている。
大菩薩は高山植物の宝庫。北アルプスや南アルプスのお花畑と較べても決して見劣りしない。数十年来、そういう認識を持ちつづけてきた。登り着いた大菩薩峠(1897メートル)では、咲き競う色彩豊かな高山植物はまったく見当たらず、一面が熊笹で期待を裏切られた。
「今年の開花は遅いのかな?」と思いながら大菩薩嶺(2056メートル)、賽ノ河原、丸川峠と足を伸ばした。どこもおなじ景色ばかり。「一本も咲いていないとはおかしい?」と疑問をもちながら、丸川荘(1966年に建造)の二代目小屋番・只木貞吉さんから、話を聞いてみた。
只木さんは山小屋にすむ彫刻師だ。他方で、この時期となると、不心得な登山者がお花畑に入り込まないかと目を光らせ、高山植物の保護にも努められてきた人物である。「ここ三年はすっかり高山植物が消えた」と悲しげに語る。只木さんの推量では、地球規模の温暖化、空梅雨、日照不足、鹿の被害などが考えられるという。
地球温暖化の理由については森林の過剰伐採とか、オゾン破壊とか、異常海洋とか、さまざまな議論がなされている。『地球は何かおかしい』。それはまちがいないところ。しかし、平均気温が上昇したにしろ、ここ三年で、低温を好む高山植物の生育条件が急激に2000メートルの大菩薩山系を越えたとは思えない。ほかに原因が考えられるはずだ。
今年の大菩薩は空梅雨だったと只木さんはつけ加えた。「ここ17日から19日の三日間は221ミリの記録的な雨量だったが、それ以前は雨が少なかった。そのうえ曇天で日照不足だった」と開花の条件の悪さを語る。それすらも数十年の歳月で見れば、空梅雨や日照不足は何度もくり返されてきたことだし、特別な気候変化だとは思えない。急に高山植物が一本も咲かない原因としては弱い。
「ここ数年、鹿が異常繁殖し、笹のなかに入り、高山植物を茎から食べてしまう」。小屋番の只木さんが直接目撃した証言だけに、それが真の原因だと思えた。山小屋の番人どうしの情報交換から、大菩薩山系や秩父山系からは高山植物が消えてしまった。反面で、鹿の害が急激に拡大している、という認識で一致している、とおしえてくれた。
日光、秩父、大菩薩と鹿の被害はまちがいなく南下してきているようだ。「(南アルプスの)北岳にも、鹿と猿が現れたという情報が入っている。北岳の高山植物は今年かぎりかもしれないな。鹿がいたら食い荒らされるし、来年以降は、咲くのは難しいだろう」と悲観的な見方だった。日本で二番目に高い、南アルプスの北岳で、高山植物が消えるのはもったいない話しだ。
異常繁殖した動物の駆除や間引きとなると、動物保護団体を含めて賛否両論が起きるのが常だ。それがブレーキとなる。しかし、きょう明日にも手を打たなければ、いまに高山植物は植物園でしか見られなくなるだろう。【了】
■関連情報
記者HP:穂高健一ワールド
大菩薩は高山植物の宝庫。北アルプスや南アルプスのお花畑と較べても決して見劣りしない。数十年来、そういう認識を持ちつづけてきた。登り着いた大菩薩峠(1897メートル)では、咲き競う色彩豊かな高山植物はまったく見当たらず、一面が熊笹で期待を裏切られた。
「今年の開花は遅いのかな?」と思いながら大菩薩嶺(2056メートル)、賽ノ河原、丸川峠と足を伸ばした。どこもおなじ景色ばかり。「一本も咲いていないとはおかしい?」と疑問をもちながら、丸川荘(1966年に建造)の二代目小屋番・只木貞吉さんから、話を聞いてみた。
只木さんは山小屋にすむ彫刻師だ。他方で、この時期となると、不心得な登山者がお花畑に入り込まないかと目を光らせ、高山植物の保護にも努められてきた人物である。「ここ三年はすっかり高山植物が消えた」と悲しげに語る。只木さんの推量では、地球規模の温暖化、空梅雨、日照不足、鹿の被害などが考えられるという。
地球温暖化の理由については森林の過剰伐採とか、オゾン破壊とか、異常海洋とか、さまざまな議論がなされている。『地球は何かおかしい』。それはまちがいないところ。しかし、平均気温が上昇したにしろ、ここ三年で、低温を好む高山植物の生育条件が急激に2000メートルの大菩薩山系を越えたとは思えない。ほかに原因が考えられるはずだ。
今年の大菩薩は空梅雨だったと只木さんはつけ加えた。「ここ17日から19日の三日間は221ミリの記録的な雨量だったが、それ以前は雨が少なかった。そのうえ曇天で日照不足だった」と開花の条件の悪さを語る。それすらも数十年の歳月で見れば、空梅雨や日照不足は何度もくり返されてきたことだし、特別な気候変化だとは思えない。急に高山植物が一本も咲かない原因としては弱い。
「ここ数年、鹿が異常繁殖し、笹のなかに入り、高山植物を茎から食べてしまう」。小屋番の只木さんが直接目撃した証言だけに、それが真の原因だと思えた。山小屋の番人どうしの情報交換から、大菩薩山系や秩父山系からは高山植物が消えてしまった。反面で、鹿の害が急激に拡大している、という認識で一致している、とおしえてくれた。
日光、秩父、大菩薩と鹿の被害はまちがいなく南下してきているようだ。「(南アルプスの)北岳にも、鹿と猿が現れたという情報が入っている。北岳の高山植物は今年かぎりかもしれないな。鹿がいたら食い荒らされるし、来年以降は、咲くのは難しいだろう」と悲観的な見方だった。日本で二番目に高い、南アルプスの北岳で、高山植物が消えるのはもったいない話しだ。
異常繁殖した動物の駆除や間引きとなると、動物保護団体を含めて賛否両論が起きるのが常だ。それがブレーキとなる。しかし、きょう明日にも手を打たなければ、いまに高山植物は植物園でしか見られなくなるだろう。【了】
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記者HP:穂高健一ワールド
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一
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