「ドライミスト」の前で報道陣に解説をする東京理科大学の辻本誠教授。右上に見えるのが噴霧器。(撮影:佐谷恭)

写真拡大

森ビル(本社・東京都港区、森稔社長)は、省エネルギー型の外気冷却システム「ドライミスト」装置を六本木ヒルズの入り口広場「66プラザ」に設置し、19日に報道陣に公開した。同日から運用を開始する予定だったが、あいにくの雨で、公開用の試運転のみを行った。

 「ドライミスト」は、水が気化するときに大きく熱を奪うことを利用するもので、人工的に超微細な水滴を発生させ、気化熱で周辺の気温を下げる仕組み。昨年の愛・地球博(愛知万博)でも、暑さ対策に使われており、噴霧エリアの気温を2−3℃低下させる効果が期待できる。ミスト蒸散作用で直接空気を冷やすため、消費電力量はエアコンの約1/30で済むという。

 また、水滴の直径が16マイクロメートル(16/1000ミリメートル)と小さく、噴霧されたミストが完全に気化するため、肌や衣装が濡れる感覚はほとんどないことが利用者からの評価から分かっている。同装置は、周囲の気象を観測して反応し、運転を自動制御することで快適な環境を維持することも大きな特長。噴霧開始条件は、気温28℃以上、湿度70%未満、風速3m/秒未満。降雨時や湿度が70%を超えたときなどは、十分な効果が得られないため停止する。

 開発を主導した東京理科大学の辻本誠教授は「粒径は極小であり、水滴をほとんど意識させない。化粧も落ちない」と話した。

 ドライミスト噴霧は、9月30日まで。噴霧時間は、午後9時から午後6時まで。【了】